色々鑑賞録
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坂道の家2(最終)
<その1>

※ネタバレ注意

<その2>
開業医・石黒(北村和夫)は、急な連絡を受けて「坂道の家」に駆け付けた。
この家の主人・寺島が、風呂場で突然倒れたという。
行ってみると、寺島は内縁の妻・りえ子と隣家の主人・古賀克彦(小松政夫)によって、
布団に寝かし付けられていた。
石黒医師は、寺島の体を診察してりえ子に伝えた。
「お気の毒ですが、手遅れです。既に、お亡くなりになっております」
りえ子によると、寺島は飲酒後に入浴して急に倒れたという。
また、以前から坂道の昇り降りで息を切らすことがあったという。
心臓に負担を掛けての狭心発作。
そう見て間違いなさそうだ。

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石黒医師は、寺島が倒れたという風呂場を確かめてみた。
これと言って不審な点は見当たらなかった。
一つだけ気になったのは、熱い湯船におが屑が浮いていたことだった。

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石黒医師の通報を受けて、河崎刑事(樋浦勉)を始めとする警察関係者が遺体の引取に来た。
これから寺島の遺体は監察医によって解剖され、死体検案書が作成される。
それが終われば、遺族に返還の予定だ。

手順通り解剖が終わると、河崎刑事はりえ子と本妻・峰代に遺体引取を打診した。
りえ子と本妻は、共に引き取りを拒否した。

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長年のカンとでも言おうか。
河崎刑事は、この事件には何か裏がある気がしてならなかった。
解剖所見では、寺島の心臓に持病は無かった。
勿論健康な心臓の持ち主でも、飲酒して熱い風呂に入れば発作を起こすことはある。
だが、そうであったとしても何かが引っ掛かる。
河崎刑事は、主任・斉木警部補(中丸忠雄)の許可を取って、
この事件を詳しく調べることにした。

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寺島の死亡を確認した石黒医師によると、
寺島家の湯船にはおが屑が浮いていたという。
これがどうも妙だ。
寺島家の風呂は石炭炊きだ。
薪は使っていない。
何故、そんなものが湯船に浮いていたのだろうか?

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河崎刑事は、りえ子の経歴も調べた。
りえ子は、元はキャバレーのホステスだった。
寺島はそこの常連客で、足繁く通ううちに懇意になった。
ここ暫くは、この「坂道の家」で同居生活を送っていた。
寺島はこの愛の巣に相当執心していたようだが、
りえ子の方は冷めたものだ。
元同僚ホステス・さゆり(西川峰子)によると、
寺島が亡くなって間もないというのに、新しく店を持つ予定だという。
りえ子がキャバレーに勤めていたのは1年半程なのに、随分貯めこんだものだ。

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河崎刑事の部下(中本賢)は、保険の勧誘を装って寺島家の近辺で聞き込みをしてみた。
向かいの学生によると、寺島家では毎日午前10時頃に風呂を焚くのに、
事件の日に限って午後8時だったという。
おが屑に、午後8時。
そこにどんな意味があるのだろう?

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更に調べると、面白いことが分かった。
りえ子には、寺島とは別に男が居ることが分かった。
店の購入手続きをした不動産屋(石倉三郎)が、
契約の際に山口という男が同席していたのを覚えていたのだ。

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山口の身元はすぐに割れた。
バーに住み込みで勤めるバーテンだ。
マスターによると、事件の日は午後5時から午後7時まで店を出ていたという。
その時間、山口は何処で何をしていたのか?
これも、調べるとすぐに割れた。
山口は、知り合いから自転車を借りて何かを運んでいたようだ。
何を運んだかは分からないが、自転車を返す際には荷台がグッショリ濡れていたという。

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山口は一体何を運んだのか?
河崎刑事は、バーに聞き込みに行った際、氷屋を見てピンときた。
山口は氷を運んだのだ。
おが屑は、その氷に付着していたものだ。

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河崎刑事は、寺島の解剖を担当した監察医に、血液検査を要請した。
血液から睡眠薬が検出されると、捜査本部はりえ子の逮捕状を請求した。

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りえ子は、逮捕された。
刑事達が取調室で追求すると、りえ子は言い逃れをするでもなく素直に罪を認めた。

「あたしは、初めから寺島のことは好きではありませんでした。
あたしが愛したのは、山口1人です」

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「坂道の家」に囲われたりえ子に待っていたのは、
寺島による徹底した束縛であった。
やがては、逃げると顔に硫酸を掛けると脅されるようになった。
身の危険を感じたりえ子は、恋人の山口と共に寺島殺害を思い立った。
寺島の晩酌に睡眠薬を混ぜ、意識を失ったところで氷風呂に沈める。
寺島は発作を起こして勝手に死んでくれる。
後から風呂を炊いてしまえば、誰にも真相は分からない。
寺島が酔って入浴中に、自然に死んだように見える。

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真相を告白したりえ子は、悔し涙を流しながら「坂道の家」での生活を振り返った。

「丸で監獄のような生活でした。
あたしはこんな事したけど、それ程悪かったとは思ってません。
寺島に顔に硫酸を掛けられる位なら、あたしの方から寺島を殺したらいいと考えました。
今でも山口への愛は変わりません」

いかりや長介、黒木瞳:松本清張特別企画 黒い画集・坂道の家 (20120817-1300 テレビ大阪)




















テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

坂道の家1
遊びを知らない堅物男が、生まれて初めて恋に落ちた。
相手は、キャバレーのホステスであった。
男は際限なく女に入れ揚げてゆき、とうとう家まで一軒買い与えた。
「坂道の家」で待望の同居生活を始めた男は、
やがて狂信的なまでに女を支配しようとする……というお話。

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TBSチャンネル
BS-TBS
テレビドラマデータベース
Wikipedia

<作品データ>
原作:松本清張
脚本:葉村彰子
監督:久世光彦
放送枠:TBS「月曜ドラマスペシャル」
初回放送:1991年8月26日

<出演>
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寺島吉太郎:いかりや長介(小間物屋主人)

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杉田りえ子:黒木瞳(ホステス)

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寺島峰代:白川和子(寺島の妻)

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山口:沖田浩之(バーテン)

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川上さゆり:西川峰子(りえ子の同僚ホステス)

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トモコ:神津はづき(小間物屋の従業員)

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石黒医師:北村和夫

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古賀克彦:小松政夫(隣人)

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斉木警部補:中丸忠雄

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河崎刑事:樋浦勉

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刑事:中本賢

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不動産屋:石倉三郎

<ストーリー>
下町に小さな小間物屋があった。
この店の主人・寺島吉太郎(いかりや長介)は、質素倹約を絵に描いたような男だ。
商売だけが生きがいで、楽しみと言えばせいぜいおでん屋の屋台で一杯引っ掛ける程度だ。
家族は、口うるさい女房・寺島峰代(白川和子)1人で、子供は居ない。
従業員のトモコ(神津はづき)と3人、コツコツ店を守る毎日だ。

そんな寺島の小間物屋に、ある日1人の女性客がやって来た。
その客・杉田りえ子(黒木瞳)は、店内を物色して売り物の財布に目を留めた。
なのに、中々買おうとしない。
接客に出た寺島が聞いてみると、持ち合せがないのだという。
事情を飲み込んだ寺島は、「お代は後日届けて下さい」とその財布を持たせて帰した。
寺島は、酷くケチな男だ。
一見の客に信用払いを認めるなど、前代未聞だ。
それでも、この日の寺島は損をした気にならなかった。
寺島は、りえ子に一目惚れしていたのだ。

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それから数日が経過した。
りえ子は、中々代金を支払いに来なかった。
痺れを切らした寺島は、りえ子のアパートへ行ってみた。
勿論、代金が欲しかったからではない。
りえ子に会いたかったからだ。
部屋を訪ねると、りえ子は嫌な顔一つ見せず寺島を招き入れた。
りえ子を前にすると、寺島はすっかり舞い上がっていた。
代金を受け取る筈が、逆に店から持ち出した口紅と香水をりえ子にプレゼントしていた。
「あの財布、あなたにサービスします。
これも、使って下さい」
受け取ったりえ子は、大喜びで寺島にマッチを差し出した。
「ありがとう。
ねえ、今夜お店にいらして。
そしたら、お返しにうんとサービスしますから」
りえ子は、キャバレーのホステスであった。

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その晩から、寺島のキャバレー通いが始まった。
勿論、指名はりえ子だ。
寺島は、遊びを知らない男だった。
夜のキャバレーは余りに眩しく、りえ子は輝いて見えた。

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寺島は、暇さえあればりえ子に会いに行った。
毎夜のようにキャバレーに通い、自宅アパートにも足繁く通った。
当然ながら、やがて男女の関係になった。
そうなると、もう歯止めは効かない。
りえ子が欲しがるものは、何でも買い与えた。
出費が嵩むので、妻には再三苦情を言われた。
それでも、寺島はキャバレー通いを止めなかった。
もはや、りえ子無しでは居られなくなっていたのだ。

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それから暫くが経過した。
寺島は、りえ子に男が居ることに気付いた。
りえ子に尋ねると「弟よ」と言い訳したが、明らかな嘘だった。
りえ子と男は、度々会っていた。
時に夜の公園で、時にりえ子のアパートで。
嫉妬に駆られた寺島は、尾行して男の正体を確かめた。
相手は、山口(沖田浩之)というバーテンだった。

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山口の正体を知った寺島は、
りえ子のアパートへ押掛けて鬼の形相で迫った。

「家を見付けて来た。坂道の上の、いい家だ。
お店を辞めて、そこで暮すんだ。
なあ、りえ子。そうしてくれ。
りえ子、俺は何もかも知ってるんだよ。
お前が弟だと紹介したあの男は、山口っていうバーテンだということも。
でも、怒れないんだ。
怒ると、俺が寂しくなる。
お願いだから、あの男と手を切ってくれ。
金なら幾らでも出す。
何でもするから、あの山口と別れてくれ」

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りえ子は承諾した。
寺島は、りえ子を「坂道の家」に住まわせた。
生活費だけでなく、キャバレーへの借金から山口との手切金まで、何もかも寺島が用立てた。
寺島は、退路を断っていた。
貯金は切り崩し、小間物屋も完全に放り出した。
もう、元の生活には戻れない。
でも、これでりえ子と一緒に居られる。
寺島は、少しだけ安心していた。
だが、その安心は長くは続かなかった。

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同居生活を始めて数日後、寺島はりえ子と山口が切れてないことに気付いた。
りえ子は、寺島不在の隙を見て度々山口を家に引き込んでいた。
問い詰めても、りえ子はのらりくらりと言い訳を繰り返した。
どんなに言って聞かせても、聞こうとしない。
嫉妬に狂った寺島は、あらゆる手を使ってりえ子を支配しようと企むのだった。

寺島は、りえ子に薬品の瓶を見せてこんな事を囁いた。
「知り合いの薬局で分けて貰った硫酸だ。
もし、お前が俺に隠れて何処かに行ったら、
何処までも追い掛けて探し出して、これを顔にぶち撒けてやる」

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寺島は、りえ子を再三買い物へ行かせた。
家は坂道の上にある。
炎天下の行き帰りは、りえ子を酷く消耗させるものだった。

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帰宅後も、寺島はりえ子を休ませなかった。
強い酒を飲ませ、力づくで熱い風呂に浸からせた。

「りえ子、俺はお前が可愛いんだ。
誰にも渡すもんか。
それ位なら殺してやる。
お前はもう、俺から逃げようったって駄目だよ。
俺も、命がけなんだからね」

りえ子から体力を奪い、身も心も支配下に置く。
寺島の計画は、着々と進行していた。

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<その2に続く>


テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

寺田家の花嫁2
<その1>

※ネタバレ注意

<その2>
田舎暮らしが落ち着いた頃、千佳子と光生は東京に出た。
ささやかな新婚旅行代りだ。
数日千佳子のマンションに滞在して、また村に戻る。
そういう予定だ。
嫌な思い出も一杯あるが、やはり都会は便利だ。
千佳子は、光生と少しの都会暮しを楽しむつもりでいた。

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そんなある日、千佳子は買物からマンションに帰って驚いた。
いつの間にか、義母と義妹が上がり込んで勝手に家財道具を広げているのだ。
一体どういうことか?
千佳子が尋ねると、田舎の家を売り払ってここで暮したいという。
光生と義妹に至っては、既に東京で仕事まで見つけてある手回しの良さだ。

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さすがに納得出来ない千佳子は、緊急に家族会議を開いて一同を問い詰めた。

「あたしは、利用されたの?
最初からそのつもりで結婚したの?
マンション持ってるから?
東京に家族で住める部屋を持ってるから?」
「違うって」
「何が違うのよ?
結局は、寺田家の皆で東京に来たかっただけじゃない!」

千佳子は、寺田家の人々が丸で信用出来なくなった。
余りにも出来過ぎている。
それでいて、夫を信じたいという気持ちも無いではなかった。
一度失敗した身だ。
もう失敗したくない。
そんな願望から心が揺れてしまうのだ。
とは言え、気になっていた権藤の話が急に信憑性を帯びて来た。
前の妻・美弥を殺したのが真実だとすると、
今度は千佳子も殺されるかもしれない。
殺してしまえば、マンションは寺田家の物だ。

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急な不安のせいだろうか。
その晩から、千佳子は熱を出して寝込んだ。
寺田家の人々は、心配して看病してくれた。
しかし、千佳子は内心気が気じゃなかった。
毒を盛られるのではないか。
不安で仕方ないのだ。
用意されたお粥も煎じ薬も、ビクビクしながら口を付けた。
殺される。
いつか殺される。
不安に駆られながら、千佳子は熱に魘された。

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翌朝千佳子が目を覚ますと、寺田家の人々は書き置きを残して姿を消していた。
集中豪雨で家が心配になったので一旦帰るという。
何とか命拾いしたようだ。
やっと起き上がれるようになった千佳子は、1人マンションの中で思案した。
殺すチャンスはあった。
なのに、寺田家の人々は自分を殺さなかった。
何か思惑があってのことだろうか?
それとも、殺されるなんてただの被害妄想に過ぎないのだろうか?
このまま逃げてしまえば助かる。
土地鑑の無い寺田家の人々が、東京で自分を探し当てることもあるまい。
しかし、そんな気にはなれなかった。
やっぱり夫を信じたい。
本当の気持ちを確かめたい。

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千佳子は、村に戻った。
寺田家の人々は、家財道具を纏めて引っ越しの準備中だ。
すっかり東京で暮すつもりでいる。
この勢いでは、止めても聞かないだろう。

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千佳子は、光生と2人切りになって直接疑問をぶつけてみた。
「美弥さんを殺したの?
何処かに埋めたの?
今度は、あたしを殺したいの?」
千佳子の問掛けに、光生は直接答えようとはしなかった。
「疑わないでくれ。
信じてくれ」
真相がどうあれ、「はい殺しました」と答える筈もない。
千佳子は夫を信じ切ることも出来ず、疑い切ることも出来ず、判断が付きかねていた。

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そんな千佳子の前に、再び権藤が現れた。
権藤は、納屋に千佳子を呼び込んで再度訴えた。
「あいつは絶対に美弥を殺したんだ。
光生はここで美弥を殺したんだ」
寺田家の人々が留守の間、
権藤は庭を掘り起こして美弥の死体を探したという。
それでも、何も出て来ないので今日は酷くイライラしていた。
「どうして、信じてくれないんだ?
どうして、あなたは協力してくれないんだ?」
異様な剣幕で激昂する権藤を前に、千佳子はつい本音を漏らしてしまった。
「何で死んでるって決めつけるんですか?
肉親だったら例えどんなにその可能性があったとしても、
生きてて欲しいって願うものでしょ?
あなたは、美弥さんに死んでて欲しいんですか?」
痛いところを突かれたのか、権藤は突然ナタを手に取った。
「ゴチャゴチャ言うんじゃねえ!
光生のナタだ。これであんたを殺してやる。
警察は、光生が殺したと思うだろうな。
そうすりゃ、美弥の死体を見つけてくれるんだ!」
怒らせてはいけない相手を怒らせた。
千佳子は、慌てて逃げ出した。
錯乱した権藤は、ナタを振り回して千佳子を追い回した。
誰か助けて。
千佳子が祈った瞬間、権藤の怒鳴り声が消えた。
光生が助けに来たのだ。
光生と権藤は格闘の末、権藤が転落死する形で決着が着いた。
間一髪命拾いした千佳子は、光生と固く抱き合うのだった。

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警察の捜査の結果、権藤は借金苦からノイローゼ状態だったことが分かった。
妹の保険金を当てにしていたのか。
失踪した美弥に死んでいて欲しい、
いや、死んでいる筈だと思い込み、
美弥が光生に殺されたという妄想に取り憑かれていたのだ。
捜査官からその話を聞かされた千佳子は、
自分も一歩寸前だったと我が身を重ねた。

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悪い夢が終った。
千佳子は、東京への引越に同意した。
家と土地は、及川が買い取ってくれることになった。
いつか食用菊の種を分けてくれた、あの及川だ。
引越の朝、千佳子は光生に頼まれた。
及川への挨拶状をワープロ打ちして欲しいと。
光生から手書きの草稿を受け取った千佳子は、
ワープロに字を打ち込みながら妙なことに気付いた。
「ご容謝ください」
正しくは、ご容"赦"だ。
この誤変換は、前に見た覚えがある。
いつだったか。
思い返した千佳子は、背筋が凍り付いた。
警察に見せられた原口の遺書と、
美弥から届いた詫状と、今回を含めて3回見た覚えがある。
3人の人間が、同じ誤変換をするだろうか?
書いたのは同一人物と見るのが自然だろう。
だとしたら、原口の遺書も、美弥の詫状も、全部光生が書いたことになる。

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千佳子は、ふと山中の菊を思い出した。
少年に案内されて見に行ったあの菊だ。
あれは珍しいどころじゃない。
有り得ない。
人工的に交配した食用菊が、山中の一角に生えて来るなど。
でも、あの下に種を持った誰かが埋められてるとしたら。
それなら、辻褄が合う。

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千佳子は、光生と義母と義妹を連れて山中の一角に行った。
不自然に咲いた食用菊を前に、千佳子は光生を問い質した。
「美弥さんを殺したのね?
美弥さん、土の中で叫んでたのね?
ここに居る、早く見つけてって」
千佳子の追求を受けた光生は、その場に土下座して皆に謝った。
「済まなかった」

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光生は、警察に自首した。
美弥を殺した理由は何だったのか?
捜査官に問われた光生は、3年前の出来事を打ち明けた。

美弥は、田舎暮らしを嫌った。
元々、結婚したのは借金取りから逃げるための偽装に過ぎず、
光生に対しても愛情など微塵も持ってはいなかった。
ある夜、美弥は家の金品を持ち逃げしようとした。
寸前で捕まえた光生は、盗みは水に流すからここに残ってくれと頼んだ。
だが、美弥は聞く耳持たずに光生に毒づいた。
「最初からあんたなんか、好きでも何でもなかった!」
その一言だけは、聞きたくなかった。
気が付くと光生と美弥は揉み合いになり、結果として光生が美弥を殺してしまったのだ。

千佳子の前夫・原口を殺したのも光生だった。
別れ話が拗れ、仲裁の筈がやはり結果として殺してしまった。
遺書は光生の偽装であった。

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美弥と原口、
2つの殺人を告白した光生は、調書を取る刑事を前に項垂れた。
「私はもうこれで嘘を付かなくて済む。
千佳子に嘘を付いていたことが、苦しくて堪らなかった。
なして、こんな事になってしまったんでしょうね。
千佳子と東京で、故郷から離れたところで幸せになりたかっただけなのに。
でも、大切な人に嘘を付いて幸せになれる訳がない。
当り前の話ですよね」

岸本加世子、柳葉敏郎:小池真理子サスペンス 寺田家の花嫁 [テレビ大阪] 2012年10月24日 13時00時00秒(水曜日)


テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

寺田家の花嫁1
岸本加世子主演の2時間サスペンス。
農家に嫁いだ嫁の周囲に不気味な出来事が頻発する。
やがて、嫁は精神的に追い詰められてゆき、夫も姑も信じられなくなってしまう。
そんなある日、嫁は一家に隠された禁断の秘密を突き止める……というお話。
閉鎖的な田舎の描写が印象的な作品。

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テレビ東京
ファミリー劇場
水曜女と愛とミステリー
テレビドラマデータベース

<番組データ>
脚本:浅野有生子
初回放送:2001年
放送枠:テレビ東京「女と愛とミステリー」

<出演>
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斉木千佳子:岸本加世子

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寺田光生:柳葉敏郎

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寺田セツ:岸田今日子

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寺田綾子:大寶智子

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石塚紀美子:磯野貴理子

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原口敬一:南条弘ニ

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及川清治:八名信夫

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権藤利夫:モロ師岡

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寺田美弥:ひがし由貴

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駐在:田口主将

<ストーリー>
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田舎の旧家・寺田家が、東京から嫁を迎え入れた。
斉木千佳子(岸本加世子)というその女性は、嫁入りするには少々年配だ。
村の人々は口々に噂した。
何を好き好んで、こんな寂れた田舎に嫁ぐのかと。

千佳子とその夫・寺田光生(柳葉敏郎)は、お見合いパーティーで知り合った。
光生は農家の長男だ。
義母・寺田セツ(岸田今日子)と義妹・寺田綾子(大寶智子)と同居している。
それでも、千佳子に不満は無かった。
義母も義妹も、千佳子を気持ちよく迎え入れてくれた。
それに何より、新しい生活が始められるのが千佳子には嬉しかった。
千佳子は、前の人生から逃げ出したかったのだ。

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千佳子はバツイチだ。
前の夫・原口敬一(南条弘ニ)とは丸で上手くいかなかった。
離婚の時も、揉めに揉めた。
それどころか、離婚した後までしつこく付き纏われた。
別に恋人が出来ましたと言っても、原口は延々と復縁を迫って来た。
今の夫・光生が間に入り、やっとの思いで手を切った。
それももう過去の話だ。
原口は少し前に亡くなった。
借金を苦にして投身自殺したのだ。
千佳子には少しだけ財産がある。
父の遺産のマンションだ。
助けてあげられないこともなかった。
だが、敢えて助けず逃げ出した。
そのせいか、千佳子の心には何処か罪の意識が燻っていた。

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心機一転やり直そう。
寺田家の嫁となった千佳子は、
一日も早く田舎暮らしに馴染もうと努力した。
御近所さんに出会すと積極的に挨拶し、
義母の手解きを受けて田舎の生活習慣を学んだ。
村は閉鎖的で、千佳子を受け入れてくれる人は中々現れなかった。
近隣で食用菊の栽培をしている及川清治(八名信夫)という男が、
千佳子の唯一の話し相手だ。
気さくな及川は、時々千佳子をビニールハウスに招き入れて食用菊の説明をしてくれた。
時には種を分けてくれることもあった。
千佳子は、いつか育てようとその種を大事に保管するのだった。

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そんなある日、千佳子はキノコ狩りに入った山の中で、妙な男に話し掛けられた。
権藤利夫(モロ師岡)と名乗るその男は、深刻な表情で千佳子に訴えた。

あなたの夫・光生は人殺しだ。
前の妻・美弥(ひがし由貴)を殺して、何処かに埋めたに違いない。
私は美弥の兄です。
あなたには、美弥と同じ目に遭って欲しくない。
美弥が何処に埋められたのか、探し出すのに協力して欲しい。

初対面の男に出し抜けに言われて、千佳子は戸惑った。
それが本当なら恐ろしい話だが、この権藤の雰囲気も何処か妙だ。
俄に信じることも出来ず、千佳子は取り敢えずその場から逃げ出すのだった。

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その晩、権藤が駐在(田口主将)を伴って家に押し掛けて来た。
どうやら、例の話を警察に相談したらしい。
事情を飲み込んだ光生は、手紙を差し出して説明した。
それは、美弥から光生に届いた詫状であった。

田舎暮らしが嫌になって家を飛び出した。
家の金品を勝手に持ち出して御免なさい。

そういう内容だ。
消印は東京で、文面に不審な点は見当たらない。
美弥も新しい人生を求めて都会へ出て行ったのだろう。
納得した駐在は、権藤を宥めながら帰って行った。
一応引き下がりながらも、権藤は激しく反発した。
「これだけじゃ、生きている証拠にならない」

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やがて、千佳子にもう1人の話し相手が出来た。
村に住む少年だ。
少年は、東京から嫁いだ千佳子が珍しいのだろう。
理由もないのに、よく家に遊びに来た。
ある日、千佳子は少年に連れられて山に入った。
「珍しい花があるから見せてやる」
そう言って、少年は山の一角に千佳子を案内した。
行ってみると、確かに少しだけ菊が咲いていた。
とは言え、それ以上何があるでもない。
慣れない山歩きで疲れ果てた千佳子は、ガックリと肩を落とした。
田舎暮らしも楽じゃない。

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その山で、千佳子はまた権藤と出会した。
権藤は、一心不乱に穴を掘っていた。
美弥が何処かに埋められていると、本気で信じているようだ。
美弥の話は権藤の妄想だろうか?
それとも真実なのか?

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<その2に続く>

テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

雁の寺(TV版)
水上勉原作「雁の寺」のドラマ版。
単発1時間の作品なので、物語は大幅に簡略化されている。
大筋は映画版と同じだが、
里子が継母に虐められていたと告白するなど独自設定もある。 

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テレビドラマデータベース

<番組データ>
脚本:中島丈博
初回放送:1989年8月28日
番組名:テレビ東京「月曜・女のサスペンス」

<出演>
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里子:かたせ梨乃

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慈海:金田龍之介

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慈念:馬渕英明

<ドラマ版の特徴>
慈海和尚の失踪から物語が始まり、
回想によって里子と慈念の密通に至る経緯が描かれる。
2人の恋愛感情がより露骨に描かれており、
殺人の動機も嫉妬に起因すると明示されている。
(映画版では、出生の秘密を知られたことが動機として暗示されているだけで、
慈念が里子に恋愛感情を抱いているという描写はない)
回想が終了して葬式が描かれ、
式の後に里子が慈念の殺人に気付く。
そして、破り取られた襖絵の前で里子が膝を付くシーンでエンドクレジット。
慈念が失踪して里子も寺を出たことがナレーションで語られる。

かたせ梨乃:雁の寺 [テレビ大阪] 2010年07月27日(火曜日)

<かたせ梨乃:関連作品>

テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ



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