冬の旅情サスペンス 戸隠伝説殺人事件 怨念か?鬼女の能面が3つの死を誘う!信濃のコロンボ初登場!!
<番組データ> 脚本:岡本克己 初回放送:1995年2月27日 地上波放送:月曜ドラマスペシャル
<出演>
左から竹村岩男:布施博、木下刑事:布川敏和
竹村陽子:石野真子
立花智弘:児玉清
武田喜助:小鹿番
武田佐知江:高田敏江
石原隆二:?
宍戸弘文:小松方正
野矢優子:水野真紀
野矢桂一:山本學
天智院:星由里子
<ストーリー> 不動産会社社長・武田喜助の変死体が発見された。 信濃のコロンボと異名を取る名刑事・竹村岩男(布施博)を始めとする長野県警の捜査が開始された。 鑑識による鑑定の結果、武田は毒殺された上で戸隠毒の平まで運ばれて遺棄されたらしいことが判明した。 戸隠には伝説がある。 鬼女・紅葉の騒乱を、平維茂が制したという通称「紅葉伝説」だ。 武田の死は、何だかこの伝説に擬えた殺人事件のような印象だった。 竹村は、武田の殺害当日の足取り捜査を進めてみた。 武田はホテルに長期滞在中で、その日は誰かに会うために外出したまま帰らぬ人となったようだ。 一体何処へ、誰と会いに行ったのかは判らない。 ただ、この日雑貨店に立ち寄って電話を借り、 名古屋の金融会社社長・石原隆二に電話を掛けていたことが判った。 竹村は石原に確かめてみた。 石原は武田から融資のことで電話があったことは認めた。 しかし、それ以上の付合いはないと詳細を語ろうとしなかった。 竹村は武田の自宅を訪ねて夫人に何か心当たりがないか尋ねてみた。 武田夫人(高田敏江)にも思い当たることはないようだ。 何か仕事のトラブルにでも巻き込まれたのだろうか。 竹村は、武田夫人に武田の身の上について尋ねてみた。 武田夫人は、武田が戦時中負傷して兵役から戻って戸隠で暮していたことを話してくれた。 武田の死体が見つかったのも戸隠だ。 何か意味があるのだろうか? 竹村は武田の郵便物を確かめてみた。 武田は生前探偵社に依頼して大学教授・立花智弘(児玉清)の身辺調査を進めていたことが判った。 立花の専門は能を始めとする古典文学だ。 当然戸隠伝説についても精通している。 竹村は立花の元を訪れて武田について何か知らないか尋ねてみた。 立花は武田のことはよく知らないと竹村に答えた。 だが、武田殺害当日立花もまた同じホテルに宿泊していることが判っていた。 偶然とは思えない。 武田と立花の間には何か因縁があるに違いない。 竹村がそう睨んだ矢先、第二の殺人事件が発生した。 今度の被害者は、武田が殺害された日に電話を掛けた金融会社社長・石原隆二だった。 やはり毒殺された上で戸隠に運ばれて遺棄されていた。 武田、石原、そして立花の間には一体どんな因縁があるのだろうか。 そんな中、第三の殺人事件が追討ちを掛けた。 今回変死体で発見されたのは宍戸弘文(小松方正)という国会議員だった。 やはり毒殺された上で戸隠伝説因縁の地に遺棄されていた。 竹村は宍戸に何度か会ったことがあった。 国会議員の立場を使って、何かと竹村から捜査の進捗状況を聞き出そうとしてきた男だ。 この宍戸の過去を洗うと、やはり戸隠の出身で戦時中は憲兵だったことが判った。 これ以上待ってはいられない。 捜査本部は立花を任意同行して取調室で追求することにした。 立花は重い口を開いた。 立花には戦時中兵役逃れのために戸隠に逃亡した過去があった。 その時世話をしてくれたのが、戸隠の祈祷師一族・天道家だった。 やがて、立花は一族の娘・天道タキ(水野真樹)と愛し合うようになった。 この仲は間もなく引き裂かれた。 密告者によって立花の存在が明るみになったのだ。 立花の隠れ家は憲兵に踏み込まれ、それを庇ったタキは憲兵に力尽くで暴行されてしまっていた。 その時の憲兵が石原と宍戸で、密告したのが武田だったのだ。 この事情を打ち明けた立花は、警察によってアリバイ確認が取れたため取調室から開放された。 立花には気掛りなことがあった。 自分が憲兵に連行された後、タキは一体どうなってしまったのだろう。 立花は、以前野矢優子(水野真紀・二役)という若き日のタキにそっくりな女を見掛けたことがあった。 ひょっとして優子なら何か知っているのかもしれない。 立花は優子が手伝っているクリーニング店に行ってみた。 事情を察した優子の祖父・野矢桂一(山本學)が応対してくれた。 野矢は優子がタキの孫娘であることを認めた。 野矢はタキと結婚して娘を設け、その娘夫婦から生まれたのが優子なのだという。 タキも娘夫婦も既に亡くなっていると野矢は立花に嘯いた。 立花は諦めて帰ろうとして、タキが祈祷師一族であることを思い出した。 ひょっとして祈祷所を訪ねれば何か分かるかもしれない。 立花は、地元の祈祷師・天智院(星由里子)の元を訪ねてみた。 天智院の顔を見た立花はあっと驚いた。 正にタキその人だったのだ。 立花が話し掛けようとすると、天智院はそれを制して立花に茶を勧めた。 立花は勧められるままにそれを飲み干した。 すると、一気に意識が薄らいでしまうのだった。 その後、立花は天智院の庭先で眠りこけている状態で発見された。 結局天智院とは話せず終いだった。 その頃、竹村は武田と宍戸が宿泊していたホテルを詳しく捜査し、 二人はホテルで毒殺された後、業務用エレベーターで外へ運び出されていたことを突き止めていた。 やはりこれは復讐だ。 主犯は天智院こと天道タキ、そして誰か共犯者がいる。 捜査本部は天智院の捜査令状を取ってその行方を追った。 その頃、天智院は自らの身に捜査が及んでいるのを察して一足早く姿をくらましていた。 行き先は雪深き戸隠の山中だった。 天智院には野矢が同行していた。 天智院は自分を暴行した武田、石原、宍戸への復讐を決意した。 それを野矢に手伝わせていたのだった。 野矢はずっと天智院こと天道タキを愛していた。 タキの復讐を手伝うことに後悔はなかった。 こうして雪深き山中へ同行するのも、タキと添い遂げたい一心からだった。 天智院と野矢は何処までも雪深き山中へと分け入っていった。 恐らく今後天智院と野矢の姿を見る者は現れないだろう。 数日後、立花は野矢家の墓参りに出向いた。 まさかとは思うがタキに会えそうな気がしていた。 当然タキには会えなかった。 しかし、偶然墓参りに来た生き写しの孫娘・優子と出会すことが出来た。 立花はこの偶然を感謝して優子と共に野矢家の墓に線香を灯した。 こうして事件は被疑者行方不明のまま幕を降した。 竹村は妻・竹村陽子(石野真子)と共に久々にショッピングに繰り出すのだった。
原作:内田康夫
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テーマ:テレビドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ
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