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ヤヌスの鏡:18話(最終回)
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18話「輝ける合体」(最終回)

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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小沢初江:初井言榮

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小沢一樹:前田吟、小沢みどり:小林哲子

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森村誠路:中条静夫

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河本達之:高橋悦史、河本美穂子:吉行和子

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小沢由紀子:杉浦幸(二役)

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大沼ユミ:杉浦幸

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長田直美:長山洋子、秋野理江:百瀬まなみ、戸塚京子:荒井玉青、後藤亮子:橋本薫子、竹中明夫:竹内力

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進東哲也:宮川一朗太、進東修一:蟹江敬三

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東涼子:大沢逸美、河本達郎:風見慎吾

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遠藤浩一:石橋正次、中山充郎:大石吾朗、磯村治美:小出綾女、須長義男:長谷川恒之

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阿部純子:河合その子

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杏子ママ:中村晃子

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栗田圭子:賀来千香子

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堤邦彦:山下真司

<ストーリー>
『裕美の祖母・小沢初江が急病で倒れ病院に運ばれるという事態が発生した。
邦彦の保護監督下に置かれ大自然の中で生気を取り戻した裕美は、
同時にユミとしての魔性も蘇らせていた。
山の別荘から姿をくらましたユミは初江の入院する病院に忽然と姿を現していたのである』

深夜、裕美のもう1つの人格・大沼ユミ(杉浦幸)は、
看護婦に変装して裕美の祖母・小沢初江(初井言榮)の入院する病室に忍び込んだ。
病床の初江は、こんこんと眠り続けていた。
ユミはナイフを突き付けて初江を揺り起こした。
初江が目を覚ますと、ユミは初江を脅迫した。
「あたしはユミだ。ユミがお前に用があってやって来たんだ。
あたしは外国に飛ぶつもりさ。
お前にその費用を出して貰おうと思ってね。
嫌だとは言わせないよ。
あたしはお前の弱みを握ってるんだ。
裕美はドジな女だから気付いちゃいないが、あたしは知ってるんだ。
裕美の母親を殺したのはお前だろう?」
初江がギョッと驚くと、突然病室のライトが点灯した。
裕美の担任教師・堤邦彦(山下真司)が立っていた。
裕美が山荘から抜け出したのに気付いて追い掛けて来たのだ。
ユミは捨て台詞を残して病室から逃げ出した。
「ババア、あたしはもう一度必ず戻って来る。金を用意して待っているんだ。
そうしないと、あたしはお前の秘密を裕美にバラしてしまうからね」

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ユミが病棟の外に駈け出してくると、
バイクに乗った野獣会会長・東涼子(大沢逸美)がその前に乗り付けた。
「ユミ、乗りな」
それを受けてユミが飛び乗ると、
涼子は夜の闇へとバイクを疾走させた。
そして、暫く走ったところでバイクを停車させ、改めて後部座席を確認した。
そこに居たのは、ユミとは似て非なる別人だった。
「お前は裕美?!」
ユミは、いつの間にか女子高生・小沢裕美(杉浦幸)に戻っていた。
ユミとケリをつけるためにここ迄連れ出したはいいものの、
これではどうにもならない。
涼子は仕方なく、裕美がまたユミになるまで待つことにした。
裕美は山荘に帰りたがったが、涼子はそれを許さなかった。

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涼子は裕美を連れて、ショッピングモールの踊り場にやって来た。
そこからは夜景がよく見える。
涼子は夜景を眺めながら裕美に語り掛けた。
「裕美、あたしとお前は生まれてすぐに捨てられた赤ん坊だったね。
あたしは東京駅のコインロッカーの中に捨てられていたんだ。
親を知る手がかりなんて何も残ってなかった。
あたしの親はこの街さ。
このネオンの海があたしの生まれ故郷なんだ。
あたしは祝福されることもなく産まれた赤ん坊、
憎しみの中から産まれた赤ん坊なんだ。
そのあたしがたった一度ファミリーを感じたのがユミだった。
それなのにユミはあたしを裏切った。
これが許せると思うかい?」
涼子は、どうしてもユミを打ちのめすと言って聞かなかった。
裕美は涼子に申し出た。
「涼子さん、お願いがあります。
私、お婆ちゃまに会って尋ねなければならないことがあるのです。
私がユミになる前にその時間を頂けませんか?
お婆ちゃまと会って話をしたら、必ずあなたのところに戻って来ます」
裕美の目は真剣だ。
嘘を付いている目ではなかった。
涼子は、その場に立ち会うことを条件に裕美の申し出を受け入れた。

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その頃、杏子ママ(中村晃子)のバーでは、
裕美の弟・河本達郎(風見慎吾)と裕美の同級生・進東哲也(宮川一朗太)が酒を飲んで踊り狂っていた。
二人は妙に意気投合していた。
達郎はユミに失恋し、進東は裕美に失恋していた。
同じ傷心を抱えた二人なので、話しているうちに妙に馬があったのだ。
二人の意を汲んで、杏子ママは何も言わずに酒を用意するのだった。

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こうして波乱の一夜が明けた。
翌早朝、小沢邸に裕美の関係者一同が集められた。
祖母・初江、養父・一樹(前田吟)、養母・みどり(小林哲子)、
裕美の弟・達郎(風見慎吾)、その父・河本達之(高橋悦史)、母・美穂子(吉行和子)、
それに堤と森村校長(中条静夫)の面々だった。
一同は、裕美によってこの邸に呼付けられたのだ。
入院中だった初江は見るからに衰弱した様子で、
息子夫婦に抱えられて漸く歩ける状態だった。
一同によって仏間に寝床が設けられ、初江はそこに寝かし付けられた。
準備が整うと、涼子に付き添われた裕美が仏間に入って来た。
「御心配をお掛けしました」
裕美はそう言って一同に頭を下げると、身を起こした初江に向き直った。
裕美は、初江にこれ迄の経緯を説明した。
自分が自分から消えていくという経験を何度も繰り返したこと。
意識が飛んでいる間に、自分が大沼ユミという別人になっていたこと。
ユミになった自分が数々の犯罪に手を染めてきたこと。
ユミがどうしてそんなに暴れ回るのかその理由が知りたいこと。
裕美は続けた。
「私考えました。
まず真っ先に浮かぶのは、私がお婆ちゃまに受けた折檻でした。
折檻の中でも特に辛かったのは、
私の産みの母に対する憎しみの言葉を浴びせられた時でした。
母を罵られると、私の体は痺れて感覚がなくなっていました。
母の淫らな血が私にも流れていると思うと、
それだけで私は生きていく勇気を失いました。
人を愛することも、愛されることも出来ないんだと思って、
何度泣き明かしたか判りません。
私の母の姿を、ありのまま話して下さい」
孫娘の訴えを受けて、初江は枯れた声を懸命に絞り出して話を始めた。

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初江は、裕美の産みの母・由紀子(杉浦幸・二役)をとても大切にしていた。
世界に誇る一流の女性にしたいと、幼少期から英才教育を施してきた。
そんな中、未だ女子高生だった由紀子の妊娠が発覚した。
親心を踏み躙られたと感じた初江は、由紀子を叱り飛ばした。
「この子は、この子は。
何処の馬の骨とも判らぬ不良の子など身籠りおって。
恥を知りなさい、恥を。
いいですか、由紀子。
お母様は決してその子を産むことは許しません。
許すものですか」
初江がどんなに反対しても、由紀子の決意は崩れなかった。
愛する人の子を産みたい。
どうしても産みたい。
その一心だった。
由紀子は家を飛び出し、一人赤子を産み落とした。
それが裕美だった。
何とか出産には漕ぎ着けたが、だからと言って頼れる人がいる訳でもない。
親には勘当され、恋人にも逃げられてしまった。
由紀子は、緑児を抱いて夜の街を彷徨うしかなかった。
この噂を耳にした初江は、手をつくして由紀子を探し出した。
初江が対面に行くと、由紀子は赤子を見せて母に訴えた。
「お母様、女の子が産まれました。
この子を見れば、きっとあの人は戻ってくれる筈です。
だって…だって、こんなに可愛い赤ちゃんなんですもの」
この期に及んで、由紀子は未だ河本に夢を見ていた。
呆れ果てた初江は、由紀子を詰った。
「ああ、汚らわしい。
その子は罪の子です。
そんな子を小沢家の孫と認められるものか。
死になさい。
その子と一緒に死になさい、この面汚し。
罪の子を産んだお前に生きる資格などあるものか。
死になさい。
その子と共に死んでおしまい!」
由紀子はショックだった。
我が子を宝だと思っていた。
なのに、母にここまで強い嫌悪感を露わにされるとは思ってもみなかった。
全てを否定された由紀子に、もはや生きる気力は湧いて来なかった。
由紀子は、書置を残して入水自殺した。
「お母様、赤ちゃんだけは助けてください」

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由紀子の死の真相を告白した初江は、裕美の手を取った。
「裕美、あなたのお母様の由紀子は人を愛することに直向な純真な女でした。
このお婆ちゃまが小沢家の名誉や体面に拘り、あなたのお母様の由紀子を殺してしまったのです。
許しておくれ、裕美。
お婆ちゃまは由紀子への憎しみをあなたにぶつけていたのですね。
もう少しでお婆ちゃまは、あなたを由紀子と同じ運命に追い込むところでした。
許して下さい」
ここまで話したところで、初江は発作を起こして苦しみだした。
「死にたくない…生きたい…生きていたい」
断末魔の悲鳴を上げ、藻掻き苦しんだ末に初江はガクリと事切れてしまった。
祖母の死を目の当たりにした裕美は、泣きながら部屋を飛び出して行った。

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涼子と堤は、裕美を追い掛けて行った。
暫く走ったところで、裕美が立ち止まって後ろを振り向いた。
またしても、裕美はユミになっていた。
「涼子、お望み通り決着を付けてやろうじゃないか。来な」
ユミがそう言い放つと、涼子も受けて立とうとナイフを抜いた。
「裏切り者は許さない」
涼子はユミに斬り掛かった。
まだまだ動きの鈍いユミは、切っ先を交わし損ねて腕に傷を負った。
その瞬間、激痛が走った。
痛みを感じない筈のユミの体に、異変が起きていた。
涼子が再度斬り掛かると、ユミは今度は交わして涼子からナイフをもぎ取った。

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続いて、ユミは成り行きを見守っていた堤に向き直った。
「堤、あたしが生きることを邪魔する奴はぶち殺す」
ユミはナイフを構えて堤に突進した。
あわやというところで、ユミの切っ先が突然停止した。
「ユミ、どうしたんだ?ナイフを突き出さないのか?」
堤が問掛けると、ユミは泣きながら答えた。
「突いたら先公が死んじまうじゃないか。
死んじまったら先公に会えなくなっちまうじゃないか。
先公の説教が聞けなくなっちまうよ」
ユミの手からナイフが落ちた。
表情が次第に崩れていった。
射るような視線が消え失せ、顔つきが裕美に戻っていった。
そんな裕美を、堤は力一杯抱き締めた。
「小沢、お前は自分の意思でユミであることを止めることが出来たんだ」

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堤と裕美の抱擁を見届けた涼子は、何か吹っ切れた様子で呟いた。
「ユミは永遠に消えちまったようだね。あたしの敵が消えたんだ。今度はあたしがこの街から姿を消す番さ」
立ち去ろうとした涼子に、駆け付けた達郎が声を掛けた。
「会長さん、何処へ?」
涼子は、達郎に晴れやかな笑顔を残して去っていった。
「北風に聞いて欲しいね」

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こうして大沼ユミは永遠に姿を消した。
裕美は元の平凡な女子高生に戻った。
学校に登校すれば、笑顔の級友たちが迎えてくれる。
堤の復職も間近に違いない。
裕美はそう期待していた。
復職の時期がいつになるのか、裕美は校長・森村誠路(中条静夫)に尋ねた。
森村校長は、堤は九州の高校に赴任することになったと言って手紙を差し出した。
堤が裕美に宛てた手紙だった。

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「君がこの手紙に目を通す頃、私は九州に向う列車の中にいるだろう。
君と別れることは身を切られるように辛いことだ。
だが、先生は敢えて君と別れることを選んだ。
それはな、小沢。
先生は小沢に17歳の青春を丸ごと返してあげたいと思っているからだ。
17歳の君には、17歳の出会いが必要だ。
その出会いが青く未熟でそれ故にこそ傷付くことが多いとしても、
それもまた君が引き受けなければならない17歳の世界ではないだろうか。
君は昼と夜との二つの世界の中で、様々な出会いと別れを知った筈だ。
その出会いと別れも、また深く心に刻みつけて欲しい。
彼たちも、彼女たちもまた、君と同じようにたくさんの自由を求め、
魂を熱く熱く焦がすことを求め、それが故に深く深く傷付いた戦士たちなんだ。
人間に絶望するよりも信頼することだ。
絶望は何も生み出さないが、信頼は君自身の生きる勇気になるだろう。
自由の戦士の苦悩と喜びを知ったことこそ、君にとって何よりも代えがたい貴重な経験になるだろう。
君はそれら全てを君の想像力の翼として、新しい出会いを求めて欲しい。
いつか、君に相応しい出会いが得られるまで賢い目と優しい心を持って多くの人間と出会って欲しい。
君は今、裕美の心とユミの心を重ね合せて新しく生まれ変わった。
先生は、生まれ変わった君の人間としての力を信じている。
人間としての力とは、この世の悲しみを全て引き受けて尚且つ健やかな笑顔と共に生き続けていくことだ。
小沢、さようなら。
先生は小沢に会えたことを感謝している。
さようなら」

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『1986年4月16日、小沢裕美17才、君の人生はまだ始まったばかりだ』

ドラマ ヤヌスの鏡(第18話) [サンテレビ] 2013年11月20日 15時00時00秒(水曜日)

<主題歌:椎名恵>

テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:17話
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17話「私の敵は祖母」

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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堤邦彦:山下真司

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小沢初江:初井言榮

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小沢みどり:小林哲子、小沢一樹:前田吟

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水野医師:中島久之

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森村誠路:中条静夫

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進東修一:蟹江敬三

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杏子ママ:中村晃子

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幼少期の裕美:近藤花恵

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栗田圭子:賀来千香子

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河本達郎:風見慎吾

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東涼子:大沢逸美

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河本達之:高橋悦史(詰襟)

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小沢由紀子:杉浦幸(二役)

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進東哲也:宮川一朗太

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大沼ユミ:杉浦幸

<ストーリー>
『警察病院の係官から裕美の精神が極めて危険な状態にあると報せを受けた邦彦と達郎は、
不安に胸を痛めつつ病院に駆け付けた。
専門の精神科医の治療を受け、心の謎に取り組んでいると思われる裕美の身に一体何が起こったのであろうか?』

入院中の女子高生・小沢裕美(杉浦幸)の急を聞いて、
担任教師・堤邦彦(山下真司)、弟・河本達郎(風見慎吾)を始め、
祖母・初江(初井言榮)、養父・一樹(前田吟)、養母・みどり(小林哲子)ら親族が病院に駆け付けた。
裕美の主治医・水野(中島久之)は、一同を前に説明を始めた。
入院後の裕美は、進んで治療を受けていた。
面接を重ねて、経過は良好のように思われた。
しかし、水野医師が実母・由紀子(杉浦幸)のことを尋ねると、
突如として裕美は心を閉ざした。
その後は何を聞いても裕美は受け付けず、
今では日常会話もままならない放心状態に陥っているという。
水野医師は、一同を裕美の病室に案内した。
裕美は虚ろな表情で何事か呟きながらベッドに座り込んでいた。
耳を澄ますと、何を言っているかが聞き取れた。
「堤先生…堤…」
病室の壁には、食器用具で「堤邦彦」と文字が刻んであった。
裕美は堤のことで頭を一杯にしてるのだ。
そうして、今にも壊れそうな自分の心を何とか繋ぎ留めているのだ。
食事ですらまともに摂らないので、肉体的にも衰弱状態に陥っていた。
こうなると、水野医師にも治療の施しようがなかった。
一同で話し合った結果、裕美の身柄は当分堤が預かることになった。
裕美が唯一心を開く堤の元に置けば、事態は打開できるかもしれない。

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『数日後、家庭裁判所の決断によって小沢裕美は堤邦彦の保護監督下に置かれることになり、
爛漫の春に背を向けるようにして何処へともなく立って行ったのである』

堤は知合いから山荘を借り受け、裕美を連れて行った。
周囲に文明の影はない。
あるのは森林と、渓流と、山道だけだ。
夜になれば街灯も何もないので真っ暗になる。
見上げれば、満天の星空が視界を覆う。
聞こえるのは、鳥の音、虫の音、せせらぎの音だけだ。
裕美と堤は、当分ここで二人暮しをすることになる。

『人口の音と光が一切途絶えた大自然の中、
暗闇の中での熟睡と土の上を裸足で歩くという極めて原始的な運動が、
裕美の肉体を驚嘆すべきスピードで回復させていた』

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山荘暮らしによって、裕美は次第に平静を取り戻していった。
堤は静かに見守り続けた。
日常会話が復活し、体力もみるみる回復している。
頃合いを見計らって、堤は裕美に本題を切り出した。
この話合いの目的は一つ。
裕美が何故大沼ユミになってしまうのか、その謎を解き明かすことにあった。
まず、大沼ユミのことをどう思っているのか堤は裕美に尋ねてみた。
裕美は「大嫌いです」と答えた。
「それだけか?」と堤は重ねて尋ねた。
裕美は自分の胸に訊いてみた。
ただ嫌いな訳じゃない。
本音は、ちょっぴり羨ましい。
いや、本当は自由奔放なユミが凄く羨ましい。
裕美はずっと何かに抑圧されて来た。
自由になりたい。
大暴れしたい。
思ったことを口に出したい。
いつも心の何処かで募らせて来た。

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裕美が自分の心に向き合っていると、
堤はその原因が何処にあるのか考えて見るよう裕美に促した。
裕美は自分でも判っていた。
原因は、幼少期にある。
物心付いた頃から、祖母によって厳しく躾けられて来た。
間違ったり怠けたりすると、容赦無い叱責と折檻が待っていた。
いつでも何処でも祖母の目が光っている。
息苦しい重圧を感じながら、裕美はずっといい子を演じてきた。
逃げ出したい気持ちで一杯だった。

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そんな中、裕美は自分の体に異変が起きていることに気が付いた。
時々意識が飛んでいる。
いつの間にか、自分が知らない場所にいる。
何をしていたのか全然覚えていない。
そんなことが頻繁に起きるようになっていた。
意識が飛ぶ切掛は3つある。
打たれること、鼻を突くニオイ、硝子や陶器が割れる音、
どれも祖母の折檻を連想させるものだ。
裕美は幼少期から祖母に警策で打たれ、
お香の立ち込める仏間で説教を受け、
何かの拍子で器を割ると厳しく叱責されて来た。
折檻の時、祖母は決まって母親を引き合いに出した。
「裕美、お前には母親の淫らな血が流れているのです。
お婆ちゃまの諫めにも耳を貸さず、平気で街の不良共と交際し、
挙句の果てにはその不良の子を宿すような淫らな血が流れているのです。
お前は母親を真似て淫らな女になりたいのか?」
祖母の声が今でも頭の中にこだまする。

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堤が母親の事を話すよう促すと、裕美は激しく抵抗した。
「私、母のことを話すのは嫌です。
それだけは許してください。
先生が…先生が私を嫌いになります。
嫌いになるから嫌なんです。
だって…だって先生に嫌われたら、私もう生きていけません」
裕美の心理的負担がピークに達していた。
これ以上は無理と見た堤は、そこで質問を打ち切った。

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後日、山荘に裕美の弟・河本達郎(風見慎吾)とその父・河本達之(高橋悦史)が訪ねて来た。
裕美が心配になって様子を見に来たのだ。
応対に出た堤は、裕美の経過は順調であることを報告した。
裕美は毎日20キロの速歩を続けて体を鍛えているという。
丁度今も出掛けていると聞かされた達郎は、
早く裕美に会いたいと山荘を飛び出して行った。

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達郎が暫く山道を探していると、渓流から裕美の悲鳴が聞こえてきた。
慌てて悲鳴の場所へ走ってゆくと、
裕美が野獣会会長・東涼子(大沢逸美)に鎖で締め上げられているのが目に入った。
涼子は自分を裏切ったユミに復讐するために、こんな山の中まで追い掛けて来たのだ。
涼子の絶叫がこだまする。
「今日という今日は逃さないよ。早くユミになってあたしと勝負しな。
ユミになれ。ユミになってあたしと闘え」
裕美は抵抗した。
「嫌です。私はもうユミにはなりません。絶対ユミにはなりません」
達郎が助けに行くと、裕美は鎖を振り解いて逃げ出した。

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命辛がら山荘に辿り着いた時、裕美はまたしても大沼ユミ(杉浦幸)になっていた。
ユミは堤に皿を投げ付けると、大暴れを始めた。
「あたしを閉じ込めるな。先公、お前はあたしを窒息させる。死ね」
ユミは堤を投げ飛ばした。
堤は受け身を取って立ち上がり、ユミの前に立ち塞がった。
ユミがまた投げ飛ばしても、堤は何度でも受け身を取って立ち上がった。
「ユミ、息が上がってるぞ。そんなことで私を倒せるのか?」
療養生活で回復したとはいえ、ユミの体力は万全ではない。
堤が乱取りを仕掛けると、ユミは完全に息切れしてしまった。
堤はユミの関節を極めて問い詰めた。
「ユミ、皿を割った気分はどうだ?
この世のもので不滅のものは何一つないんだ。
生き物も物も必ず滅びる時が来る。
人間の命も同じだ。
命には限りがあるぞ。
一度滅びたものは、もう二度と元に戻ることはないんだ。
命に限りがあるから、大切に守らなければならないんだ。
人間の命も、物も同じだ」
ユミは抵抗を止めない。。
「畜生!放せ!あたしを放せ!」
その瞬間、ユミの関節が更に締め上げられた。
悲鳴を上げるユミに、堤が怒鳴り付けた。
「未だ分からんのか!この痛みはお前に割られた皿の痛みだ!」
とうとうユミは絞め落とされてしまった。

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暫くして、ユミは裕美になって目を覚ました。
裕美の父・河本は傍らからずっとこの様子を見守っていた。
裕美は懸命に足掻いている。
自分のもう1つの人格と闘っている。
心打たれた河本は、裕美を前にとうとう認めた。
「裕美は、私の娘だ」
裕美の頬を涙が伝った。
「お父さん…ありがとう。
でも、一つだけ教えて。
あなたは、お母さんをどうして捨てたりしたの?」
裕美に問掛けられた河本は、裕美の母・由紀子(杉浦幸・二役)との馴れ初めについて打ち明けた。
学生時代、河本は由紀子と真剣に愛し合っていた。
決していい加減な気持ちで付き合っていた訳ではない。
本気で結婚を決断した河本は、両親を伴って由紀子の実家へ挨拶に行った。
応対に出た由紀子の母・初江は、河本を悪し様に罵った。
「由紀子を嫁に欲しいですと?
財産目当ての野良犬に、小沢家の大切な一人娘を嫁にやって溜まるものですか。
厚かましいにも程がある」
未だ若く自尊心の高かった河本は、これを受け流すことなど出来なかった。
「財産目当ての野良犬?ふざけるな!」
啖呵を切って小沢家を飛び出し、金輪際由紀子になど会うものかと心に決めた。
その後由紀子が自殺したと聞いても、娘の存在を認めることが出来なかった。
意地を張り続けて、年月だけが経っていたのだった。
「許して欲しい。今の私にはこれしか言えない」

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その夜、裕美は祖母の夢を見た。
夢の中の祖母は、いつものように裕美を叱り飛ばした。
「裕美、お前には由紀子の淫らな血が流れているのです。淫らな血が!」
このショックで再び裕美の中のユミが目覚めた。
ユミになった裕美は、堤を出し抜いて山荘を飛び出した。

山荘を出たユミが最初に向ったのは、
生徒会長・進東哲也(宮川一朗太)の家だった。
ユミは進東の部屋に上がり込むと、
飾られていた絵に火を付けて次々庭に放り出した。
どれも裕美を描いた絵だ。
進東が唖然と見守る中、ユミは進東に言い放った。
「哲也、昔のものなどみんなみんな燃やしてしまうんだ。
胸の中に閉じ込めた青春の恨み、みんな炎と燃やせばいい」
こう言い捨てて、ユミは夜の闇に消えて行った。
ユミは裕美が生んだもう1つの人格だ。
抑圧を嫌い、自由を求めている。
進東もまた、父子家庭で抑圧されながら育ち、自由への捌け口を求めて来た。
自分の思いをどうしていいか判らぬ進東は、
人形のように裕美を愛していると思い込むことで自分を誤魔化してきた。
裕美の絵は、その象徴なのだ。
庭で燃え盛る絵の数々を見つめていると、進東は不思議な開放感を覚えるのだった。

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続いてユミが向ったのは、小沢邸であった。
中は蛻の殻だった。
ここ暫くの心労が祟ったのか、初江が倒れて救急車で病院に担ぎ込まれていたのだ。
ユミは誰も居ない仏間に忍び込むと、香壺を叩き割った。

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深夜、初江が入院した病棟に看護婦に変装したユミが現れた。
初江の病室を見付けると、ユミは静かに扉を開けた。

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『邦彦の祈りも虚しく、ユミは前よりも一層激しく救いようのない孤独と残酷さを併せ持つ恐るべき魔少女として復活した。
果たしてユミと裕美の明日に待つものは破滅か救済か』

ドラマ ヤヌスの鏡(第17話) [サンテレビ] 2013年11月19日 15時00時00秒(火曜日)

<蟹江敬三:関連作品>

テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:16話
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16話「私が勝ったと叫ぶ魔少女」

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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河本達郎:風見慎吾

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河本達之:高橋悦史

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河本美穂子:吉行和子

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殺し屋:

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大沼ユミ:杉浦幸

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杏子ママ:中村晃子

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進東修一:蟹江敬三、進東哲也:宮川一朗太

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戸塚京子:荒井玉青、長田直美:長山洋子、竹中明夫:竹内力、秋野理江:百瀬まなみ

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後藤亮子:橋本薫子、阿部純子:河合その子

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婦警:南陽子

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幼少期の裕美:近藤花恵

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堤邦彦:山下真司

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東涼子:大沢逸美

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小沢初江:初井言榮

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小沢一樹:前田吟

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小沢みどり:小林哲子

<ストーリー>
『宝石強盗の主犯として手配された裕美は、河本によって海辺のマンションに連れて来られたが、
悲しいかな河本のその行為は娘を思う父親の心情からなされたものではなく、
大人の醜い打算であったのである』

宝石店社長・河本達之(高橋悦史)は、
マンションの一室に女子高生・小沢裕美(杉浦幸)を監禁しようとしていた。
逃げ出そうとする裕美を河本が無理に押さえ付けていると、
突然隣りの部屋から河本の息子・達郎(風見慎吾)が入って来た。
驚いた河本が、達郎に尋ねた。
「達郎、お前何故ここに?」
このマンションは河本の隠れ家であると同時に、
達郎にとっても家出をした時のための避難所であった。
達郎は裕美を堤に引き渡した後、ここで休息を取っていたのだ。
「親父、俺の方が尋ねたいね。
何故姉さんをここに連れて来た?
姉さんをどうするつもりなんだよ?」
こう問われた河本が口籠るのを見て、達郎は察した。
「そうか、あんた姉さんが警察に逮捕されてあんたとの関係を話すのを恐れて、それでここに…」
図星を言い当てられて河本は俯いた。
達郎が裕美を連れて部屋から出て行こうとすると、
今度は河本の妻・美穂子(吉行和子)が、強面の男たちを従えて部屋に乗り込んで来た。
美穂子も河本がここを隠れ家にしているのを知っていたのだ。
「やっぱりあたしの思った通りね。
達郎とグルになって、小沢裕美を何処かへ逃すつもりだったのね?
そんな勝手な真似はさせるもんですか」
裕美を見ると、美穂子はハンドバッグで殴り付けた。
「この子はあたしの家族をメチャメチャにした。
それだけでも許せないのに、あたしの顔に傷を付けた。
許せるもんですか!許せるもんですか!」
達郎と河本が止めに入ると、男たちが二人を羽交い締めにした。
達郎は美穂子と河本に叫んだ。
「その人は俺の姉さんなんだよ。親父の娘なんだよ。
親父、いい機会だ。本当のことをお袋に喋ってくれよ。
小沢裕美は親父の娘だと喋ったらどうだ」
息子の懸命の訴えにも、河本は耳を貸そうとしなかった。
「馬鹿げたデマだ」
河本はこの期に及んでも裕美が娘だと認めようとしない。
達郎がなおも噛み付こうとすると、美穂子が怒鳴り付けた。
「達郎さん、生意気なことを言うもんじゃありません。
お父様が小沢さんは自分の娘ではないと否定しているのです。
それでいいではありませんか」
美穂子は急に冷静になると、河本を睨み付けて微笑んだ。
「それでいいですわね、あなた」
美穂子と河本の間で密約が交わされた瞬間だった。
隠し子の存在を隠蔽して事態を収集する。
これで手打ちなのだ。
河本が裕美の処分について尋ねると、美穂子はあっけらかんと言い放った。
「当分ここに閉じ込めておきましょう」
美穂子は河本に退室を促し、男たちには裕美の監視を命じた。
達郎は、俺はここに残ると言って美穂子と河本に背を向けた。
こんな状況で、裕美を見捨てられる訳がない。
河本の去り際、裕美は涙ぐんで呟いた。
「お父さん、18年前あなたはこんな風にして私の母を捨てたんですね」

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裕美と達郎は、男たちの監視する中マンション一室に取り残された。
河本と美穂子が立ち去ると、男たちは裕美に詰め寄った。
「クイズの時間だ。
お嬢さん、あんたの運命に関わる大事なクイズだ。
よく聞いてくれ。問題は3択だ。
1、海の底に眠る。
2、外国に売られる。
3、過去の記憶が無くなる程殴られる。
お嬢さん、この3つのうちからあんた好きなの選んでくれ」
達郎が割って入った。
「ふざけんなよ、そんなクイズがあるかよ」
途端に男の蹴りが腹に入って、達郎は蹲った。
「問題の作成者はあんたのお袋さんだ。
達郎君、君に答える権利はないんだよ。
黙って見ていてくれたまえ」
男たちは、代わり番こに裕美を突き飛ばして面白がった。
「さあ、お嬢さん。答えるんだ」
裕美の頬に張り手が飛んだ。
嬲り殺しにされる。
恐怖で頭が一杯になった瞬間、裕美のもう1つの人格・大沼ユミ(杉浦幸)が目覚めた。
ユミになった裕美は、突如としてバック転を切って身を翻すと男たちの前に立ち塞がった。
「タッチン、腕の折れる音を聞かせてあげるよ。
目を覚ましな」
言うが早いか、ユミは男たちに次々飛び掛って投げ飛ばしていった。
そして、約束通り最後の男を捻じ伏せて腕をへし折ってしまうのだった。

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こうして、ユミと達郎はマンション脱出に成功した。
クルーザーに飛び乗ると、二人は一路東京を目指した。
「このまま東京湾に殴り込みだ」
ユミと達郎は、常連にしている杏子ママ(中村晃子)のバーに辿り着き、
ウサを晴らそうと踊り狂った。
二人が踊り明かしている間に、杏子ママは裕美の担任教師・堤邦彦(山下真司)に連絡を取った。
通報を受けた堤は、慌ててバーに駆け付けた。
バーの店内には、既に刑事が張り込んでいる。
ユミが捕まるのは時間の問題だ。
堤はユミに歩み寄って説得を始めた。
「ユミ、僕と自首してくれ」
達郎も堤に同意した。
「ユミさん、お願いだ。裕美姉さんのためにも自首してくれ」
それを聞くと、ユミは「この裏切り者」と言って達郎を張り飛ばした。
「タッチン、あたし達は誰かのために何かをするなんてかったるいことは嫌いだった筈だよ。
誰かのために体を縛って溜まるかよ。自分を犠牲にして溜まるかよ」
ユミの周囲を、いつの間にか刑事が取り囲んでいた。
「大沼ユミこと小沢裕美、このビルは包囲されている。抵抗は止めて逮捕されたまえ」
ユミは刑事を睨み付けて啖呵を切った。
「やかましい!刑事の命令通り生きていたら魂が枯れちまうよ。
逮捕される位なら死んだほうがマシだ」
取り押さえようとする刑事たちを次々投げ飛ばすと、
ユミは非常階段を駆け下りていった。
「あたし1人に大の男が何人掛る気だ。汚えぞ手前ら」
道路に出ても、周り中から刑事が飛び出してくる。
「捕まって溜まるか。手錠なんて掛けられて溜まるか」
ユミは暴れに暴れて刑事たちに抵抗した。
そんなユミを、堤が抱き着いて取り押さえた。
ユミの動きが止まると、刑事たちはすぐさま手錠を掛けて連行していった。

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大捕り物の一夜が明けた。
ユミは裕美となっていた。
大人しくなった裕美に、進東警部(蟹江敬三)は厳しく取調を始めた。
裕美は正直に話した。
記憶を失っている間に何をしていたのか覚えていないことを。
それで進東警部が納得する筈もなかった。
「猫を被るのもいい加減にしろ」
進東警部は、裕美に防犯カメラの映像を突き付けた。
「お前が街の中でどんな事をしたか、忘れたとは言わさんぞ」
モニターの中では、ユミになった裕美が警官や不良を相手に大立ち回りを演じている。
裕美が思わず顔を背けると、進東警部は顔を抑えて怒鳴り付けた。
「お前が大沼ユミとしてどんな残酷な暴力を振るったか、よく見るんだ!」
裕美の前に、ユミのやらかした犯罪の数々が並べられた。
河本を階段から転落させ、宝石店を襲った世紀の犯罪。
進東警部は裕美を追求した。
「小沢、河本氏を恨む動機は何だ?
お前は何故河本氏を憎み、復讐しようとしているんだ?」
この質問の答えは既に調べが付いている。
裕美は自分を捨てた父である河本への復讐を企んだに違いない。
にも関わらず、裕美は河本への復讐を頑として否定した。
「私と河本さんは何の関係もありません」
進東警部は、裕美の両肩を揺すって怒鳴り続けた。
「何故庇う?お前を捨てた非情な父を何故庇う必要があるんだ?
河本はお前を捨てた男なんだぞ!
お前の母を捨てた男なんだぞ!」

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激しく揺さぶられた裕美の脳裏に、過去の記憶が蘇った。
幼少期、祖母・初江(初井言榮)に言って聞かされた父の実像。
初江の声が、裕美の中で木霊した。
「お前の父は、お前の母を殺した冷酷な男だ。
恨んで、恨んで、恨み殺せ。
お前の父は、お前を捨てた薄情な男だ。
憎みなさい。
憎んで、憎んで、憎み殺せ」

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取調を遂えた裕美は、婦警に連れられて留置所に戻されようとしていた。
二人きりになった瞬間、裕美の中のユミが目覚めた。
ユミは突如として婦警に襲い掛かると、首を締め上げて気絶させた。
婦警をトイレの中に押し込め、ユミは制服を奪って身に付けた。
着替えてしまえばこっちのものだ。
廊下を歩いても誰も怪しまない。
ユミは擦れ違う警官に敬礼してやり過ごすと、大胆不敵にも正面玄関から外へ出て行った。
路地に入ったところで、ユミの前に車が停車した。
野獣会会長・東涼子(大沢逸美)の車だ。
「ユミ、ここはあたしが助けてやる。乗りな」
ユミが車に乗り込もうとすると、傍らから駆け寄って来た堤がユミの腕を引いた。
「ユミ、逃亡はさせない。署に戻るんだ」
腕を振り解こうとしても、堤はすぐに返し技でユミの関節を極めてしまう。
ユミは堤に毒づいた。
「先公、邪魔すんな。あたしの自由を縛る奴はぶち殺す」
抑え付けられたユミを見た涼子が加勢に入った。
堤は、涼子をあっさり投げ飛ばしてしまった。
怒ったユミが飛び掛るが、ユミも続けて投げ飛ばされてしまった。
全然敵わない。
ユミは悔しさ一杯に叫んだ。
「畜生!畜生!畜生!畜生!」
堤は暴れるユミを担ぎあげて警察署に連れ戻した。
騒ぎを知って駆け付けた進東警部は、取調とは別人と化したユミの姿に驚愕していた。

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『裕美の誓いも虚しく大沼ユミは火花が飛び散るように裕美から分離して勝手気侭に行動していた。
裕美からユミ、ユミから裕美に移行する度合いが頻繁になり、
当局は遂に大沼ユミこと小沢裕美を緊急に専門家の精神鑑定を受ける必要ありと判断し、
警察病院の精神科に入院させたのである』

数日後、堤の元に病院から電話が掛って来た。
至急来て欲しいという。
堤は、裕美を心配する達郎と共に病院に急行した。

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『精神鑑定を受けるために警察病院に入院した裕美に一体何が起こったのであろうか。
実は、裕美の人格は崩壊寸前の状況にあったのである
果たして邦彦は、裕美の心に生気を蘇らせることが出来るのであろうか』

ドラマ ヤヌスの鏡(第16話) [サンテレビ] 2013年11月18日 15時00時00秒(月曜日)

<長山洋子:関連作品>

テーマ:もう一度見たいドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:15話
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15話「悪魔の棲む館」

<出演>
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大沼ユミ:杉浦幸

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小沢初江:初井言榮

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小沢みどり:小林哲子,小沢一樹:前田吟

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秋野理江:百瀬まなみ、戸塚京子:荒井玉青、長田直美:長山洋子、後藤亮子:橋本薫子、阿部純子:河合その子

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小沢裕美:杉浦幸

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東涼子:大沢逸美

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石原ヨシエ:石崎文也

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渡辺美樹:井上香(左)

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堤邦彦:山下真司

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栗田圭子:賀来千香子

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河本美穂子:吉行和子

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杏子ママ:中村晃子

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河本達之:高橋悦史

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河本達郎:風見慎吾

<ストーリー>
『夜の闇を走る魔少女・大沼ユミは、警察の包囲網を掻い潜り忽然として裕美の部屋に戻っていた。
その時から、小沢家は正に悪魔の棲む館となったのである』

孫娘が別人となって戻って来たのを目にして、
祖母・小沢初江(初井言榮)は泣き崩れた。
「お終いです。もう小沢家はお終いです。何てことを。御先祖様に申し訳がない」
嘆く初江を見て、大沼ユミ(杉浦幸)は冷たく言い放った。
「泣くのは止めな。ババアが泣けば足元から蛆が湧くって言うじゃないか。
どいつもこいつも辛気臭い面しちゃってさ。見ているだけで苛苛するよ」
この乱暴な口を聞いて、初江はユミを叱責した。
「お黙りなさい。お婆ちゃまに何ということを、無礼な。
許しません。お婆ちゃまが懲らしめてやる」
初江はユミの腕を取って捻り上げた。
すると、ユミは難なく技を解いて逆に初江の関節を極めてしまった。
「あたしにそんな技は通じないよ。
今夜からあたしがここの女王だ。
あんた達にはあたしの命令通り動いて貰うよ。
命令に従わない奴は、死ぬ程ぶちのめすからね。
お腹が空いたわ。夕食の用意をして頂戴。
肉が食べたいわ。ステーキ300g。何をぼさっとしてるのさ。さっさと支度しな!」

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命令通りステーキが用意されると、ユミはムシャムシャと齧り付いた。
食べ終ると、ユミは態と皿を床に落として初江に片付けるよう命じた。
初江は言われた通り割れた皿を片付けながら、ユミの隙を伺っていた。
必ず眠る時が来る。
眠り込んだら、縛り上げてワイン蔵に閉じ込めてやる。

『初江の企みを勘付いたユミは、決して眠るまいと覚悟をしていた。
それは、眠ることによって裕美に戻ることを恐れるユミの防衛本能であった』

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そんな中、野獣会会長・東涼子(大沢逸美)が鑑別所からの脱走に成功していた。
涼子の目的は一つ。
自分を裏切ったユミへの復讐だ。
手下と合流した涼子は、小沢家に密偵(石崎文也、井上香)を放ってその内情を探らせていた。

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一方、裕美の担任教師・堤邦彦(山下真司)は、
禄に睡眠も取らずに裕美の行方を捜し回っていた。
探しても探しても裕美は見付からない。
流石に体力の限界を迎えた堤は、とうとう疲れ切って倒れてしまった。
急を聞いて堤の自宅アパートに同僚教師・栗田圭子(賀来千香子)が駆け付け、
熱を出して魘される堤を看病した。

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こうして、小沢家にユミが籠城するようになって3日目が過ぎた。
ユミは丸3日眠らずに通した。
しかし、どんなに気を張っても人間である以上そこ迄が限界だった。
この日、食事を採った直後にユミは眠りこけてしまった。
ユミが眠ったのを確かめると、初江とみどりはユミを縛り上げてワイン貯蔵庫に放り込んだ。

『ユミが恐れたように、眠りから覚めればユミは裕美になっていた。
裕美は自分が大沼ユミとして逮捕されたことまでは覚えていた。
だが、その後自分がどうなり何処にいるのかも少しも覚えていないのであった』

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女子高生・小沢裕美(杉浦幸)は、ワイン蔵の中で意識を取り戻した。
状況が飲み込めずに戸惑う裕美の前に、
玉串と燭台を手にした初江とみどりが現れた。
初江は裕美に問掛けた。
「気が付いたようだね、裕美。少しも覚えていないのか?」
裕美が覚えていないと答えると、初江は続けた。
「あなたは大沼ユミとしてお婆ちゃまたちに暴力の限りを尽くしたのですよ。
悪霊の仕業です。
あなたの母親の由紀子の悪霊があなたに取り憑いて悪行を唆しているのです。
これから悪霊祓いを行います。
少々苦しくても辛抱するのですよ」
初江は裕美を正座させると、お祓いの儀式を始めた。
困った裕美が初江に訴えた。
「お婆ちゃま、止めて下さい。悪霊なんて関係ないんです。
私は大沼ユミとして罪を犯してしまいました。
私を自首させて下さい」
初江は聞く耳を持たずにお祓いの儀式を続けた。
「悪霊退散、悪霊退散、悪霊退散…」
裕美は玉串で何度も体を叩かれ、痛さの余りワイン棚にしがみついた。
その拍子で、ワインボトルが落下して床に砕け散った。
また始まる。
私がユミになる。
裕美は、何とか気を鎮めてユミの目覚めを阻止していた。

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その夜、涼子が小沢家に侵入した。
小沢家の周囲には刑事が張り込んでいる。
涼子は予め手下を使って刑事の気を引き、
その隙を突いて包囲網を掻い潜ったのだった。
涼子がユミを探してワイン蔵の扉を開けて中に入ると、
物陰に潜んでいた誰かが涼子を突き飛ばした。
裕美だ。
裕美は涼子をワイン蔵に閉じ込めると、小沢邸から逃げ出して行った。
騒ぎを聞いて、初江とみどりが駆け付けて来た。
二人がワイン蔵の扉を開けると、今度は涼子が二人を突き飛ばして中に閉じ込めた。
「婆さん、余った人生はワインを飲んで過ごすんだね」

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小沢邸を抜け出した裕美は、堤のアパートの前に来た。
窓から中を伺ってみると、圭子が堤を介抱しているところだった。
裕美は心の中で呟いた。
「先生、栗田先生と幸せになって下さい。
裕美は1人で自首します。
先生に約束します。
私はもう決して大沼ユミにはなりません」
裕美が部屋に御辞儀して立ち去ろうとすると、その前に涼子が立ち塞がった。
「ユミ、見つけたよ」
裕美が逃げ出すと、涼子は追い掛けて来た。
「ユミ、逃げても無駄だ。あたしと闘いな」
ナイフを抜いた涼子が裕美に襲い掛かると、誰かが割って入って涼子を殴り飛ばした。
河本達之(高橋悦史)だった。
騒ぎを知った堤もその場に駆けつけ、また襲い掛かろうとする涼子を羽交い締めにした。
河本はその隙に裕美を車に押し込んで、走り去ってしまった。

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裕美は、河本によって海辺のマンションに連れ込まれた。
河本は裕美に言い含めた。
「ここはね、私の秘密の部屋なんだ。
私がいいと言うまで、君は当分この部屋に身を隠した方がいい」
裕美は河本に尋ねた。
「河本さん、それはどういうことなんですか?
あなたは私を娘と認めてくれたんですか?
娘と認めたから助けてくれたんでしょ?」
河本は即座に否定した。
「馬鹿なことを言うんじゃないよ。私はそんなことは認めてない。
君をどう処分するか、決めるまでこの部屋に閉じ込めておくつもりだ」

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それを聞いた裕美が逃げ出そうとすると、河本は追い掛けて引き戻した。
裕美は抵抗して暴れた。
「出して。私をここから出して」
二人が揉み合っていると、隣の部屋から別の男が入って来た。
河本の息子・河本達郎(風見慎吾)だった。
「親父…」

ドラマ ヤヌスの鏡(第15話) [サンテレビ] 2013年11月14日 15時00時00秒(木曜日)

<賀来千香子:関連作品>

テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:14話
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14話「変身はパトカーの中で」

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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河本達郎:風見慎吾

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堤邦彦:山下真司

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杏子ママ:中村晃子

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進東修一:蟹江敬三、水沼晋三:春日淳郎

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阿部純子:河合その子

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長田直美:長山洋子、後藤亮子:橋本薫子、秋野理江:百瀬まなみ

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戸塚京子:荒井玉青

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進東哲也:宮川一朗太、森村誠路:中条静夫、竹中明夫:竹内力

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中山充郎:大石吾朗、遠藤浩一:石橋正次

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磯村治美:小出綾女、栗田圭子:賀来千香子

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東涼子:大沢逸美

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南田アオイ:柴田時江、西川ルイ:河上幸恵

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大沼ユミ:杉浦幸

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河本達之:高橋悦史

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河本美穂子:吉行和子

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殺し屋:

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小沢一樹:前田吟、小沢みどり:小林哲子

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小沢初江:初井言榮

<ストーリー>
『裕美は遂に、もう1人の自分がネオンの海を疾走する大沼ユミであることを知った。
それは裕美にとって悲しみというより、
五体を引き裂き魂を打ち砕く凄まじいばかりの恐怖であったのであろう』

女子高生・小沢裕美(杉浦幸)は、全ての真相を知って泣き崩れた。
そんな時、突然ドアを荒々しくノックする音が店内に響いた。
「ママさん、居るんでしょ。話があるんですよ。ドアを開けて下さい」
進東警部(蟹江敬三)の声だ。
こんな場所まで警察に嗅ぎ付けられている。
裕美の担任教師・堤(山下真司)は、裕美に自首するよう促した。
「小沢、先生を信じるな?先生と一緒に警察に行こう。警察に行って訳を話そう」
裕美は覚悟を決めて「はい」と頷いた。
すると、堤は誰かに突き飛ばされて裕美を掻っ攫われた。
ユミの恋人・河本達郎(風見慎吾)だ。
警察に渡してなるものかと、達郎は裕美の手を引いて裏口に走った。
そして、駐車しておいたバイクに裕美を乗せて有無を言わさず急発進した。
止めようとする捜査官たちを蹴散らし、
達郎と裕美のバイクは夜の闇に消えて行った。
「ユミさん、ユミさんよ、俺達は今蜃気楼の国に向って走ってるんだ」

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一夜が明けた。
達郎と裕美は、人気のない砂浜に辿り着いていた。
二人は、流木に腰を下ろすと今後のことを話し合った。
裕美は、自殺する覚悟を固めているという。
記憶のない間に大犯罪に手を染め、大勢の人々を傷付けてきた。
死んでお詫びするしかない。
裕美はそこ迄思い詰めていた。
何より、堤をこれ以上事件に巻き込むのだけはどうしても嫌だった。
「堤先生は教え子に奥様を殺されて、とっても辛い目に遭っている人なの。
私に関わったら、また不幸になるわ。
私のために、先生を不幸になんて出来ないもの。
それ位なら死んだ方がいいわ」
悲壮な覚悟を固めて、裕美は海へ歩き始めた。
そんな裕美を達郎が呼び止めた。
「待てよ、俺も付き合うよ。
もう生きるのが面倒くさくなっちまったよ。
俺が命を賭けた初恋の人がこの世に存在しない幻の人でさ。
親父もお袋もみんな信じられなくなっちまった。
姉さん1人で死ぬなんて寂しすぎるじゃねえの。
俺たち姉弟なのに、姉弟らしいことは何一つして来なかった。
最期まで付き合ってやるよ」
二人は、手を繋いで海へと歩き始めた。
海に入ると、身も凍る冬の荒波が二人を襲った。
それでも二人の決心は崩れなかった。
沖へ沖へと歩みを進め、波に飲まれて体が痺れてゆく。
そんな二人の体を、誰かが抱えて砂浜へと引き摺り戻した。
堤だった。
堤は入水心中を図った二人を発見して、既の所で食い止めたのだった。

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「馬鹿野郎、死んで何が解決するって言うんだ」
そう怒鳴り付けて、堤は二人を張り飛ばした。
「先生はな、命を粗末にする奴は許せないんだ。
他人の命を傷付けるやつ、自分の命を傷付ける奴、そんな奴は絶対に許さん。
もういいという程十分に生きたのか?
この世の全ての喜びを、全ての悲しみを知ったっていうのか?
この世の全ての真実を知ったっていうのか?
死ぬのを格好いいとでも思っているのか?
死ねばみんなが涙を流してくれるとでも思っているのか?
甘ったれるな。
いいか、死ねば確かに辛いことは無くなるだろう。
だけどな、その辛いことと一緒に君たちが胸の奥底で必死に温めてきた夢も一緒に死んでしまうんだ。
悔しくないのか?
その夢を暗い海の中に閉じ込めて、君たちは悔しくないのか?」
裕美と達郎は、言葉を失った。
堤は裕美に向き直って諭した。
「小沢、君は1人の人間としてやらなければならないことがある筈だ。
君は君自身、少しも気付かなかった心を明らかにしてみんなに伝えなければならない。
それは辛いことだ。
だけど、やらなければならないんだ。
君の悲しみは、君一人のものではないからだ。
君は特別な人間じゃないんだ。
大勢の人たちが君と同じように、悲しみを秘めながら生きているんだ。
君がどうしてそうなったのか、その大勢の人達のためにも心を明らかにして伝えなければならないんだ。
出来るな?」
堤の問掛けに、裕美は「はい」と頷いた。
それを見てもう大丈夫と感じた達郎は、立ち上がって傍らのバイクにまたがった。
「姉さんは先公に任せるよ。ここで別れようぜ」
達郎のバイクは、裕美と堤を残して砂浜を走り去っていった。

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堤もまた、裕美を乗せてバイクを走らせた。
警察署へ出頭するためだった。
暫く走ったところで、覆面パトカーがサイレンを鳴らして二人のバイクを停止させた。
パトカーから降り立った刑事が、二人に逮捕令状を突き付けた。
「小沢裕美だな。宝石強盗容疑者として逮捕する」
裕美は手錠を掛けられ、パトカー後部座席に押し込められた。
堤が刑事に事情を説明しようとするが、取り合っては貰えない。
パトカーは、堤を残して走り去ってしまった。

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警察署へ向う覆面パトカーの車中で、刑事の一人がタバコに火を付けた。
漸く主犯を捕まえた。
その安堵感から来た自然な行為だった。
ところが、このタバコの煙は思わぬ大失態の引金になろうとしていた。
煙にむせた裕美の心に、もう1つの人格・大沼ユミ(杉浦幸)が蘇ろうとしていたのだ。
目を覚ましたユミは、突如として刑事たちに襲い掛かった。
あっという間に刑事たちを締め上げて気絶させると、
ユミは手錠を外して覆面パトカーから姿を眩ましてしまうのだった。

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その夜、河本の妻・美穂子(吉行和子)は、
妙な物音を耳にして屋敷内を確かめて歩いていた。
「誰?出てらっしゃい」
誰かが屋敷に忍び込んでいる。
居間を確かめた美穂子は、ユミがソファにふんぞり返っているのを見て目を白黒させた。
「あなた、逮捕されたんじゃなかったの?」
ユミは、悠然と煙草を燻らせながら美穂子に答えた。
「逮捕されたのは小沢裕美。あたしは関係ないね」
ユミは美穂子に詰め寄ると、その指から強引に指輪を奪い取った。
「おばさん、ダイヤの夢あげるよ」
次の瞬間、美穂子の頬に激痛が走った。

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その少し後、ナイトクラブで酒を煽っていた河本達之(高橋悦史)の前に大沼ユミが現れた。
ユミは宝石強盗を働いておきながら、悪びれることなく河本に弁解した。
「野獣会に脅されて、どうすることも出来なかったのよ。
おじ様御免なさい。おじ様許して。
許して下さらないなら、ユミここで喉を突いて死ぬわ」
ユミはそう言って、自分の喉にナイフを突き付けた。
河本が慌てて制止すると、ユミはあっけらかんと言い放った。
「踊りましょ、おじ様。レッツダンス」
クラブの中にはバイオリンの音が流れており、
数組のカップルがワルツを踊っていた。
ユミと河本のカップルもそれに加わった。
ユミは踊りながら河本に囁いた。
「おじ様、おば様と別れてあたしと結婚しない?
あたしの方が若くて魅力的な筈よ」
また誘惑しようとしている。
流石に不信感に駆られた河本は、踊りを中断した。
「ユミ君、今夜はここで別れよう。ちょっと約束がね」
下手な言い訳で何とか誤魔化そうとした河本は、
思い詰めた形相の女がクラブ内に駆け込んで来たことに気付いた。
河本の妻・美穂子であった。
何故か、頬に大きなガーゼを当てていた。
美穂子を一瞥すると、ユミは拍子抜けした口振りで呟いた。
「何だおじ様、約束の相手というのはおば様のことだったの」
ユミは、さっさとクラブを飛び出していった。
追い掛けようとした河本は、歩み寄ってきた美穂子に引き止められた。
「どうしたんだ、その顔は?」
河本が尋ねると、美穂子はガーゼを捲って見せた。
頬に無惨な切り傷が刻まれていた。
美穂子は、鬼の形相で呟いた。
「許さない。あの子だけは許さないわ」

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ユミはクラブを出ると、口笛を吹いて夜の街をぶらついた。
背後に誰かいる。
ユミが気配を感じて振り返ると、数人の男たちが尾行していた。
殺し屋だ。
直感したユミは、廃ビルの中に逃げ込んだ。
男たちは、かなり心得のある連中らしい。
ユミを逃げ道のない一室に追い詰めると、取り囲んで襲い掛かって来た。
さすがのユミもこれには苦戦した。
男たちは、抵抗するユミの首に投げ縄を掛けて締め上げた。
苦悶の表情を浮かべながら、ユミは男たちに啖呵を切った。
「殺せ、お前たちみたいな野良犬に命乞いなんてするもんか」
そんな時、突如として堤が駆け付けて来た。
「許さん。命を粗末にする奴は絶対に許さん」
堤は男たちに飛び掛ると、次々叩きのめしていった。
縄を解かれたユミは、その隙に廃ビルから逃げ出した。
堤が追い掛けて呼び止めると、ユミは振り返って堤に叫んだ。
「先公、あたしはポリになんて捕まらないよ。
あたしの自由を縛る奴はみんな敵さ。
あたしの前に立ちはだかるな」
捨て台詞を吐いて、ユミは走り去っていった。

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深夜、小沢家では祖母・初江(初井言榮)が仏壇に向って一心不乱に念仏を唱えていた。
「由紀子の祟りが裕美に取り憑いたのです。
祈って悪霊を退散させるのです。
悪霊退散、悪霊退散、悪霊退散…」
祈り続ける初江に、養父・一樹(前田吟)と養母・みどり(小林哲子)が声を掛けた。
「お母さん」
一樹は天井を指さしていた。
耳を澄ますと、天井裏からきしむ音が聞こえる。
裕美が帰って来た。
そう考えた3人は、慌てて裕美の部屋がある2階に駆け上がっていった。

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初江がノックして扉を開けると、そこに居たのは裕美とは似て非なる別人・ユミであった。
「お前は?!」
驚愕する3人を前に、ユミは言い放った。
「あたしの名は大沼ユミ。ここはあたしの家。
あんた達こそ誰なんだい?」

『ユミは大胆不敵にも、警察の包囲網を破って裕美の部屋に帰っていたのである。
今やユミは、救いようのない悪の道を進んでゆくのであろうか』

ドラマ ヤヌスの鏡(第14話) [サンテレビ] 2013年11月13日 15時00時00秒(水曜日)

<吉行和子:関連作品>

テーマ:もう一度見たいドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:13話
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13話「聖少女と魔少女の闘い」

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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堤邦彦:山下真司

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進東哲也:宮川一朗太

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遠藤浩一:石橋正次

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須長義男:長谷川恒之、磯村治美:小出綾女

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森村誠路:中条静夫、中山充郎:大石吾朗

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栗田圭子:賀来千香子

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河本達之:高橋悦史

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河本美穂子:吉行和子

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進東修一:蟹江敬三

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大沼ユミ:杉浦幸

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東涼子:大沢逸美

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斉藤かおる:渡辺祐子

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石原ヨシエ:石崎文也、渡辺美樹:井上香

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小沢初江:初井言榮

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小沢みどり:小林哲子、小沢一樹:前田吟

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杏子ママ:中村晃子

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河本達郎:風見慎吾

<ストーリー>
『ユミは、野獣会と共に河本の経営する宝石店を襲撃した。
その時のユミの胸中には、河本に対する復讐と野獣会壊滅という2つの企みが秘められていたのであった。
企みはまんまと図に当たり、ユミは宝石を手に逃亡した。
ユミは、勝利の快感に酔いしれていた。
だが、一夜明けた翌朝にはユミの犯した恐るべき犯罪が裕美を絶望の淵に追いやっていたのである。
裕美にとって、自分が宝石強盗犯人の大沼ユミではないかと思うことは、
死よりも辛い拷問であった。
裕美は、邦彦に会いたいと願った。
邦彦は、約束の場所に駆け付けた。
だが、そこに裕美の姿はなかったのである。
その時、裕美は進東哲也によって無人の家に匿われていた。
哲也の善意を信じつつも、高まる不安を抑え切れない裕美であった。
進東さんは、本当に堤先生に連絡してくれるのだろうか?』

女子高生・小沢裕美(杉浦幸)の担任教師・堤(山下真司)は、
呼び出しを受けて裕美に会いに行った。
ところが、裕美の姿は待ち合わせ場所の何処にも見当たらなかった。
そこへ丁度、生徒会長・進東哲也(宮川一朗太)が通りがかった。
堤は、裕美を見なかったか進東に尋ねてみた。
進東は知らないと言いながら付け加えた。
「先生、小沢君をこんなところに呼び出して勉強の邪魔をするのは止めて下さい」
こう捨てて、進東は立ち去って行った。
進東は予てから裕美との交際を希望しており、堤には挑戦的態度を取り続けていた。
裕美のことになると、こういう物言いをするのは今に始まったことではない。
しかし、それを差し引いても今の進東の態度は何か妙に思えた。

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裕美が見付からないため、堤は仕方なく自宅アパートに帰った。
すると、血相を変えた裕美の祖母・初江(初井言榮)と養母・みどり(小林哲子)が訪ねて来た。
裕美が自宅から姿を消して捜し回っているという。
初江は、堤が裕美を監禁しているのではないかと疑っていた。
堤はアパートに初江たちを上げて中を見せてやった。
人の気配がないのを確認すると、初江たちはすぐに引き返して行った。
裕美に何かあったに違いない。
堤もまた、アパートを飛び出して裕美を探しに出た。

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夜の繁華街には、裕美のもう1人の人格・大沼ユミ(杉浦幸)が立ち寄りそうな店が幾つも並んでいる。
堤は1件1件回ってユミを捜し回った。
この堤の行動は、警察に全て監視されていた。
捜査は着々と進んでいた。
宝石強盗の主犯・大沼ユミと堤に何か関係が有ること。
更に女子高生・小沢裕美とも何か因縁があることが調べ上げられていた。
堤はそんな尾行の気配を感じつつも、ひたすらユミを探して回った。

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その頃、裕美は人気のない洋館にいた。
進東に隠れるよう言われて、そのまま何時間も過ぎていた。
夜になって、進東が洋館に現れた。
「小沢君、お腹が空いたろう。夕食を持ってきてあげたよ」
そう言って、進東はバスケットに用意したサンドイッチを裕美の前に並べた。
裕美は進東に訴えた。
「進東さん、父や母が心配してます。私をうちに帰して下さい。
私うちに帰りたいんです」
進東は答えをはぐらかして裕美に食事を勧めた。
仕方なく裕美がサンドイッチに齧り付くと、進東はレコードを掛けた。
「小沢君、君は音楽が好きだったね。君のために世界一の交響楽団を用意してあるんだ」
室内にワーグナーの「ワルキューレの騎行」が鳴り響いた。
余程この曲が好きなのか、進東は音楽を聞きながら指揮棒を振り始めた。
曲が盛り上がるにつれて、進東の指揮は段々激しくなる。
見兼ねた裕美が進東に声を掛けた。
「進東さん、もういいわ。止めて。私ワーグナーを十分に堪能したわ。
お願い、もう止めて。」
それでもなお、進東は取り憑かれたかのように指揮棒を振り続けた。
「五月蝿い!黙れ!僕の演奏を邪魔するな」
楽章が終りに差し掛った頃、漸く進東は冷静になってレコードを止めた。
すっかり汗だくになっていた。
「御免、今夜の僕はどうかしている。また明日来るよ」 
進東は部屋から出て扉に施錠し、また裕美を残して立ち去ってゆくのだった。

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結局、裕美はその日家に帰ることが出来なかった。
小沢家では、帰らぬ裕美を心配して大騒動になっていた。
祖母・初江は、廊下で百度を踏み続けた。
「大丈夫、必ず帰って来ます。私の孫ですもの。必ず私のところに戻って来ます」

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翌朝、進東は再び食事を用意して洋館に向った。
そんな進東を、堤が尾行していた。
堤は、昨日の進東の態度が気になっていた。
進東は洋館の玄関に持っていたバスケットを置くと、何故か元来た道を引き返して行った。
堤はその隙を見て洋館に忍び込んだ。
洋館の中に、鍵の掛った部屋が見つかった。
堤は室内に呼び掛けてみた。
「小沢、居るのか?居るんだったら返事しろ」
その瞬間、堤は誰かに棍棒で頭を殴られて気絶した。

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洋館の一室に監禁されていた裕美は、人気を感じて立ち上がった。
現れたのは、またしても進東だった。
「小沢君、警察は君を大沼ユミと見て行方を追っているよ
宝石強盗事件の主犯・大沼ユミは、5億円のダイヤを持って逃げているそうだ。
君がそのダイヤを持っていれば、大沼ユミということになるな」
裕美は慌てて否定した。
「私、ダイヤなんて持ってないわ。
進東さん、私をここから出して。
私は堤先生に会って、私が本当に大沼ユミかどうか確かめなければならないの。
堤先生に会いたいの」
それを聞くと、進東は途端に怒り出した。
「堤なんかのことは忘れたまえ。君は…君はあんな男が好きなのか?」
裕美は断言した。
「好きです。好きなんです」
即答した裕美に激昂して、進東は絵皿を壁に投げつけた。
その途端、またしても裕美のもう1人の人格・大沼ユミが目を覚ました。

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頭を痛打されて気絶していた堤は、暫くして意識を取り戻した。
堤の体は、洋館の庭に放り出されていた。
堤がフラフラと立ち上がると、進東警部(蟹江敬三)が駆け寄って来た。
「堤先生、どうなさったんですか?」
進東警部は、息子が気になって後を付けてきたらしい。
堤は事情を説明して、進東警部と共に洋館の中に踏み込んだ。
先ほどの部屋の扉は開け放たれており、中に血を流した進東が立ち尽くしていた。
事情を説明するよう言われた進東は、
裕美に脅されて匿っていたが斬り付けられて逃げられたと二人に取り繕った。
これを受けて、捜査本部は小沢裕美が大沼ユミと断定して非常線を張り巡らせるのだった。

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その頃、ユミは大胆不敵にも護送車の見物に出掛けていた。
護送車には、逮捕された野獣会会長・東涼子(大沢逸美)が乗せられている。
ユミは護送車に手を振って声を掛けた。
「チャオ」

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続いて、ユミは涼子を裏切った野獣会腹心・斉藤かおる(渡辺祐子)のアパートへ赴いた。
かおるは、警察の包囲網に怯えて息を潜めて隠れていた。
ユミは、かおるにダイヤを1粒放り投げた。
「分前だよ。ダイヤを持って街から消えな」
そう言い捨てて立ち去ったユミを、かおるは数人の仲間を引き連れて追い掛けて行った。
人気のない公園に辿り着くと、ユミは後を追ってきたかおるに向き直った。
「かおる、馬鹿だねあんた。
お前の貫禄はね、そのダイヤを元手に田舎で商売でも始めるのが相応しかったのさ。
こんな石っころのために命を懸けるつもりなら、何処からでも来な」
かおるの仲間たちが、ユミに飛び掛って来た。
ユミは身を翻すと、得意の合気道で仲間たちを次々投げ飛ばしていった。
数人いた仲間たちが、あっという間にのされてしまう。
泡を食った他の仲間たちが慌てて逃げ出していった。
かおる1人が逃げ遅れた。
詰め寄るユミに、かおるは顔色を変えて取り繕った。
「ユミ、あたしはダイヤ1個で十分だ。許して、ユミ助けて」
ユミは聞く耳を持たずに、かおるを投げ飛ばしてしまうのだった。

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次の瞬間、ユミは背後に人気を感じて振り返った。
堤だった。
「堤、お前かい。丁度いいや。
ここでお前と決着を着けようじゃないか。二度とその面見たくないや」
血の滾ったユミは、ついでとばかりに堤に飛び掛った。
堤は、ユミが捻り上げようとした腕を返して逆にユミの手首を捻り上げた。
「ユミ、未だ分からないのか。
この世の中にはお前より強い人間は腐るほどいるんだ。他人を恐れろ。
暴力はどんな暴力でも自分より弱い者にしか勝つことは出来ないんだ。弱いもの虐めでしかないんだ」
関節を決められたユミは、振り解こうと抵抗して強がった。
「あたしの体はね、ナイフで刺されても何で刺されても痛みを感じないんだ。折って御覧。折ってみろ」
堤は更に腕を捻り上げた。
「ユミ、人間の体が持っている本来の痛みを思い知らせてやる。
痛みを感じないかどうか確かめてみろ。
脳天を突き抜け、五体が砕け散るような痛みが判ったか。
肉体の痛みの凄まじさを、お前の骨身で判ったか。
お前はこの痛みを平然と他人に与えていたんだ」
流石のユミも悲鳴を上げて苦しがったので、漸く堤は腕を解いてやった。
ユミは観念して堤に言った。
「先公、あたしの負けだ。あたしを抱きな」
堤はユミの色仕掛けにも動じなかった。
「ユミ、私はお前のように自分のことしか考えない女は嫌いだ。
お前の傲慢さは、私を不快にするだけだ。
少しは小沢の素直さの欠片でも身につけたらどうだ」
ユミは捨て台詞を残して駆け出した。
「馬鹿言ってんじゃないよ。小沢なんて関係あるもんか。あたしは大沼ユミ。大沼ユミなんだ」

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一方、小沢家では待っても待っても帰宅しない裕美に業を煮やしていた。
初江は、息子・一樹(前田吟)とみどりに命じて納戸の中を調べさせた。
裕美が何度となく家を抜け出したからには、秘密の抜け穴でもあるに違いない。
暫く調べてみると、抜け穴こそ見つからなかったが天井裏から不審なトランクが出て来た。
中には派手な衣服と宝石類が隠されていた。
初江、一樹、みどりの3人は肩を落とすしかなかった。
これで裕美がユミであることが確定してしまったのだ。
初江は、もはや念仏を唱えて祈るしかなかった。
「由紀子の悪霊が、裕美に取り憑いて離れないに違いない」

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その夜、杏子ママ(中村晃子)のバーでは傷心の河本達郎(風見慎吾)が自棄酒を煽って踊り狂っていた。
運命の人だと愛した人が、腹違いの姉だと判った。
達郎は自分の気持ちをどうしたらいいか分からず、自暴自棄に酒を煽ってとうとう酔潰れてしまうのだった。
どれ程意識を失ったろうか。
達郎は、杏子ママに声を掛けられて目を覚ました。
「タッチン、ユミさんよ」
顔を上げると、フラフラのユミがバーに入って来たところだった。
達郎が心配して駆け寄ると、ユミはバタリと倒れ込んでしまった。
遅れて堤もバーに駆け込んで来た。
二人でユミを助け起こすと、ユミは裕美になって意識を取り戻した。
「先生、私どうしてここに居るんですか?
先生、私…私どうしてこんな姿を」
状況を飲み込めない裕美に、堤はポシェットの中を見てみるよう言った。
ポシェットにはダイヤがギッシリ詰まっていた。
「これは河本さんのお店から盗まれた宝石なんですね?
それを私が持っているということは…大沼ユミは私だったんですね?」
堤はユミに頷いた。
「そうなんだ。大沼ユミは、君から消えたもう1人の君だったんだ」
裕美はショックを受けて崩れ落ちた。
「私が…私が大沼ユミ」

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『遂に裕美は、自分が大沼ユミであることを知ってしまった。
誰よりも罪意識の強い裕美は、その時既に死を覚悟していたのである。
だが、もう1つの人格・大沼ユミは罪意識など欠片もない悪魔の少女であった。
生と死を巡って2つの人格の凄まじい闘いが、今始まろうとしていたのである』

ドラマ ヤヌスの鏡(第13話) [サンテレビ] 2013年11月12日 15時00時00秒(火曜日)

<前田吟:関連作品>

テーマ:もう一度見たいドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:12話
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12話「今夜魔少女の復讐が始まる」

<出演>
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大沼ユミ:杉浦幸

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東涼子:大沢逸美

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斉藤かおる:渡辺祐子

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麻倉澄夫:佐藤健太、西川ルイ:河上幸恵

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河本達之:高橋悦史

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河本達郎:風見慎吾

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堤邦彦:山下真司

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杏子ママ:中村晃子

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南田アオイ:柴田時江

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山口珠代:松尾久美子

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石川ゆかり:川崎葉子

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石原ヨシエ:石崎文也

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河本美穂子:吉行和子

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進東修一:蟹江敬三

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小沢裕美:杉浦幸

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小沢初江:初井言榮

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小沢一樹:前田吟、小沢みどり:小林哲子

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阿部純子:河合その子

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長田直美:長山洋子、後藤亮子:橋本薫子

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進東哲也:宮川一朗太

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水沼晋三:春日淳郎

<ストーリー>
『ユミは、河本達之を空港ホテルに誘い出した上で宝石強盗を実行に移していた。
この時、ユミはこの恐るべき犯罪によって小沢裕美がどのような窮地に立たされることになるのか等は、
ほんの少しも考えていないのであった』

深夜0時、裕美のもう1人の人格・大沼ユミ(杉浦幸)と
東涼子(大沢逸美)率いる野獣会メンバーたちが河本の宝石店に侵入した。
ユミは、店内の警報装置を熟知していた。
ユミが装置を停止させると、メンバーたちは保管庫をこじ開けて次々宝石を袋に詰めていった。
作業の最中、ユミが野獣会腹心・斉藤かおる(渡辺祐子)に目で合図した。
かおるは、作業を中断して宝石店の外へ抜け出して行った。
続いて、ユミもまた一同から離れて元来た通路へ引き返して行った。
気付いた涼子が追い掛けると、ユミは捨て台詞を残して通路を外から閉鎖した。
「グッドラック」
メンバーたちに動揺が広がった。
「ユミとかおるは裏切った。
あいつら、最初からあたいたちを嵌める気でいたんだ」
進入路が断たれた以上、正面から逃げるしかない。
一同が慌てて正面に回ると、既に店は警官隊に包囲されていた。
こうなると、もうどうにもならない。
包囲を突破しようと飛び出したメンバーが、次々警官隊に取り押さえられていった。
最後までユミを信じていた涼子が、警官に組み伏せられながら叫んだ。
「ユミ、何故…何故あたしを裏切ったんだ」

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この事件の少し前、宝石店社長・河本達之(高橋悦史)は空港ホテルにいた。
ユミと共に翌日の便で海外旅行に旅立つ手はずになっていた。
ユミは中々現れなかった。
河本が少々イライラしながら待っていると、ドアをノックする音が聞こえた。
待ちかねたとドアを開けると、
現れたのはユミではなく息子・河本達郎(風見慎吾)であった。
達郎は、ナイフを抜いて河本に詰め寄った。
「親父、俺はユミさんに命を懸けてると言った筈だ。
親父はユミさんに命を懸けていたのかよ。
命を賭けて恋をしたんだったら男として認めてやる。俺と闘え」
只ならぬ表情の達郎を見て、河本はなだめに掛った。
「達郎、お前の気持ちはよく判ったよ。
お父さん、ユミ君から手を引こう」
その場逃れの言い訳を聞いて、達郎は河本を怒鳴り付けた。
「ふざけんな。命を賭けて好きになったんだったら、俺を倒して奪えばいいじゃねえか」
達郎は河本に斬り掛かった。
その瞬間、堤(山下真司)と杏子ママ(中村晃子)が部屋に飛び込んできた。
杏子ママは、達郎からナイフを奪って張り飛ばした。
「馬鹿、冷静になりなさい」
堤が河本に説明した。
「河本さん、お話があってやって来ました。
とにかく時間がないんです」

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堤は河本に、杏子ママは達郎に事情を話した。
大沼ユミが小沢裕美であること。
ユミは、自分を捨てた父・河本への復讐を企てていること。
河本の階段転落事件も全てユミの計略であること。
堤が河本へ訴えた。
「河本さん、あなたはあの時ユミの秘められた敵意に気付くべきだったんですよ。
あなたが18年前に由紀子さんを捨てたりしなければ、
大沼ユミが現れるようなことはなかったんです。
あなたが小沢に親子の名乗りを上げてさえいれば、
ユミがあなたの前に現れるようなことはなかったんですよ」
達郎も河本に詰め寄った。
「親父、小沢裕美が俺の姉さんだってのは本当なのかよ。
親父の…親父の娘だってのは本当なのかよ。
親父どうなんだよ。本当のことを言ってくれよ。
俺は姉さんに恋をしてたのかよ」
河本は、狼狽しながら否定した。
「違う、何もかも出鱈目だ。
大沼ユミは小沢裕美と同一人物である筈はないし、小沢裕美は私の娘なんかではない」
その瞬間、ホテルの電話が鳴り響いた。
河本が出ると、表情が強張った。
宝石強盗が逮捕されたという報せであった。

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『警視庁の取調は、流石の野獣会幹部も震え上がる程厳しいものであった。
彼女たちは首謀者が大沼ユミであることを白状したが、
ユミの住所や連絡先を誰一人として知らないのであった。
その中で一人、東涼子のみは頑として黙秘を守り通したのである』

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翌早朝、小沢家に捜査を担当する進東警部(蟹江敬三)がやって来た。
女子高生・小沢裕美(杉浦幸)に聞きたいことがあるという。
祖母・初江(初井言榮)、養父・一樹(前田吟)、養母・みどり(小林哲子)が立ち会う中、
進東警部は裕美に尋ねた。
昨夜何処にいたか。
大沼ユミという人物に心当たりはないか。
初江が、裕美に代って答えた。
裕美は昨夜うちに居た。
大沼ユミなどという少女は知らない。
それを聞くと、進東警部はそれならいいとあっさり帰って行った。
嘘だ、何かある。
進東警部は、大沼ユミの名前を出したときに一同に緊張が走るのを見逃さなかった。

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進東警部が帰った後、裕美はテレビで宝石強盗のニュースを目にした。
主犯の大沼ユミが緊急手配されている。
裕美は、忽ち不安になって来た。
自分がユミだとしたら、とんでもないことをしでかしたことになる。
裕美は、不安を抱えたまま学校に登校した。
学校にも刑事が聞込みに来ていた。
裕美は増々不安になって来た。

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帰り道、裕美を待ち受けている青年がいた。
いつか会った達郎だった。
達郎は目に涙を浮かべて裕美を見つめていた。
裕美は、達郎の顔を見て全ての事情を飲み込んだ。
「達郎さん、あなた私とお父さんのことを知ってしまったのね」
裕美がそう言うと、達郎は何も言わずに駆け出して行った。
裕美は達郎の背中に呟いた。
「達郎…」

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誰かに相談したい。
そう考えた裕美は、公衆電話から堤を呼び出した。
「先生、会いたい。会いたいんです。今、神宮の外苑に居ます」
堤は二つ返事で承諾した。
「判った。すぐ行く」

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裕美は堤を待った。
少しして、周囲に妙な目線の男たちがいることに気付いた。
刑事だ。
刑事が見張っている。
このまま堤に会ったら、堤まで疑われてしまう。
裕美が困っていると、背後から誰かが声を忍ばせて語り掛けてきた。
生徒会長・進東哲也(宮川一朗太)だ。
「小沢君、そのままの姿勢で聞き給え。
君はおかしな連中に狙われている。このままでは危険だ。
僕が助けてあげる。僕の指示通りに歩くんだ。
堤先生なら、僕が連絡して後で会わせてあげるよ。
連中は何をするか判らない。僕の言うとおりにし給え」
裕美が頷くと、進東は指示を出した。
「右手にレンガ造りの建物がある。
そこまでゆっくり歩き、角を曲がったら走り給え」
裕美は進東の指示通り、角まで歩いて思い切り駆け出した。
すぐに刑事たちが追い掛けて来た。
ところが、丁度そこへジョギング中の一団が横切って来た。
邪魔になって追い掛けられない。
進東はこれを計算に入れていたのだ。
刑事たちは、結局裕美を見失ってしまうのだった。

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尾行を撒いた裕美は、進東に連れられて人気のない洋館にやって来た。
「小沢君、君は暫くここに隠れているんだ。
ここはね、僕の知ってる画家が昔アトリエに使っていた倉庫なんだ」
進東は裕美を中に入れると、外から扉に鍵をかけて去っていった。
裕美は1人静まり返った部屋に取り残された。
室内には画材や彫刻が無造作に並べられていた。
よく見ると、中には裕美の絵もあった。

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『裕美を倉庫に閉じ込めた進東哲也の狙いは一体何なのであったろうか。
その時の裕美は、ただ只管哲也の善意を信じていたのであった。
実は、恐ろしい青春の悪意が秘められていたのである』

ドラマ ヤヌスの鏡(第12話) [サンテレビ] 2013年11月11日 15時00時00秒(月曜日)

<宮川一朗太:関連作品>

テーマ:もう一度見たいドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:11話
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11話「ダイヤの秘密」

<出演>
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大沼ユミ:杉浦幸

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河本達之:高橋悦史

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進東哲也:宮川一朗太

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小沢裕美:杉浦幸

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小沢一樹:前田吟、小沢初江:初井言榮、小沢みどり:小林哲子

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中山充郎:大石吾朗、遠藤浩一:石橋正次、磯村治美:小出綾女

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後藤亮子:橋本薫子、長田直美:長山洋子、阿部純子:河合その子、戸塚京子:荒井玉青

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河本美穂子:吉行和子

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堤邦彦:山下真司

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東涼子:大沢逸美

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山口珠代:松尾久美子、麻倉澄夫:佐藤健太、南田アオイ:柴田時江

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河本達郎:風見慎吾

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杏子ママ:中村晃子

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工場長:河原さぶ

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斉藤かおる:渡辺祐子

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西川ルイ:河上幸恵

<ストーリー>
宝石店で残業していた河本達之(高橋悦史)の前に
裕美のもう1人の人格・大沼ユミ(杉浦幸)が現れた。
河本は、ユミを見ると宝石店に招き入れた。
店内には、ユミと河本の2人しかいない。
ユミは、宝石類を前に無邪気に喜んで見せた。

『高価な宝石を見て感激するユミの姿は、正に天真爛漫そのものであった。
だが、その時ユミの心には河本に対する恐ろしい企みが隠されていたのである。
それは、裕美を捨てたことに対する復讐であったろうか』

ユミは、巧みに話を振って会話を進めた。
「おじ様、この宝石は全部おじ様のものなの?
この宝石を全部盗まれたらおじ様は破産ね」
河本は、子供を相手にするように笑って受け流した。
「破産する心配はないんだ。
仮に盗まれても、この宝石には全て保険が掛けてある。
それに、この店の宝石を盗むことはね、怪人20面相でも無理なんだ」
河本は、ユミに店内の警報装置について説明した。
保管庫には全て鍵が付いており、赤外線警報装置で守られている。
警報装置が作動すれば、5分以内に警察と警備会社が駆け付けて来る。
そこ迄説明したところで、ユミが疑問を差し挟んだ。
「ちょっと待って。この警報装置を付けたら、あたしたちはどうやって外に出るの?」
それを聞くと、河本はユミを隠し扉の前に案内した。
「この通路はね、私と家内しか知らない秘密の通路だ」
扉が開かれると、2人の目の前に秘密の抜け道が現れた。
ユミは河本に尋ねた。
「そんな大事な秘密を、あたしに教えてもいいのかしら?」
河本は余裕綽々で答えた。
「ユミ君はね、私にとって特別な人間だ。そう思っていいだろ」
通路は地下駐車場に通じていた。
それを確かめると、ユミは河本の隙を見てこっそり鍵の型を粘土に写し取った。

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翌日、女子高生・小沢裕美(杉浦幸)は登校拒否を解除して学校に登校した。
担任教師・堤(山下真司)は、来ていなかった。
裕美は、気の入らないまま授業を受けて、がっかりしたまま帰途に就いた。
帰り道、そんな裕美の前に車から降りた婦人が駆け寄って来た。
河本の妻・河本美穂子(吉行和子)だった。
「小沢さん、あなたに尋ねたいことがあって待ってたの。
正直に答えてちょうだい。
あなたと河本の関係は何なの?どんな関係なの?
あなたは河本の隠し子なんじゃないの?
あたしに隠れてこそこそ会ってるのは、あなたと河本が親子だからなんでしょ」
裕美は困りながら答えた。
「あたしは河本さんに会っていません。親子なんかじゃありません」
そう言われても、美穂子は納得しなかった。
「正直におっしゃいよ。
あなたなんかに、あたしの家庭をメチャメチャにされてたまるもんですか。
家庭を…家庭を滅ぼされてたまるもんですか」
美穂子は、ハンドバッグで裕美を殴り付けた。
木陰から成り行きを見守っていった堤が、慌てて飛び出して来た。
「奥さん、無茶は止めて下さい」
堤が止めに入ると、美穂子は捨て台詞を吐いて車に舞い戻った。
「あなたが河本の隠し子なんて決して認めませんよ。
死んだって認めませんからね!」
美穂子の車が走り去ると、堤は裕美の両肩に手を置いて励ました。
「小沢、登校してくれたんだな。先生嬉しいぞ。
僕は、いつでも何処からでも君を見つめてる」
堤は学校から謹慎処分を食らったにも関わらず、
裕美を心配して登下校の様子を見守りに来てくれていたのだ。
裕美は、堤に見送られながら家へ駆け出して行った。

『裕美の背に邦彦の視線が温かかった。
この世の中に、自分を見つめてくれる人間が確かにいるのだと思うと、
裕美の心はひとりでに弾んでいたのである』

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その夜、小沢家では裕美に不審な動きがないか、
祖母・初江(初井言榮)、養父・一樹(前田吟)、養母・みどり(小林哲子)の3人が、
寝ずの番をしていた。
裕美のもう1人の人格・ユミは、ポットのお湯に睡眠薬を混ぜて3人の監視を掻い潜っていた。

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こうして小沢家を抜け出したユミは、野獣会メンバーをアジトにしているマンションに集めた。
一同を前にユミは切り出した。
「あんた達、いつまで薄汚い街に巣食っているつもりなの?
この街とおさらばするつもりはないのかい?
札束で膨らんだ鞄を抱えて旅に出ようじゃないか。
1人1人が好きな土地を見付けて、好きな暮しを始めようじゃないか」
メンバーは、身を乗り出して聞き入った。
ユミはメンバーに打ち明けた。
それは、河本の宝石店に侵入して宝石を奪い取る計画だった。
報酬は1人1億。
俄には信じられない話だ。
リーダー・東涼子(大沢逸美)がさすがに警戒した。
「1人1億の現金なんて、それこそ夢物語さ」
ユミは自信満々に答えた。
「100%の勝算がなければ、こんなこと口に出せるもんか」
涼子以外のメンバー全員が大乗り気だ。
涼子1人がこれに反対した。
ユミは、涼子と1対1で説得に掛った。
「姉妹を信じることも出来ないのかい?
あたしはあんたを本当の姉さんのように思ってたのに」
ユミは涼子を前に夢を語った。
「あたしはあんたと世界の果てまで旅をしたいと思ってるんだ。
何にも縛られることなく、自由気ままに旅をするのさ。
見知らぬ街を歩いて、絵を描いたり童話を作ったりするんだ。
涼子、あたしたちは夢の旅人になろうじゃないか」
ユミの熱い説得に、とうとう涼子も折れた。
二人は握手して、この計画の協力を約束した。

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その夜、ユミの恋人・河本達郎(風見慎吾)は、ユミを探して繁華街を彷徨っていた。
最近中々ユミに会えない。
ユミは一体何処にいるんだろう。
達郎は、探しに探して漸く街角でユミの姿を発見した。
追い掛けていくと、ユミは男とレストランへ入っていった。
達郎もレストランに入って、物陰から二人の会話を立ち聞きした。
相手の男は、達郎の父・河本だった。
二人は食事を摂りながら楽しげに会話していた。
ユミが河本に話し掛けた。
「おじ様、ユミを海の向こうの国に誘拐してくれないかしら。
ユミは未だ海外旅行をしたことがないのよ」
旅行に連れて行って欲しいというユミの訴えに、河本も満更でもない様子で答えた。
「ユミ君と一緒に、外国を旅するのもいいかもしれないな。
この所、家内や達郎のことでイライラしてるから。
暫くは日本を飛び出すのもいいかもしれない」
承諾したと見たユミは、河本の手を握った。
「決まりね。1週間後の夜、空港ホテルを予約して待ってるわ。
ホテルで一夜を明かして、それからエアポートに行きましょう」
ユミは、そう言って河本の手に頬を寄せた。
さすがに我慢出来なくなった達郎が、二人の前へ飛び出して行って噛み付いた。
「ユミさん、あんまりだよ。親父も親父だ。
説明してくれよ。説明次第じゃ俺だって黙っちゃいないぜ」
二人は取り合おうともしない。
邪魔が入ったと、レストランを出て行ってしまった。
達郎は二人を追い掛けて、河本に飛び掛った。
「お前は俺の親父でも何でもねえ。
俺の親父なんかであるもんか」
河本は素早く身を交わすと、逆に達郎を殴り飛ばした。
鉄拳を食らって尻もちを付いた達郎を、ユミは心配する様子もなく見下ろしていた。
達郎はユミに訴えた。
「ユミさん、どうしてそんなに冷たい目で俺を見るんだよ?
そんなに俺が嫌いかよ?嫌いなのかよ?」
ユミと河本は、すがる達郎を無視してさっさと歩き去ってしまった。
達郎は、やり切れない悔しさで拳を壁に叩き付けた
「ユミさん、俺あんたの微笑みが欲しいだけなんだよ」

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傷心の達郎は、杏子ママ(中村晃子)のバーで自棄酒を煽った。
そして、思い詰めた表情で杏子ママに呟いた。
「俺、親父殺すかも知れねえぜ。
そして、ユミさんも殺して俺も死ぬ」
そう言い残して、達郎はバーを飛び出していった。
緊急事態と見た杏子ママは、バーに居合わせていた堤に決断を促した。
「先生もう駄目。
河本さんと達郎君に何もかも話さなければならないわ。
話さなければあの親子は破滅してしまうわ」

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一方、野獣会のメンバーはそれぞれに思惑を抱えながら計画実行の準備に入っていた。
ユミは、野獣会No.2・斉藤かおる(渡辺祐子)を呼び出して囁いていた。
「かおる、涼子はビビっちゃってどうにもならないよ。
お前が心の中でどんな夢を見ているか、あたしが知らないとでも思っているのかい?
お前の夢は、野獣会の頭を張ることさ。
どうだい、あたしがその夢を叶えてやろうじゃないか」
ユミは、予てから腹心・かおるが涼子に不満を持っていることを見抜いていた。
かおるは迷いながらも、この甘い囁きに乗せられてしまうのだった。

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いよいよ決行の日が来た。
深夜、ユミと涼子をはじめとする野獣会メンバーが河本宝石店の地下駐車場に現れた。
ユミは、用意した合鍵で秘密通路の扉を開けるとメンバーを招き入れた。

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『大沼ユミは、正に今自らが破滅する道に向って突っ走ろうとしていた。
ユミの破滅は、小沢裕美の破滅を意味していることを、
ユミはほんの少しも知らないのであろうか』

ドラマ ヤヌスの鏡(第11話) [サンテレビ] 2013年11月07日 15時00時00秒(木曜日)

<初井言榮:関連作品>

テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:10話
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10話「少女が知った恐ろしい秘密」

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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小沢初江:初井言榮

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小沢みどり:小林哲子

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小沢一樹:前田吟

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森村誠路:中条静夫

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堤邦彦:山下真司

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中山充郎:大石吾朗

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栗田圭子:賀来千香子

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遠藤浩一:石橋正次、磯村治美:小出綾女

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阿部純子:河合その子

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戸塚京子:荒井玉青、秋野理江:百瀬まなみ、長田直美:長山洋子、後藤亮子:橋本薫子

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大沼ユミ:杉浦幸

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東涼子:大沢逸美

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河本達郎:風見慎吾

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河本達之:高橋悦史

<ストーリー>
『裕美の母・由紀子の叶えられなかった夢を無意識に果たそうとした大沼ユミは、
今邦彦の腕の中で裕美に戻って眠っていた。
教師と生徒、それは禁じられた恋であった』

深夜、裕美の担任教師・堤(山下真司)は、
女子高生・小沢裕美(杉浦幸)を抱き抱えて帰宅の途に就いていた。
その頃、匿名の通報を受けた祖母・初江(初井言榮)と養母・みどり(小林哲子)は、
裕美を捜して夜の街を走り回っていた。
堤に抱き抱えられた裕美を発見すると、初江とみどりは慌てて駆け寄った。
裕美は意識を失っており、ウェディングドレスを着せられていた。
初江は裕美に呼掛けた。
「裕美、裕美起きなさい」
裕美はピクリとも動かない。
初江は堤に噛み付いた。
「眠り薬を飲ませましたね。何ということを。
あまつさえ花嫁衣裳など着せて、あなたは裕美をどうするおつもりか?」
堤が説明しようとすると、初江は「問答無用」とそれを遮った。
裕美は車に乗せられ、初江とみどりに自宅へ連れ帰られた。

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翌日、初江は裕美の通う学校へ再び抗議にやって来た。
「堤教師を、直ちに当校から追放して頂きたい。
あの男は教師という立場を利用してうちの孫娘を夜な夜な誘い出し、誘惑しようとしているのですよ」
応対に当った校長・森村誠路(中条静夫)は、まずは本人に確認したいと初江に弁明した。
森村校長は、改めて堤本人を呼んで事情を問い質した。
それに対して、堤は「申し上げられません」と説明を拒否した。
同僚教師たちもそんな堤に詰め寄った。
「男として小沢に惚れたということですか?」
堤は静かに答えた。
「そう受け取って頂いて結構です」
これを受けて、堤には直ちに自宅謹慎の処分が下された。

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この事件を知って一番憤慨したのは、当事者の裕美だった。
「堤先生が学校に戻らない限り、私も学校には行きません」
裕美は、初江と養父母にこう宣言して登校を拒否した。
怒った初江は、またしても裕美を納戸に閉じ込めた。
しかし、裕美の意思は固かった。
今度ばかりは、初江の許しを請う素振りを見せなかった。
食事も拒否して、納戸の中で徹底抗戦を貫いた。

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午後、堤は心配して小沢家を訪問した。
「私に小沢君と話をさせて下さい。お願いします」
初江は、怒って堤を追い返した。
堤は、玄関から大声で裕美に呼掛けた。
「小沢、小沢聞こえるか。
先生のことなど心配しないで学校に行くんだ。
先生はいつでもお前を見守っているぞ。
そのことを忘れるな。
先生の為を思うんだったら、学校に行ってくれ。
学校に行くんだぞ、判ったな」
堤の声は、納戸の中の裕美にも聞こえた。
裕美は初江に訴えた。
「お婆ちゃま、堤先生に会わせて下さい」
それを聞くと、初江は裕美を張り飛ばした。
「裕美、堤教師とお前の仲などお婆ちゃまは決して認めません」
初江は聞く耳を持たなかった。
先生に会いたい。
どうしても会いたい。
その思いが高まってくると、裕美のもう1つの人格が納戸の中で目を覚まして来た。
「消える……私が私から消えてゆく」

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その夜、裕美のもう1つの人格・大沼ユミ(杉浦幸)は、
恋人・河本達郎(風見慎吾)や野獣会リーダー・東涼子(大沢逸美)と共に、
波止場の暴走族抗争に参加していた。
「今夜のあたしはムシャクシャしているんだ。思いっきり暴れさせて貰うよ」
ユミは得意の合気道で次々暴走族を投げ飛ばしていった。
そんなユミの前に、騒ぎを知って駆け付けた堤が立ち塞がった。
「ユミ、止めるんだ。私と一緒に家に帰ろう」
ユミは堤を殴り飛ばして吐き捨てた。
「うるせえ。あたしはね、あたしの行動を監視する奴、あたしに命令する奴は許さないんだ。
そんな奴はみんな消えちまいな」
ユミはバイクに飛び乗ると、堤目掛けて急発進した。
気付いた涼子が、慌ててバイクの前に飛び出して制止した。
「ユミ、止めろ。この先生はあたしたちに対して敵意を持ってないじゃないか。
敵意のない人間を傷付けるのは野獣会の掟に反することさ」
ユミは言い返した。
「そんな掟などあたしの知ったことかい。
涼子、そこをどかないとお前を轢き殺すけどいいかい」
涼子はメンバーの手前ここは引き下がれなかった。
「ユミ、つけあがるんじゃないよ。
あたしも野獣会の頭だ。お前を叩きのめして掟を守らせてやる」
涼子はナイフを抜いてユミににじり寄った。
「お前とは一度きっちり決着を付けておくべきだった。情けは掛けないよ」
涼子が飛び掛ると、ユミは体を捌いて涼子を投げ飛ばした。
「勝負は未だだ」と立ち上がる涼子に、ユミは突然闘いの終りを告げた。
「あたしの負けさ。今夜だけ野獣会の掟に従おうじゃないか」
戸惑う一同を尻目に、ユミは堤に向き直った。
「先公、あんたの車で送って貰うよ。
先公の話をほんの少し聞いてやるまでさ」
ユミは、さっさと堤の車に乗り込んで行った。

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堤は車を走らせながら、助手席のユミに話し掛けた。
「ユミ、君は小沢裕美を知ってるな。
小沢はな、いつも自由を求めて悩んでる女の子だ。
魂を熱く満たすものを祈るように求めている女の子なんだ。
ユミ、君と小沢は生涯出会うことは出来ないんだ
それはな、ユミ。
君が小沢裕美だからなんだ。
君も心の何処かで気付いているはずだ。
君は、小沢裕美の夢が生んだもう1人の人間、もう1つの人格なんだ。
だから、君と小沢は生涯出会うことは出来ないんだ。
だけどな、君と小沢の心を一つに重ね合わせることは出来る。
先生はそう思ってるんだ」
そこ迄聞いたところで、ユミは突然ナイフを抜いて堤の腿を突き刺した。
堤は驚いて車を急停止させた。
激痛に震える堤を目にして、ユミは不敵に微笑んだ。
「小沢裕美なんて関係あるもんか。あたしは大沼ユミ。
あたしの行動を邪魔する奴は容赦するもんか。
先公、楽しい夢でも見てな。
あたしはこれからやることがあるのさ」
ユミは車を降りて、夜の闇に消えて行った。

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深夜、宝石店で残業していた河本達之(高橋悦史)の前にユミが現れた。
河本は、思わぬ訪問者を店に招き入れた。

『突然河本の店を訪ねたユミの心には、どのような謎が隠されているのだろうか。
実は、河本を絶望のどん底に突き落とす恐ろしい企みが秘められていたのである』

ドラマ ヤヌスの鏡(第10話) [サンテレビ] 2013年11月06日 15時00時00秒(水曜日)

<小林哲子:関連作品>

テーマ:懐かしのドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:9話
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9話「花嫁姿で笑う魔少女」

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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小沢初江:初井言榮

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小沢みどり:小林哲子(ウェディングドレス)

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小沢由紀子:杉浦幸(二役)

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栗田圭子:賀来千香子

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長田直美:長山洋子

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堤邦彦:山下真司

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河本達之:高橋悦史

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河本美穂子:吉行和子

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遠藤浩一:石橋正次

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大沼ユミ:杉浦幸

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河本達郎:風見慎吾

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杏子ママ:中村晃子

<ストーリー>
『ユミは、マンションから転落して重症を負った河本の病室を深夜密かに見舞っていた。
河本が、裕美を捨てた真実の父であることを知るはずのないユミである。
それでは、河本に接近するユミの心にはどのような謎が隠されているのであろうか』

深夜、宝石店社長・河本達之(高橋悦史)が入院する病室に大沼ユミ(杉浦幸)が現れた。
ユミは、河本にリンゴを剥いて差し出した。
「おじ様はユミにとってとっても大切な人なの。
あたしはおじ様が好き。おじ様に夢中なの」
ユミは、そう言って河本に頬を寄せた。
河本も思わず答えていた。
「ユミ君、私も君に夢中になりそうだ」
河本がユミを抱き寄せてキスしようとすると、ユミはそれを遮った。
「おじ様、タッチンからあたしを奪うつもり?」
そう、ユミは河本の息子の恋人だ。
加えて、例の階段事故といい何処か危険なニオイがしないでもない。
それでもなお、ユミは余りに魅力的だった。
河本はユミを見つめて答えた。
「どんな相手と闘っても奪う価値のある女性だよ、君は。
例えライバルが息子でもね」

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翌日、女子高生・小沢裕美(杉浦幸)は、期末テストを遂えて級友たちと帰宅の途に就いた。
道中、教会の前に差し掛かったところで結婚式を挙げるカップルが目に入った。
親戚縁者に祝福されるカップルは、見るからに幸せ一杯だ。
裕美は、そのカップルが自分と堤先生(山下真司)だったらと考えてみた。
そして、花嫁衣裳を着ることが出来なかった亡き母・由紀子(杉浦幸・二役)に思いを馳せた。

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裕美は再び父である河本に会いに行った。
河本は退院して宝石店の業務に復帰している。
裕美が現れると、河本は慌てて店の裏に連れ出した。
「迷惑なんだよ。二度と私の前に姿を見せるなと言ったろ」
裕美にはどうしても確かめたいことがあった。
「答えて下さい。あなたは何故私の母と結婚しなかったんですか?
母はあなたを信じて、あなたと結婚できることを信じて私を産んだんです。
それなのに、何故あなたは結婚しなかったんですか?
あなたは、母が私を産んだことを知っていた筈です。
どうして、母と私を迎えに来てくれなかったんですか?
私のことを、ほんの少しも愛おしいとは思ってくれなかったんですか?」
懸命に訴える裕美を、河本は強引に遮った。
「もういい、やめたまえ。
何時迄もくだらんことを言っていると、どんな目に遭うか判らんぞ」
河本は、少々怒ってこの会話を打ち切った。

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帰宅後の裕美に、その河本から電話が掛って来た。
会って話したいという。
裕美は、心弾ませて待ち合わせ場所へ向った。
冷たい態度を取ったのは、店にいた奥さんの目線を気にしていたからに違いない。
今度こそ本当の気持ちを打ち明けてくれるに違いない。
待ち合わせ場所は、人気のない工場だ。
裕美が工場の前へとやって来ると、突如として大型犬が襲い掛かって来た。
裕美は悲鳴を上げて逃げ出した。
大型犬は牙を剥いて裕美に吠える。
逃げても逃げても素早く回りこんで飛び掛ってくる。
裕美は工場の中に逃げ込もうと、石を拾って窓ガラスを割った。
その瞬間、またしても裕美のもう一つの人格が目を覚ました。

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その夜、河本の元にユミから電話が掛って来た。
また会って欲しいという。
河本は、夜景の見えるレストランにユミを招待した。
会食中に河本がダイヤの指輪をプレゼントすると、受け取ったユミは無邪気に喜んだ。
「あたし、ダイヤ好きよ。
ダイヤは冷たくて硬くて何よりも残酷だわ。
おじ様、何かお話をして。
あたし、残酷なものが好きなの。
おじ様、若い頃モテたでしょ。
その頃、最も残酷に捨てた女性の話なんかどうかしら」
そう振られて、河本は大学時代に高校生の恋人がいたことを打ち明けた。
彼女は独占欲が強かった。
それを重荷に感じていた河本は、彼女が妊娠したと知って逃げ出した。
その後、彼女は自殺してしまったという。
ここまで話したところで、ユミは河本の顔をしげしげ見つめて呟いた。
「おじ様って、見かけによらず本当に残酷な人なのね」
ユミが真顔で言うので、河本は慌てて打ち消した。
「冗談だよ。君が残酷な話をせがむから、作り話をしたまでさ」
食事を終えた後、ユミと河本はレストランを出て通りを歩き始めた。
ユミはふとショーウィンドウに目を留めると、河本に妙なことをせがんだ。
「おじ様、あたしにこのウェディングドレスを買って頂戴」

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その頃、河本の息子・河本達郎(風見慎吾)は、
待っても待ってもユミが現れないことに苛立っていた。
いつもなら、杏子ママ(中村晃子)のバーへ行けばユミと会える。
なのに、ここ数日ユミは全然姿を現さないのだ。
達郎が腐っていると、杏子ママが話し掛けて来た。
「大沼ユミは、男を破滅させるタイプの女よ」
そんな話をしていると、バーに堤が駆け込んできた。
店内を見回して何かを確認すると、堤はまた慌ててバーを出て行った。
達郎は事情を察した。
「そうか、ユミさんが現れたんだよ」
達郎もバーを飛び出した。

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ユミは繁華街の路上にいた。
何故かウェディングドレスを着て、達郎の父・河本と腕を組んでいた。
達郎が駆け寄って話し掛けると、ユミは冷たく言い放った。
「このドレスはタッチンのために着てるんじゃないよ。
タッチンのお父さんのために着てるのさ。
ガキっぽいあんたより、おじ様の方が10倍も素敵ってことよ」
達郎は驚いて河本に尋ねた。
「親父、俺からユミさんを奪うつもりかよ」
河本は、悪びれる様子もなくそれを認めた。
「お前は未だ子供だ。ユミ君のお相手は務まらないよ」
達郎は怒って河本に掴み掛かった。
「ふざけんなよ」
傍らからその様子を見守っていた堤と杏子ママが、達郎を止めに入った。
「達郎君止めろ、止めるんだ」
堤は、暴れる達郎を羽交い絞めにして何とか河本から引き離した。
そして、ユミに向き直って尋ねた。
「ユミ、君は河本親子を争わせることが目的でこんな事をしているのか?」
ユミは、不敵に微笑んで答えた。
「争うのは向うの勝手。あたしは気の向くまま生きているだけさ」

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騒動が収まった後、ユミは杏子ママのバーでオン・ザ・ロックを煽った。
ドレス姿のユミが着替えをしたいと言うと、杏子ママは「奥の部屋を使えばいい」とユミを案内した。
数分後、ユミはその部屋で寝息を立て始めた。
杏子ママが、ロックに眠り薬を盛っていたのだ。
眠りに落ちたユミは、元の裕美に戻っていた。

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堤は、ウェディングドレス姿の裕美を抱き抱えて彼女の自宅へ向った。
その道中、裕美は堤の腕の中で寝言を呟いた。
「先生、好きです」
それを聞いた堤は、眠る裕美に静かに囁いた。
「先生もお前が好きだ。お前は先生にとって掛け替えの無い人間だ。
先生はどんなことがあってもお前を守る。守ってみせる」

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『裕美は、邦彦に対する愛を無意識に告白していた。
そして、邦彦もまた教師として言ってはならない愛の告白を眠る裕美に発していた。
それが、裕美と邦彦を危機に追いやることになる等とは少しも考えない2人であった』

ドラマ ヤヌスの鏡(第09話) [サンテレビ] 2013年11月05日 15時00時00秒(火曜日)

<風見しんご:関連作品>

テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:8話
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8話「悪魔が初めて恐怖する」

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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左から
小沢初江:初井言榮、小沢一樹:前田吟

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河本達之:高橋悦史

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河本美穂子:吉行和子

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河本達郎:風見慎吾

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幼少期の裕美:近藤花恵

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進東哲也:宮川一朗太

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栗田圭子:賀来千香子

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遠藤浩一:石橋正次

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阿部純子:河合その子

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左から
後藤亮子:橋本薫子、磯村治美:小出綾女、長田直美:長山洋子、秋野理江:百瀬まなみ

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斉藤かおる:渡辺祐子

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西川ルイ:河上幸恵

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麻倉澄夫:佐藤健太(サイフォン)

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進東修一:蟹江敬三

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杏子ママ:中村晃子

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大沼ユミ:杉浦幸

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東涼子:大沢逸美

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暴力団:

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大男:

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堤邦彦:山下真司

<ストーリー>
『達郎の父・河本達之が、マンションの階段から転落した。
それは、偶然の事故であったろうか。
それとも、ユミの心に無意識に潜む裕美の、
自分を捨てた者に対する恨みから発した故意であったろうか』

宝石店社長・河本達之(高橋悦史)がマンション階段から転落した。
この事件は、瞬く間に報道されて世間の知るところとなった。
小沢家の祖母・小沢初江(初井言榮)は、これを耳にして呟いた。
「天罰です。天罰が下ったのです」
それを見た女子高生・小沢裕美(杉浦幸)は、激しい不安に襲われた。
ひょっとして、もう1人の自分がまた悪さをしたのではないか。
河本の事故に、何か関わっているのではあるまいか。

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報道で事件を知った裕美の担任教師・堤(山下真司)もまた、激しい疑念に捕われていた。
昨夜、堤は遊園地で大沼ユミ(杉浦幸)と河本を目撃していた。
裕美のもう一人の人格・ユミは、河本とのデートを無邪気に楽しんでいた。
ユミは、父に会って心に溜めていた寂しさを晴らしたかったに違いない。
そう納得した堤は、安心して二人を見送っていた。
ところが、ここに来てユミの本心は別にあったのではないかと思えて来た。
裕美は、自分を捨てた父に復讐しようと企んでいたのではないか。
だとしたら、河本の転落もユミによって故意に引き起こされたのかもしれない。

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堤は真相を探るために、入院中の河本の見舞いに行った。
妻・河本美穂子(吉行和子)と息子・河本達郎(風見慎吾)が、病床の河本に付き添っていた。
幸い河本の怪我は大事には至らなかったようだ。
河本は、「階段の上でただ眩暈を起こしただけだ」と3人に強がった。
本当にそうだろうか。
堤は増々疑念を深めた。

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続いて、堤は通学途中の裕美を捕まえて尋ねた。
「小沢、お父さんが恋しいか?それとも、憎らしいか?」
裕美は幼少期から祖母に教え込まれてきた。
父は、母を死に追いやった悪党、
憎んでも憎みきれない悪党、
八つ裂きにしても足りない悪党だと教えられて来た。
しかし、今の裕美の心は揺れていた。
「私、今はお父さんに会いたいと思っています。
でも、子供の頃は…話したくありません」
二人が話し込んでいると、生徒会長・進東哲也(宮川一朗太)が割って入った。
「小沢君、授業に遅れるぞ。早く行き給え」
進東に促されて、裕美はその場から駆け出して行った。
裕美を見送りながら、進東は堤に噛み付いた。
「先生は小沢君のことをどう思ってるんですか。
もし、それが不純なものだったら、僕は先生を許さないつもりです」
堤は進東に答えた。
「進東、先生は小沢を愛おしいと思っている」
進東は畳み掛けた。
「それは教師としてですか?男としてですか?」
堤は悩みながら答えた。
「正直言って先生にも判らない。
でも、ただ一つ言えることは、
先生は今小沢を放っておくことは出来ないという思いで一杯なんだ」
堤は、そこで問答を打ち切って歩き去っていった。

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その日の授業中、学校教師・遠藤浩一(石橋正次)が裕美の手の怪我を見て詰問した。
「小沢、その怪我はどうした?説明してみろ」
裕美が答えられないでいると、親友・阿部純子(河合その子)が庇って答えた。
「昨日あたし、裕美を自転車に乗せて坂道で転んでしまったんです。
直美さんと京子さんも見ていました」
そう振られて直美(長山洋子)と京子(荒井玉青)も調子を合わせた。
「そうなんです」
遠藤は、裕美がユミと同一人物で、河本を階段から突き落としたのではないかと疑っている様子だ。
とは言え、別に証拠を握っているでもない。
遠藤はその場は引き下がって立ち去っていった。
遠藤が去った後、純子たちが裕美に尋ねた。
「裕美、あたし嘘を付いてあなたを庇ったけど、その怪我本当はどうしたの?
大沼ユミという人とどういう関係なの?」
裕美は返答に困った。
「あたし、判らないの。本当に…本当に何も判らないの」

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その頃、入院中の河本の病床に警部・進東修一(蟹江敬三)が事情聴取に来ていた。
進東警部もまた、河本がユミなる女性に突き落とされたのではないかと疑っていた。
現場付近の聞込みで目撃証言が寄せられていたのだ。
河本は、「ただの眩暈だ」と言い張って進東警部を追い返した。

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夜が来た。
堤はユミを探すために、繁華街へ出て行った。
喫茶店に野獣会メンバーが屯しているのを見付けた堤は、
会長・東涼子(大沢逸美)に話し掛けた。
「君に尋ねたいことがあるんだ。
河本さんが転落したときの状況を詳しく教えてくれないか。
ユミは本当に河本さんに何もしなかったのか?」
涼子は当時事件現場に居合わせており、救急車の手配をしている。
当然事件そのものを目撃している筈だ。
涼子は、堤の疑念を頭から否定した。
「ユミは指一本触れちゃいないよ」
しかし、打ち消し方が妙に強引だ。
堤は涼子の表情から見て取った。
ユミを庇って嘘を付いている。

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堤が事態を嗅ぎ付けていることをを知った涼子は、ユミの元へ知らせに向った。
「ユミ、あたしの他にお前の意図を見抜いている人間がもう1人いるよ」
涼子は判っていた。
あの時、ユミは意図的に河本を階段から転落させた。
抱き着こうとする河本の体を、態とすり抜けた。
河本に何か恨みでもあるのだろうか?
涼子が事情を話すよう言っても、ユミは打ち明けようとはしなかった。

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一方、堤はユミを探して行き着けのバーに入っていた。
ユミがいないと見て立ち去ろうとしたところ、
バーの店主・杏子ママ(中村晃子)が堤を引き止めた。
「堤先生、タッチンに本当のことを話したほうがいいんじゃないかしら。
裕美さんとユミさんが同一人物であるということ。
そして、達郎君の姉であるということ。
このままタッチンにこの事実を伏せていたら、どんな恐ろしいことになるか判らないのよ」
杏子ママは、一連の事件の因果関係を何もかも知っている様子だ。
堤は杏子ママに答えた。
「もう少し、僕に時間を下さい」
近いうちに真実を告げなければならないことは堤にも判っていた。
だが、それを知れば裕美も達郎も大変なショックを受けるに違いない。
今は未だその時ではない。
堤はそう感じていた。

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その頃、ユミと達郎、涼子の3人は連れ立って繁華街を闊歩していた。
達郎は、ユミの気を引こうと何かと話し掛けた。
つい夢中になった達郎は、駐車中の車に足を引っ掛けてしまった。
直ぐさま車の中から男たちが飛び出して来た。
一目で暴力団と判る連中だ。
達郎は男たちに殴り飛ばされた。
ユミと涼子は、達郎を助けようと加勢に入った。
忽ちに乱闘が始まり、ユミは得意の合気道で男たちを次々投げ飛ばした。
すると、暴力団の方にも加勢が来た。
今度はゴツイ体の大男だ。
ユミが立ち向かおうとしたその時、騒ぎを知って堤が駆け付けて来た。
大男の前に割って入ると、堤は仲裁を始めた。
「止めて下さい。今日のところは、許して頂けませんか」
男は構わず堤に飛び掛って来た。
その瞬間、堤は体を捌いて男を投げ飛ばした。
ユミはそれを見て驚愕した。
「先公お前、合気の技を…
お前は敵だ。必ず倒してやる」
そう言い捨てて、ユミはその場から駆け出して行った。
ユミの野獣の本能は、堤の持つ力に激しい恐怖を感じていた。

『魔性の女・ユミの心は、初めて味わう恐怖に慄いていた。
裕美ならぬユミにとって、単なるお節介な教師と思っていた堤が、
とてつもなく大きな男に見えたのである。
ユミは、夜の獣の本能で堤を恐るべき敵と思ったのである』

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深夜、入院中の河本の病室に花束を抱えたユミが現れた。
河本は複雑な胸中でユミを迎えた。
一体どういうつもりなのだろう。
あの転落事件が、故意なのか事故なのか河本には判断が付きかねていた。
もし故意なら、今度は止めを刺しに来たのかもしれない。
ユミは、戸惑う河本にウィンクしてナイフを手に取った。
「リンゴ剥いてあげるわね」

ドラマ ヤヌスの鏡(第08話) [サンテレビ] 2013年11月04日 15時00時00秒(月曜日)

<中村晃子:関連作品>


テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:7話
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7話「あれが噂のBカップル」

<出演>
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大沼ユミ:杉浦幸

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河本達郎:風見慎吾

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左から
河本達之:高橋悦史、堤邦彦:山下真司

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杏子ママ:中村晃子

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小沢裕美:杉浦幸

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左から
小沢初江:初井言榮、小沢みどり:小林哲子、小沢一樹:前田吟

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幼少期の裕美:近藤花恵

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河本美穂子:吉行和子

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長田直美:長山洋子、阿部純子:河合その子、戸塚京子:荒井玉青

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後藤亮子:橋本薫子、征木良介:小林栄次、竹中明夫:竹内力、菅沼正明:大井淳一

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阿部純子:河合その子

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麻倉澄夫:佐藤健太

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石原ヨシエ:石崎文也、渡辺美樹:井上香

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石川ゆかり:川崎葉子、山口珠代:松尾久美子

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進東哲也:宮川一朗太

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森村誠路:中条静夫

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堤の同僚教師:石橋正次、長谷川恒之、大石吾朗、小出綾女

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栗田圭子:賀来千香子

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野獣会メンバー:

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東涼子:大沢逸美

<ストーリー>
『達郎の父・河本達之こそ、裕美が探し求めていた幻の父であった。
裕美と達郎は、同じ父を持った異母兄弟なのである。
だが、裕美のもう1つの人格・大沼ユミは、
その事実を知ってか知らぬか風の中で達郎と熱い抱擁を交わしていた』

不良少女・大沼ユミ(杉浦幸)は、野獣会のリンチを耐え抜いた河本達郎(風見慎吾)を抱き締めた。
すると、突然誰かが割って入って二人の抱擁を引き離した。
高校教師・堤邦彦(山下真司)だった。
「達郎君、君はお父さんと一緒に家へ戻るんだ。
ユミ、君は先生と一緒に家に戻るんだ」
堤は、そう言ってユミの手を引いた。
ユミは、怒って堤の腕を捻り上げた。
ところが、堤はするりと技を解いて逆にユミの腕を捻り上げた。
ユミを助けようと、達郎はナイフを抜いた。
「ユミさんから手を放せよ」
達郎が堤に斬り掛かろうとすると、また誰かが間に入って達郎を殴り飛ばした。
傍らから成り行きを見守っていた達郎の父・河本達之(高橋悦史)だった。
「馬鹿、人殺しになりたいのか」
河本は、達郎の腕からナイフを蹴落とした。
堤の腕を振り解いたユミは、そのナイフを拾って堤に突進した。
堤は、ナイフの刃を素手で受け止めて言った。
「ナイフは、皮を破り肉を抉る。このナイフは他人に向けられた君の心そのものだ」
怯んだユミはその場から駆け出し、夜の街へ消えて行った。
達郎は、ユミを追い駆けながら堤に怒鳴り付けた。
「先公、俺とユミさんの恋邪魔すんな」

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翌朝ユミは人格を消して、女子高生・小沢裕美(杉浦幸)が目を覚ました。
裕美は学校へ行きたくなかった。
学校中にこんな噂が広まっている。
裕美は影番だ。
教師の堤と出来ている。
それに加えて、実の父・河本に冷たく追い返されたことも裕美の心を苦しめた。
裕美は、養父母(前田吟、小林哲子)に具合が悪いから学校を休ませて欲しいと訴えた。
祖母・初江(初井言榮)はそれを遮った。
「裕美、この小沢家には登校拒否する娘などおりませんよ。さあ、早く制服に着替えて学校に行きなさい」
祖母の命令は絶対だ。
裕美は、仕方なく身支度を整えて家を出た。
しかし、どうしても学校へ行くのは嫌だった。
その日、裕美は初めて学校をサボった。
公園のベンチに座って、時間が経つのをただ待ち続けた。
そんな裕美を、バイクに乗った集団がやって来て取り囲んだ。
不良グループ・野獣会のメンバーだ。
野獣会幹部・麻倉澄夫(佐藤健太)が、五円玉をライターで炙りながら裕美に詰め寄った。
「この五円玉が、お前が大沼ユミかどうかハッキリさせてくれるのさ」
澄夫は、裕美の掌に熱した五円玉を握らせた。
「お前が大沼ユミなら、今夜会えば判ることさ」
そう言い捨てて、澄夫は野獣会メンバーを引き連れて走り去っていった。
裕美は、悲鳴を上げてその場にへたり込んだ。

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その頃、担任教師・堤は裕美が学校に来ていないことを心配して周辺を捜し回っていた。
そして、公園から悲鳴が上がったのを聞いて慌てて駆け付けた。
裕美が右手を抑えて蹲っている。
堤は、裕美に駆け寄って右手を確かめてみた。
裕美の掌には、焼けた五円玉の火傷が痛々しく残っていた。
堤が手当しようとすると、裕美は泣きながら堤に抱き着いた。
「先生、怖かった。怖かった。怖かったの」

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丁度その現場に、ジョギング中の生徒たちが通りがかった。
裕美と堤が抱き合っているのを見ると、生徒の一人が駆け寄って堤を殴り飛ばした。
予てから裕美を慕っていた生徒会長・進東哲也(宮川一朗太)だった。
「先生は卑怯者だ。先生は小沢君をどうするつもりなんですか?
小沢君は先生との噂に苦しんでる時なんです。そんな時に!」
引率していた体育教師が、激昂する進東を制止した。
体育教師も、堤が授業を抜け出して女子生徒と密会していたと誤解しているようだ。
堤は、冷たい眼差しの一同を尻目に裕美を連れて保健室へ向った。

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その日、小沢家に匿名のタレコミ電話が掛って来た。
電話に出た初江の顔が青褪めた。
裕美が学校をサボって堤と密会しているという。
初江は、血相を変えて学校へ乗り込んだ。
校長・森村誠路(中条静夫)が応対に出ると初江は切り出した。
「裕美の担任の教師を即刻クビにして頂きます。
堤という教師は夜な夜な裕美を街に連れ出し、
今日という今日はまた、公園に誘い出して誘惑しようとしたんですよ。
こんな破廉恥な教師は首になって当然でしょう」
森村は、それは誤解だと初江に説明を始めた。
「実は、私が堤先生に特別に頼んで裕美君のことを守って貰っているんですよ。
裕美君に由紀子さんの二の舞いを踏ませたくはない。
無事に卒業を迎えられるように、堤先生にお願いしていたんです」
堤の同僚教師・栗田圭子(賀来千香子)も、初江に説明した。
「裕美さんが残酷なイジメに遭ってたんです。
駆け付けた堤先生が裕美さんを励ますのは当然です」
圭子教師は少し前、手に火傷を負った裕美が保健室で治療を受けるのに立ち会っていた。
一応納得した初江は、その場は引き下がって帰って行った。

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放課後、裕美は帰り道に堤と圭子が連れ添って歩いているのを目撃した。
圭子は、堤に自分の思いを告白しているようだ。
「先生は、あたしの気持ちを御存知ですよね。
あたしはずっと先生をお慕いしていました」
堤は困っている様子だ。
「僕は先生の気持ちをとても有難いと思ってました。
でも、今は…今は待って下さい」
堤は返事を濁した。
立ち聞きしていた裕美は、木陰に身を隠しながら思った。
圭子先生も堤先生のことが好きなんだ。

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その夜、繁華街にまたしても裕美のもう一人の人格・ユミが現れた。
ユミを発見した野獣会メンバーは、
アジトにしているマンションの一室へ強引に引きずり込んだ。
今夜こそユミの正体を確かめようというのだ。
野獣会幹部・澄夫がユミに詰め寄った。
「ユミ、お前の化けの皮が剥がれる日が遂に来たようだね」
ユミは右手に包帯を巻いていた。
澄夫が包帯を切って確かめようとナイフを抜くと、
ユミはナイフの刃を右手で握りしめた。
見る見る血が噴き出してくるが、ユミは構う様子もない。
肉が抉れ血に塗れた右手を、ユミは澄夫に突き出した。
「あたしの手がどうかしたのかい?」
余りの迫力に、澄夫は尻込みした。
五円玉の痕など確かめようもない。

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暫くして、マンションにリーダー・東涼子(大沢逸美)がやって来た。
涼子は事態を見て取ると、澄夫を張り飛ばした。
「澄夫、あたしの命令なしで勝手な真似するんじゃないよ。
今日からお前は平に格下げだ!」
どうやら、今回の行為は澄夫の独断だったようだ。
涼子はユミに詫びを入れた。
「ユミ、今日からこのマンションはお前が自由に使えばいい」
そう言って、涼子はユミにマンションの鍵を投げて渡した。
受け取ったユミは、涼子にウィンクして納得の意を伝えた。

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ユミはマンションを出ると、達郎の父・河本を誘ってバーへ出掛けた。
河本は、息子の彼女を相手に戸惑っている様子だ。
「ユミ君からお誘いを受けるなんて、思いもよらなかった」
ユミは河本を煽てた。
「だって、素敵なおじ様なんですもの。
タッチンなんかよりずっと素敵よ。
あたしね、タッチンじゃ幼すぎて物足りないのよね。
おじ様、あたしおじ様に連れてって欲しいところがあるんだけどな」
河本は、ユミにねだられるまま夜の遊園地にやって来た。
ユミは、メリーゴーランドに乗って子供のようにはしゃいだ。
「おじ様、あたしの部屋に招待したいんだけど、来てくださるわね」
余りに露骨な誘惑だったが、ユミに言われると河本は断る気にもなれなかった。
ユミと河本は連れ立ってマンションへやって来た。
涼子から譲り受けた例のマンションだ。
マンション前の長い階段を登り終えると、ユミは河本に微笑んだ。
「ユミはおじ様を一目見て胸がときめいてしまったの。
おじ様のことを思うだけで毎日が切ないわ」

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ユミが抱き締めて欲しいと訴えている。
そう感じた河本はユミの体を抱き寄せようと歩み寄った。
すると、ユミはスルリと体を交わした。
その瞬間、河本は足を踏み外して階段を転げ落ちていった。
踊り場まで落ちて気絶した河本を、ユミは冷たい目で見下ろしていた。

『ユミは丸で偶然の接近のように見せ掛けて達郎の父を誘惑していた。
裕美ならぬユミは、河本達之が自分の真実の父であることを知っていたのであろうか』

ドラマ ヤヌスの鏡(第07話) [サンテレビ] 2013年10月31日 15時00時00秒(木曜日)

<大沢逸美:関連作品>

テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:6話
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6話「納戸の中の秘密」

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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小沢初江:初井言榮

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幼少期の裕美:近藤花恵

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大沼ユミ:杉浦幸

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河本達郎:風見慎吾

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小沢みどり:小林哲子、小沢一樹:前田吟

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征木良介:小林栄次、菅沼正明:大井淳一、竹中明夫:竹内力

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戸塚京子:荒井玉青

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阿部純子:河合その子

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堤邦彦:山下真司、森村誠路:中条静夫

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長田直美:長山洋子

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河本達之:高橋悦史、河本美穂子:吉行和子

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後藤亮子:橋本薫子、秋野理江:百瀬まなみ、進東哲也:宮川一朗太

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栗田圭子:賀来千香子

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磯村治美:小出綾女

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工場長:河原さぶ

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東涼子:大沢逸美

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斉藤かおる:渡辺祐子

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西川ルイ:河上幸恵

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杏子ママ:中村晃子

<ストーリー>
『裕美は、祖母・初江の怒りを買って納戸に閉じ込められていた。
そして、その部屋には幼い日の忌まわしい思い出がギッシリと詰まっていたのである。
幼い日、裕美は祖母の厳しい躾教育について行けず、
幾度と無くこの納戸に閉じ込められて反省することを強いられたのであった。

その時、裕美はあることを思い出していた。
閉じ込められて何度目かの時、裕美はタンスの奥の引き出しから母の形見の文箱を発見したのである。
文箱は懐かしい母の匂いに満ち溢れていた。
裕美は、それがとても大切な物に思われて初江に見つからぬように咄嗟に隠すことを思い付いていた。
母の由紀子がそうしたように』

女子高生・小沢裕美(杉浦幸)は、祖母・初江(初井言榮)に罰として納戸へ閉じ込められた。
裕美は暫く正座して待ち続けたが、ふと放置された文箱に目を留めた。
中を改めてみると手紙が出て来た。
母・由紀子(杉浦幸)のものだった。
そこには、「TK」なる人物への熱い恋心が綴ってあった。
由紀子は、TKと共に遊覧船に乗った時の楽しさが一生忘れられないのだという。
「TK」とは一体誰なのだろう?
文面からして、母は本気で「TK」を愛していたようだ。
裕美は思いを馳せた。
その人が私の父に違いない。
父に会いたい。
会って話がしたい。
裕美がそんな思いを募らせていると、またしても意識が遠のく時がやって来た。

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その夜、裕美のもう一人の人格・大沼ユミ(杉浦幸)は、
遊覧船に乗って夜の海を周遊していた。
ユミが遊覧船から降り立つと、波止場で待っていた恋人・河本達郎(風見慎吾)が踊りに行こうと声を掛けた。
しかし、ユミは「今日は帰る」とそれを断った。
「あたしは贅沢な女なの。その覚悟で誘ってんの?」
ユミに言われて、達郎は気不味そうに打ち明けた。
「俺、今日金あんまり用意して来てないんだ」
それを聞くと、ユミは「帰る」と言ってスタスタ歩き去って行った。
達郎は慌ててユミに叫んだ。
「ユミさん、俺金作るよ。あんたに不自由はさせねえよ」
ユミは達郎に振り返ると、笑顔を見せて帰って行くのだった。

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小沢家に午前0時が来た。
初江は納戸を開いた。
裕美は、正座して待っていた。
初江が入って来ると、裕美は頭を下げて詫びを入れた。
「お婆ちゃま、裕美が悪うございました。どうぞお許し下さい」
それを聞くと、初江は十分反省したと見て取って裕美を労った。
そのやり取りを見ていた養父母(前田吟、小林哲子)は、狐につままれたような気分だった。
少し前に納戸を開けて確認した時には、裕美はいなかったのだ。

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翌日、裕美は学校に登校した。
その日、授業中の雑談で級友たちが父親の話題で盛り上がり始めた。
みんな楽しそうに父親の話をしている。
裕美も一応話を合わせたが、表情は浮かなかった。
みんなには当たり前のように父親がいるが、裕美は本当の父親が誰か判らないのだ。

放課後になり、裕美は級友・長田直美(長山洋子)に付き添って宝石店へ出掛けた。
応対に出て来た店主・河本達之(高橋悦史)が、裕美を見ると話し掛けて来た。
「六本木の杏子ママの店で会いましたね。達郎の父親です」
裕美が挨拶していると、誰かが強く腕を引っ張った。
祖母・初江だった。
「裕美、こんな所で何をしているのですか」
初江は、血相を変えて裕美を店から連れ出した。
「この店には二度と来てはいけませんよ」
只事ではない。
初江は、厳しい表情で河本を睨みつけていた。
あの人との間に何かある。
そう感じた裕美は、直美に店主の名前を尋ねた。
「確か、河本達之っていう名前だったと思うけど」
それを聞いて、裕美は全てを悟った。

『父だ。間違いない。
その時、裕美は祖母の前で狼狽する河本達之が自分の父親であることを確信していた』

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裕美は、電話帳で河本の住所を調べて自宅を訪ねた。
呼鈴を押す勇気はない。
裕美は、ただ玄関に立って家を見つめ続けた。
少しして、河本が妻・河本美穂子(吉行和子)と共にゴルフ練習場へ出掛けて行った。
裕美はその後を追って、ゴルフに興じる河本夫妻を見守り続けた。
いい加減、向うも気付いた様子だ。
河本が、裕美の元に歩み寄って来て尋ねた。
「僕に、何か用?」
裕美は例の手紙を差し出した。
「これは、ポストに投函されることのなかった母があなたに宛てた手紙です。
どうしても会いたくて、会って話がしたくて。
私のお父さんなんでしょ?」
それを読むと、河本は酷く狼狽して手紙を破り捨てた。
「止めないか。そんなことある訳ないじゃないか。
二度と私のところへ現れないでくれ」
河本は、強引に会話を打ち切って立ち去って行った。

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傷心の裕美は公園のベンチに座り込んだ。
余りに憔悴した様子だったので、丁度通りがかった堤が裕美に声を掛けた。
「小沢、どうしたんだ?何か悲しいことでもあったのか?」
裕美は、思わず堤に抱き着いていた。
堤が何があったのか尋ねても、裕美はただ泣くばかりだ。
只ならぬ様子の裕美を押し退ける訳にもいかず、堤は抱擁を受け入れていた。
この様子は、丁度下校途中だった裕美の同級生たち(宮川一朗太、橋本薫子、百瀬まなみ)に目撃されていた。

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その晩、六本木繁華街では不良グループ・野獣会がシマ荒しを探して回っていた。
誰かがトルエンを売り捌いて荒稼ぎをしているのが判ったのだ。
シマ荒しの正体は、間もなく突き止められた。
達郎が路上で瓶詰めトルエンを売り捌いているのが見つかったのだ。
達郎は、野獣会メンバーに取り囲まれて羽交い絞めにされた。
野獣会会長・東涼子(大沢逸美)と共にその様子を見守っていたユミに、達郎は訴えた。
「ユミさん、助けてくれよ。俺あんたに贅沢させようと思って稼いでたんじゃないか」
それを聞くと、ユミは達郎を思い切り張り飛ばした。
「馬鹿、あたしが金の掛かる女だと言ったのをまともに信じたのかい。
タッチン、初めて会った時にあたしに何て言ったか忘れたのかい。
金もステータスも関係ない、ただあたしと歩くだけで十分だ。
タッチンそう言ったじゃないか。
金が無ければ遊べないんだったら、家に帰って大人になったらどうなんだ」
ユミは、達郎に背を向けた。
達郎は、野獣会メンバーに人気のない駐車場へと連れられて行った。
そこで、野獣会は達郎を縛り上げて壮絶なリンチを開始するのだった。

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間もなく、この騒ぎを知った杏子ママ(中村晃子)と達郎の両親が駐車場に乗り込んで来た。
杏子ママは、野獣会会長・涼子に歩み寄って交渉を始めた。
「タッチンが何をしたの?私に譲ってくれないかしら」
この手の交渉は、相手のプライドを挫かないよう注意しながら仁義を通すのが鉄則だ。
しかし、それが分からぬ達郎の母・美穂子は息子可愛さに強引に割って入った。
「お金なら払います。幾ら出せばいいの?」
涼子が200万と吹っ掛けると、美穂子は早速小切手を切り始めた。
すると、成り行きを見守っていた達郎が声を絞り出した。
「ママ、止めてくれ。
これは俺が起こした問題なんだ。金でカタつけたら、ユミさんの顔二度と見れねえよ。
金払うの止めてくれ」
杏子ママは達郎の覚悟を見て取ると、美穂子から小切手を奪って破り捨てた。
「このお金を払ったらタッチンは駄目になるわ。それでもいいんですの?
涼子さん、ケチな考えを起こすもんじゃないわよ。
袋にするならキッチリ袋にすることだね」
野獣会メンバーは、再びリンチを開始した。
達郎は、歯を食いしばってそれに耐え続けるのだった。

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ユミは、歩道橋に立って達郎を待った。
暫くして、達郎はヨレヨレになって現れた。
「ユミさん、俺金でカタ付けようなんてしなかったぜ。体で…体でケリ付けて来たぜ。
俺あんたに恥ずかしいよ。御免な。銭金なんてどうでも良かったんだよな。
あんたと俺が風の中でただこうしているだけで良かったんだよな」

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ユミは達郎を抱き締めた。
「タッチン、判ってくれたんだね。
あたしが欲しいのは、あんたの純な心だけなんだ」
このユミと達郎の熱い抱擁を、歩道橋の傍らから堤と河本が複雑な表情で見守っていた。

ドラマ ヤヌスの鏡(第06話) [サンテレビ] 2013年10月30日 15時00時00秒(水曜日)

<高橋悦史:関連作品>

テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:5話
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5話「慕い続けた人の名は…」

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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小沢由紀子:杉浦幸(二役)

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菅沼正明:大井淳一、秋野理江:百瀬まなみ、戸塚京子:荒井玉青

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石原ヨシエ:石崎文也、渡辺美樹:井上香

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堤邦彦:山下真司、栗田圭子:賀来千香子

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森村誠路:中条静夫、磯村治美:小出綾女

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中山充郎:大石吾朗、遠藤浩一:石橋正次

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後藤亮子:橋本薫子

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竹中明夫:竹内力

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阿部純子:河合その子

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堤七七子:小林かおり

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反町:朝日奈津子

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進東哲也:宮川一朗太

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河本達郎:風見慎吾

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杏子ママ:中村晃子

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大沼ユミ:杉浦幸

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東涼子:大沢逸美

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小沢初江:初井言榮

<ストーリー>
『裕美の同級生・ヨシエと美樹は、夜の六本木の不良・大沼ユミの正体が小沢裕美だという噂を撒き散らし、
その噂は忽ち学校中に知れ渡り、繊細な少女・裕美を窮地に追い込んでいった。
裕美には、大沼ユミがもう1人の自分であるなどということは到底信じられなかった。
そんな記憶は微塵もないのだ。
しかし、自分が自分から居なくなるという現象は確実に起こっていた。
そうだとすれば、噂の通り夜の街を疾走する大沼ユミは、もう1人の自分なのであろうか』

女子高生・小沢裕美(杉浦幸)の通う学校に、噂話が広まっていた。
「裕美は影番よ」
学校では優等生の裕美に、裏の顔がある。
夜になると遊び歩いて、不良たちと喧嘩に明け暮れている。
こんな噂が、校内中にあっという間に広まっていた。

放課後、裕美は旧友たちに誘われて河川敷に行った。
旧友たちは、悪い噂に悩む裕美を気遣って励まそうとしていたのだ。
一同が河に石を投げて雑談に耽っていると、
突如としてバイクに乗った集団が押し掛けて来た。
前日ユミに痛め付けられた不良少女・ヨシエ(石崎文也)と美樹(井上香)とその仲間たちだった。
ヨシエと美樹は、裕美に詰め寄った。
「裕美、いつ迄猫被ってるんだい。
あたしたちが化けの皮をひん剥いてやるよ」
裕美は集団に取り囲まれ、恐怖で身が竦んだ。
裕美の危機を見て取ると、級友たちは助けようと慌てて駆け寄った。
忽ち、不良たちとの乱闘が始まった。
暫くして、この騒ぎに気付いた担任教師・堤(山下真司)が河川敷に駆け付けた。
「おい、お前たち、止めろ」
不良グループは、なおも大暴れを繰り返した。
堤は何とか止めようと割って入るが、不良たちに殴られっ放しだ。
耐え兼ねた裕美の級友・竹中明夫(竹内力)が、不良の1人を殴り飛ばした。
不良は転倒して頭を打って気絶した。
間もなく、通報を受けたパトカーがやって来て騒ぎは収まった。
不良たちは、一目散に逃げ出して行った。
しかし、不良の1人に怪我を負わせた竹中はそのまま警察に補導されてしまうのだった。

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翌日、学校では竹中の停学処分が発表された。
竹中は裕美を庇っただけだ。
余りに理不尽な仕打ちに、生徒たちは誰もが憤った。
批判の矛先が特に向けられたのは、
現場に居合わせていながら、殴られっ放しでいた堤だ。
「先生は卑怯です。先生はどうしてあの時闘わなかったんですか?
そんな考え方で、愛する人を守れるんですか?」
生徒たちに糾弾された堤は、重い口を開いた。
「先生は、愛する者を暴力で失った人間なんだ」
堤は、自身の苦い思い出を生徒たちに打ち明けた。

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それは、堤が新人教師時代のことだった。
堤は熱血漢で、生徒の不良行為には鉄拳も辞さない姿勢を貫いていた。
例え相手が女子生徒でも、その姿勢は変わらなかった。
堤の受け持ちの1人に、反町という女子生徒がいた。
反町は両親に見捨てられ、自暴自棄の素行不良を繰り返していた。
堤は、そんな反町を張り飛ばして諭した。
「反町、先生はお前を見捨てたりしないぞ」
そう言うと、反町は大人しくなった。
堤の説得は、納得して貰えたようだった。
だが、それは上辺に過ぎなかった。
後日、堤の新婚早々の新妻・七七子(小林かおり)が通り魔に刺殺された。
犯人は反町だった。
堤は逮捕された反町に尋ねた。
「どうして先生の妻を刺したんだ?お前は先生を憎んでいたのか?」
反町は堤に言い返した。
「だって、先生はあたしを殴ったじゃないよ。何度も何度も殴ったじゃないよ」
堤は言葉を失った。
愛ゆえの鞭なら判って貰える。
そう思い込んでいた。
しかし、反町は堤に憎悪を募らせていただけだった。
それ以来、堤は一切の暴力を封印した。
例え、正当防衛の場面でも殴られっ放しを貫いた。
「暴力が、人間を救うことなど決してないのだと先生は確信している」
堤は、聞き入る生徒たちに訴えた。

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その夜、堤は繁華街に出掛けた。
裕美のもう一人の人格・大沼ユミ(杉浦幸)と会って話をするためだ。
堤がユミの恋人・河本達郎(風見慎吾)に居場所を訊くと、
達郎は堤を行き着けのバーに案内した。
ユミは、そのバーで好きなピアノを弾いていた。
堤はユミに話し掛けた。
「大沼君、君と話したいことがあるんだ」
ユミは、取り合おうともしなかった。
「あたしはね、身元調べをする奴が大っ嫌いなんだ」
ユミは演奏を中断すると、店を飛び出して行った。
追い掛けようとした堤は、バーの店主・杏子ママ(中村晃子)に呼び止められた。
「堤先生は、小沢裕美さんと大沼ユミさんが同一人物ではないかと思って、
確認するためにいらしたんじゃありませんの?」
杏子ママは、堤の意図を見透かしていた。
堤は、返事を誤魔化してバーから立ち去るのだった。

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その頃、店を出たユミは誰かが尾行していることに気が付いた。
不良少女・ヨシエ(石崎文也)と美樹(井上香)だ。
ユミは、一計を案じて石段の上に二人を誘い出した。
二人が追い掛けて来ると、ユミは突然振り向いて啖呵を切った。
「あたしに何か用なのかい?
お前らは、ネオンの海に浮いたボウフラさ。
生きていたって意味なんてあるもんか。
風に呑まれて消えちまいな」
ユミは二人に飛び掛かり、得意の合気道で投げ飛ばした。
泡を食った二人は、慌ててその場から逃げ出した。
その瞬間、二人は石段に足を取られて転げ落ちていった。
かなりの段がある。
一番下まで転落した二人は、全身打撲で気を失った。
ユミは二人を一瞥すると、何事もなかったかのように立ち去って行った。
全て、ユミの計算通りだった。

遅れて、堤と達郎がユミを追い掛けて来た。
二人は、石段下に倒れるヨシエと美樹を発見した。
グッタリしている。
堤は、慌てて救急車を手配した。

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この事件を受けて、翌日小沢家に教師たち(石橋正次、長谷川恒之、山下真司)がやって来た。
応対に出た祖母・初江(初井言榮)に、
教師たちは昨夜起きた不良少女2人の転落事故について調べていることを伝えた。
初江は、教師たちに尋ねた。
「その事件と、うちの裕美にどのような関係があるとおっしゃるのですか?」
教師たちは、その答えをはぐらかして逆に初江に質問した。
「昨夜の6時から9時頃まで、裕美さんは何処にいました?」
初江が裕美は塾に通っていたと答えると、教師たちはその答えを予期していたように矛盾を指摘した。
塾に確認を取ってあるというのだ。
初江は勘違いしていたと取り繕い、昨夜裕美は家から出ていないと白を切って教師たちを追い返すのだった。

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教師たちが帰った後、初江は裕美に問い質した。
「裕美、お前という子は昨夜もまたお婆ちゃまを騙して、何処で何をしていたのですか?
何もかも正直にお婆ちゃまにおっしゃい」
そうは言われても、裕美には全く身に覚えがない。
「お婆ちゃま、裕美は何も悪いことなんてしていません」
裕美のその弁解に、初江が納得する筈もなかった。
「今日という今日は許しません」
初江は、裕美を納戸へ閉じ込めて言い放った。
「お前が心から反省するまで、お婆ちゃまは決してお前をここから出しませんからそのつもりでいなさい」

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『2つの人格を有する裕美にとって、恐怖の日が始まった。
裕美の意思には関係なく、夜の巷に出没する大沼ユミの存在が、
裕美自身を追詰め始めていたのである。
祖母の怒りのために、裕美は納戸に閉じ込められてしまった。
大人しい裕美なら、ひたすら祖母の許しを待つだろう。
しかし、裕美のもう1つの人格・大沼ユミは、どのような反撃をするのであろうか』

ドラマ ヤヌスの鏡(第05話) [サンテレビ] 2013年10月29日 15時00時00秒(火曜日)

<山下真司:関連作品>

テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:4話
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4話「昼は恋人、夜は敵」

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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阿部純子:河合その子

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秋野理江:百瀬まなみ、長田直美:長山洋子、後藤亮子:橋本薫子、菅沼正明:大井淳一、竹中明夫:竹内力

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堤邦彦:山下真司

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堤七七子:小林かおり

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栗田圭子:賀来千香子

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進東哲也:宮川一朗太

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小沢初江:初井言榮

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幼少期の裕美:近藤花恵

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大沼ユミ:杉浦幸

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河本達郎:風見慎吾

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不良少女2人組
渡辺美樹:井上香、石原ヨシエ:石崎文也

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河本美穂子:吉行和子

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小沢みどり:小林哲子、小沢一樹:前田吟

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東涼子:大沢逸美

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斉藤かおる:渡辺祐子

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杏子ママ:中村晃子

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河本達之:高橋悦史

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遠藤浩一:石橋正次

<ストーリー>
『私、誰も好きになんてなっていない。
男の人を好きになったら、不良になってしまう。
そんなこと、絶対に出来ないのだと裕美は思っていた。
それなのに、胸が高鳴るのは何故なのだろう?
それは、未だ恋を知らぬ裕美が初めて味わう胸のときめきであった』

ここ数日、女子高生・小沢裕美(杉浦幸)は何をしても上の空だった。
勉強には全く身が入らない。
友達と話していてもぼんやりしている。
裕美の頭のなかは、担任教師・堤邦彦(山下真司)のことで一杯だった。
思いは日に日に募ってくるのに、どうしたらいいかが判らない。

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上の空で授業を終えた放課後、裕美は友達数人と喫茶店に入った。
高校生ばかりなので、堤と同僚教師・栗田圭子(賀来千香子)も呼ばれて同席した。
席上、生徒たちは結婚について議論になった。
生徒たちに促されると、堤は亡くなった妻・七七子(小林かおり)との思い出について話した。

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堤と七七子、それに圭子の3人は同じ大学に通う親友同士だった。
やがて、堤は七七子への愛を募らせてプロポーズを思い立った。
堤は、七七子を煙突の前に呼び出して宣言した。
「僕は今からこの煙突の天辺に登って、このスカーフを縛り付けてきます。
成功したら、僕と結婚して下さい。
このスカーフが今日の空に翻ったら、この煙突はタダの煙突ではありません。
僕とあなたが、これから築き上げる愛の塔になるんです」
こう言い残して、堤は煙突に登っていった。
目も眩むような高さだ。
堤の姿はみるみる小さくなっていく。
七七子は心配して叫んだ。
「もう判ったわ。私はあなたと結婚します。降りて来て下さい」
この声が聞こえたのか聞こえなかったのか、堤はそのまま登り続けた。
そして、やっとの思いで頂上に登りつめてスカーフを結び付けたのだった。
この覚悟に打たれた七七子は、堤との結婚を決断したという。

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帰宅後、裕美はこの話を思い返してみた。
愛の告白のために、そこ迄やり通した堤のことが増々好きになった。
裕美は、マジックで青いスカーフに自分の思いを書き込んだ。
「先生が好き」
好きで好きで堪らない。
なのに、裕美には告白する勇気がない。
裕美は、空想の中で煙突に登ってみた。
登るのは高い高い煙突だ。
登り詰めた頂上で、裕美は叫んだ。
「先生、私やりました!」

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空想に耽っていた裕美は、祖母・初江(初井言榮)の部屋に呼び出された。
初江は、裕美を叱責した。
「裕美、ここのところずっと塾の成績は下がりっ放しではないか。
お前は、塾をサボって街の不良どもと遊び呆けているのでしょう」
初江は警策で裕美の体を叩いた。
裕美は幼少期からこの警策で何度も打たれてきた。
何を言い訳しても聞いては貰えない。
裕美は初江に謝った。
「お婆ちゃま、裕美が悪う御座いました。
今日から心を入れ替えて一生懸命勉強します」
裕美が詫びると、初江は裕美を抱き締めた。
「分かってくれたのですね。
お婆ちゃまはね、お前を由紀子のような女にしたくない。
由紀子はお婆ちゃまの言い付けに背いて街の不良共と交際して、
結局は身を滅ぼしてしまったのです。
男という男はみな血に飢えた狼です」

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その夜、大沼ユミ(杉浦幸)と河本達郎(風見慎吾)は、
いつものように繁華街をぶらついていた。
ユミは、ふと通りがかった宝石店に目を向けた。
店内の不良少女2人組の動きが変だ。
2人組は、慣れた手つきで宝石を万引きしている。
2人組が店を出て来ると、ユミはその前に立ち塞がった。
「盗ったモノをこっちに渡しな」
いきなり言われて怒った2人組は、ユミに飛び掛った。
ユミは得意の合気道で2人組を捩じ伏せた。
2人組から盗品を入れた紙バッグを取り上げると、ユミは達郎と立ち去ってしまった。
2人組の1人が、ユミの顔が同級生に似ていることに気付いた。
「裕美じゃねえか」

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ユミの奪い取った宝石類は、達郎が露天で売り捌いて忽ち現金に替えた。
一仕事遂えた達郎がユミに駆け寄ると、ユミは達郎にキスした。
「タッチン、大好きよ」
二人が抱き合っていると、いつの間にか周囲を人が取り囲んでいた。
東涼子(大沢逸美)率いる不良グループ・野獣会のメンバーだ。
「ユミ、あたしたちのシマで大きな顔をするのは許さないよ」
涼子は野獣会ナンバー2・斉藤かおる(渡辺祐子)に命じた。
「かおる、ユミにたっぷり怖い思いさせてやりな」
命じられたかおるは、ナイフを抜いてユミの左腕を突き刺した。
ユミは、痛がる素振りも見せずに刺さったナイフを投げ捨て、
青いスカーフを巻きつけて止血した。
「あたしの体はね、痛みなんて感じないんだ。
やるからには命を賭けてやろうじゃないか。来な!」
ユミの迫力に圧されて、かおるは尻込みした。
それを見て、涼子が前に進み出た。
「今度はあたしが相手をしようじゃないか」

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ユミと涼子が対峙したその時、別の方向から鋭い視線の女が歩み寄ってきた。
それに気づくと、涼子は突然踵を返した。
「ユミ、勝負はお預けだ」
野獣会のメンバーは、涼子に促されてその場から引き上げていった。
歩み寄ってきた女は、ユミと達郎が常連にしているバーの杏子ママ(中村晃子)だった。
杏子ママは、野獣会の初代リーダーだ。
涼子は、先輩に敬意を払ってその場を収めたのだ。
野獣会が立ち去ったのを見届けた杏子ママは、ユミに寄り添っていた達郎に話し掛けた。
「タッチン、お父様がお話があるそうよ」
少し離れたところに達郎の父・河本達之(高橋悦史)が立っているのが見えた。
家出中の達郎に、何か話があるらしい。
達郎はユミに話を付けてくると言い残して、父の元へ駆けていった。
話すことは判っている。
その内、家へ帰って来い。
そういうことだろう。
達郎は、適当に話を合わせた。
父・河本は、ふとユミの姿を見やった。
ユミの顔が見えると、河本は酷く動揺した。
「達郎、まさかあの子、小沢裕美じゃないだろうな?」
「別人だよ。親父、お袋を上手く誤魔化しといてくれよ」
達郎は、さっさと話を切り上げてユミの元へ戻っていった。

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ユミと達郎が夜の街を歩き出すと、誰かが駆け寄って来て呼び止めた。
以前会ったことのある高校教師・堤だった。
「達郎君、小沢を見なかったか?」
その晩、裕美は家から姿を消していた。
異変に気付いた両親(前田吟、小林哲子)は、祖母に見つかるまえに探し出そうと堤に相談していた。
堤は、それを受けて夜の街を走り回っていたのだ。
「ユミ、君は小沢裕美を見なかったか?」
ユミは、引き留めようとする堤を振り切って駆け出していった。
堤は、ユミが落とした青いスカーフを拾い上げた。
スカーフには「先生が好き」と書いてあった。

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翌日、登校した裕美に昨夜の不良少女2人組が詰め寄った。
「この野郎、昨夜の原宿であたしたちを散々いたぶって、モノを盗っただろ」
2人組は、そう言って裕美を突き飛ばした。
騒ぎを聞いて、堤や他の生徒たちが駆け寄った。
堤は、2人組に説明した。
「君たちが会ったのは大沼ユミという少女だ。小沢とは別人だ」
堤の執り成しで、何とか騒ぎは収められた。

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その後、堤は裕美と二人きりになるタイミングを待って青いスカーフを差し出した。
「このスカーフ、昨夜大沼ユミがしてたんだ」
裕美は、スカーフを受け取ると恥ずかしそうに俯いた。
「君のだったのか?」
スカーフには、裕美の字で「先生が好き」と書いてあった。
裕美は、堪らずその場から逃げ出した。
それを見て、堤はある結論に達していた。

『堤は、この時裕美とユミが同一人物であることを確信した。
だが、この事実がやがて起こる悲劇の前触れであろうとは神ならぬ身の知る由もなかったのである』

ドラマ ヤヌスの鏡(第04話) [サンテレビ] 2013年10月28日 15時00時00秒(月曜日)

<原作:宮脇明子>

テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:3話
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3話「嵐呼ぶ悪の化身」

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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小沢初江:初井言榮

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河本達郎:風見慎吾

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南田アオイ:柴田時江

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西川ルイ:河上幸恵

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進東哲也:宮川一朗太

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野崎カズオ:

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石原ヨシエ:石崎文也、渡辺美樹:井上香

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森村誠路:中条静夫

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栗田圭子:賀来千香子、中山充郎:大石吾朗、磯村治美:小出綾女、遠藤浩一:石橋正次、須長義男、長谷川恒之

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中田良子:玉岡加奈子

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長田直美:長山洋子、後藤亮子:橋本薫子、戸塚京子:荒井玉青、秋野理江:百瀬まなみ

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阿部純子:河合その子

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進東修一:高橋悦史

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杏子ママ:中村晃子

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堤邦彦:山下真司

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堤七七子:小林かおり

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中田良子の両親:平野稔、立花房子

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野崎カズオの両親:稲垣昭三、小沢寿美恵

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東涼子:大沢逸美

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斉藤かおる:渡辺祐子

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大沼ユミ:杉浦幸

<ストーリー>
『事故のために大混乱に陥ったバスの中で、恐るべきことが起こっていた。
小沢裕美が、大沼ユミに変身していたのである。
裕美とユミは同一人物であった。
だが、顔も心も全く違う人間なのである』

女子高生・小沢裕美(杉浦幸)は、バス事故に遭遇した。
その衝撃で、裕美は日中から大沼ユミ(杉浦幸)へと変身した。
ユミは、繁華街へ繰り出して野獣会のメンバーを見付けると追い掛け回した。
「あたいはね、群れて威張り腐っている奴が大嫌いなんだよ」
そう言うと、ユミは得意の合気道でメンバーを次々投げ飛ばした。
メンバーは降参して許しを請うが、ユミは聞く耳を持たずに腕をへし折ろうと締め上げた。
一緒に居た河本達郎(風見慎吾)も、さすがに見兼ねて止めに入った。
「ユミさん、それ以上はヤバイって」
その瞬間、何処かから赤ん坊の鳴き声が聞こえて来た。
ユミがその声に気を取られている隙に、メンバーは慌てて逃げ出した。

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ユミと達郎は、声が何処から聞こえて来るのか確かめてみた。
コインロッカーの中からだった。
誰かが赤ん坊を放置したらしい。
達郎は赤ん坊を抱え上げた。
と言っても、どうする宛もない。
二人は赤ん坊を抱えたまま街を彷徨う羽目になるのだった。
そうしている間にも時間はドンドン過ぎてゆく。
ユミは自覚していた。
時間が来れば自分が消えることを。
間もなくその時間がやって来る。

『その瞬間、ユミは形容し難い透明な喪失感に襲われていた。
時間が来た。私が消える。急がなければ。
ユミは、必死で走っていた。元の誰かに戻るために』

ユミは達郎に、捨て台詞を残して夜の街に駆け出して行った。
「タッチン、明日までにその子の始末をつけときな」

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その夜、裕美が意識を取り戻した時には午後9時30分になっていた。
塾へ通うために乗り込んだバスが事故に遭ったことまでは覚えている。
だが、それ以降の記憶は全くなかった。
一体何処で何をしていたのだろう?

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翌朝、裕美は通学途中にすれ違いざまの男に胸を触られた。
思わず裕美が悲鳴を上げると、丁度それを目撃した生徒会長・進東哲也(宮川一朗太)が男を取り押さえた。
「一体どういうつもりなんだ。君の行為は明らかに痴漢行為だ。
警察を呼んではっきりさせようか」
男は、ふざけただけだと弁解して謝った。
騒ぎは、通学途中の他の生徒たちも目撃していた。
恥ずかしくなった裕美は、土下座する男を尻目にその場から逃げ出すのだった。

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その日、裕美の通う学校ではある女子生徒のことで噂が持ち上がっていた。
「良子さんねえ、子供を産んだって噂があるのよ」
それは、裕美の同級生・中田良子(玉岡加奈子)のことだった。
この噂は、忽ち教師たちの耳にも入った。
担任教師・堤(山下真司)は、事の真偽を確かめるために中田を呼び出して尋ねた。
中田は暫く黙り通したが、とうとう泣き出した。
どうやら、噂は本当のようだ。
堤は中田を慰めながら、赤ん坊が何処にいるのかを訊いてみた。

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その日の授業を終えた裕美は、親友・阿部純子(河合その子)と共に駅のコインロッカーに向っていた。
中田から荷物を取りに行って欲しいと頼まれていたのだ。
二人は頼まれた番号のロッカーを確かめてみたが、中には何も入ってなかった。
引き返そうとしたその時、赤ん坊を抱えた達郎が裕美に駆け寄った。
「頼んだよ、君に任した」
達郎は何の説明もなしに赤ん坊を裕美に押し付けると、さっさと逃げ出してしまうのだった。
「中田さんの赤ちゃんかしら?」
預けられたところで、裕美にはどうしようもない。
裕美は赤ん坊を抱えて、担任教師・堤のアパートに相談に行った。

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堤は事情を飲み込むと、すぐさまミルクを作って赤ん坊に飲ませた。
「無事でよかった。この子は、中田が産んだ子なんだ」
裕美と堤は、赤ん坊を返そうと中田の家へ向った。
ところが、中田の両親は面倒を嫌がって二人を追い返してしまうのだった。
「お話することはありません。お帰り下さい」

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二人は、仕方なく赤ん坊の父親・野崎カズオの家へ向った。
野崎の顔を見た瞬間、裕美はアッと驚いた。
今朝通学途中に胸を触ってきたあの男だ。
野崎の両親は、小切手を切って「これで何とかして下さい」と二人を追い返した。
裕美は流石に頭にきた。
裕美もまた父を知らない私生児だ。
赤ん坊にこんな振る舞いをする人間が許せなかった。

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門限が迫っていたので裕美は家に帰った。
裕美は自室で一人机に向かった。
今日の出来事を思い返していると、またしても裕美の意識が飛ぶ時がやって来た。

一方、堤は何とか事態を収めようと両家の人々をホテルの一室に呼んで話合いを進めていた。
父方も母方も、赤ん坊を面倒がって責任の擦り合いを繰り返した。
とてもじゃないが、話は纏まりそうにない。
その席上、突如として謎の少女・ユミが部屋に乗り込んで来た。
「君は誰だ?」
目を見張る一同に、ユミは啖呵を切った。
「あたいはね、コインロッカーから最初にこの子を拾い上げた女だよ。
この子の決着はあたしが付けようじゃないか。
誰にも祝福されない子なんて、生きていたって仕方ないさ。
このこはあたしがコインロッカーに戻してやる」
ユミは赤ん坊を抱えて、部屋から飛び出して行った。
堤は慌てて追い掛けた。

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赤ん坊を抱えたユミと達郎、それを追う堤の3人が路地に入ったところで、
突如としてバイクに乗った集団が行く手に立ち塞がった。
六本木を根城にする不良少女集団・野獣会のメンバーだった。
野獣会会長・東涼子(大沢逸美)は、ユミの首をチェーンで締め上げて赤ん坊を奪い取った。
「今日は逃さないよ。あたしとタイマン勝負で決着付けようじゃないか」
堤は、涼子に説明した。
「止めないか。この子は産まれてすぐコインロッカーに捨てられた可哀想な子だ。
君達はもっとこの子に辛い目に遭わせようとするのか」
コインロッカー。
その一言で、涼子の顔色が変わった。
涼子は、チェーンを解いてユミに赤ん坊を返した。
「ユミ、タイマンは次の機会まで預けておくよ。引き上げるよ」
涼子に促されて、野獣会メンバーはバイクに戻って行った。
呆気に取られた達郎は、去り際の涼子に尋ねてみた。
「会長さん、どういう風の吹き回しだよ?」
涼子は謎めいた一言を残して走り去って行った。
「北風だけが知ってることさ」

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野獣会のバイクが走り去った後、赤ん坊の母親・中田がその場に駆け付けてユミに叫んだ。
「その子を返して。返して下さい!」
すると、ユミは良子の頬を張り飛ばした。
「馬鹿野郎、コインロッカーに赤子を捨てた女が何言ってるんだ!」
ユミは、中田の後からやって来た野崎も続けて殴り飛ばした。
「汚え。薄汚い男だよ。嫌いだ。大っ嫌いだ。こんな奴、ボウフラ以下だ」
堤がユミに赤ん坊を返すよう促すと、ユミは堤に向き直った。
「どうしても返して欲しかったら、あたしに土下座しな」
堤は迷わずその場に土下座した。
ユミは、そんな堤を見て猛烈に怒り出した。
「この腰抜け。どうして闘って獲らないんだよ。馬鹿野郎。馬鹿野郎。腰抜け。腰抜け」
堤を繰り返し蹴飛ばすユミを見兼ねて、達郎が執り成しに入った。
「ユミさん、止めてくれよ。俺、この先公好きなんだよ。だから止めてくれよ」
漸く熱を覚ましたユミは、赤ん坊を堤に引き渡した。
「先公、いつかあんたが闘う姿を見てみたいね」
ユミは達郎を連れて夜の街へと消えていった。
2人の後ろ姿を見送った後、堤は中田に赤ん坊を渡した。
「中田、今日から母親だぞ」
中田は赤ん坊を受け取って、「はい」と力強く頷くのだった。

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深夜、裕美は机の前で意識を取り戻した。
いつの間にか、英語の勉強に使っていた2時間テープが切れている。
裕美は、自分の手に覚えのない傷が残っていることに気付いた。

『裕美には眠った覚えも無ければ、自分が消えた記憶も無かった。
にも関わらず、夜に咲くユミは自分ではないかと心を凍らせていた』

ドラマ ヤヌスの鏡(第03話) [サンテレビ] 2013年10月24日 15時00時00秒(木曜日)

<ヤヌスの鏡:関連作品>

テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:2話
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2話「少女に何が起こったか?」

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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堤邦彦:山下真司

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河本達郎:風見慎吾

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進東哲也:宮川一朗太

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東涼子:大沢逸美

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阿部純子:河合その子

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杏子ママ:中村晃子

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小沢一樹:前田吟、小沢みどり:小林哲子

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栗田圭子:賀来千香子、遠藤浩一:石橋正次

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磯村治美:小出綾女、須長義男:長谷川恒之、中山充郎:大石吾朗

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斉藤かおる:渡辺祐子

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南田アオイ:柴田時江

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麻倉澄夫:佐藤健太、西川ルイ:河上幸恵

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山口珠代:松尾久美子、石川ゆかり:川崎葉子

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河本美穂子:吉行和子

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進東修一:蟹江敬三

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小沢初江:初井言榮

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河本達之:高橋悦史

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森村誠路:中条静夫

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大沼ユミ:杉浦幸

<ストーリー>
『夜の千万太に忽然と現れた美少女・大沼ユミ。
が、その言動は心に魔性が住まうかと思われる程冷酷非情であった。
夜の六本木に君臨する不良少女グループ・野獣会を徹底的に蹂躙したのである。
大沼ユミ、彼女は一体何者であろうか?』

女子高生・小沢裕美(杉浦幸)は、ここ数日不安な朝を迎えていた。
夜の記憶が全くないのだ。
気が付くと朝になっている。
裕美は、祖母・初江(初井言榮)と養父母(前田吟、小林哲子)と朝食を摂りながら
昨日の夜に一体何をしていたのかを思い返してみた。
どうしても思い出せなかった。
裕美は、そんな不安を抱えたまま学校へ登校して行くのだった。

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昼休み、裕美は親友・阿部純子(河合その子)と校庭でお喋りに耽っていた。
すると、突然バイクに乗った一団が大挙して校庭に押し掛けて来た。
一団は、不良グループ野獣会のメンバーだった。
野獣会メンバーは、大人数で裕美の周囲を取り囲んだ。
「こいつかい?大沼ユミにそっくりな奴ってのは」
野獣会メンバーは、裕美がユミと瓜二つだという噂を聞いて真偽を確かめに来たのだ。
裕美は怯えきって身を固くした。
野獣会幹部・斉藤かおる(渡辺祐子)は裕美の顔を確かめると、部下を怒鳴り付けた。
「ガセもいい加減にしな。一体この子の何処が大沼ユミに似ているんだよ。
馬鹿野郎、この子は大沼ユミとは似ても似つかぬ人形さ。
大沼ユミは獣のように精悍だったじゃないか。氷のように冷たい目をした女だった。
みんな、引き上げるよ」
野獣会メンバーは、人違いと判断するとさっさとバイクに乗って走り去ってしまうのだった。

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騒ぎが収まったあと、裕美は担任教師・堤(山下真司)に相談した。
子供の頃からよく人違いをされたこと。
自分にそっくりな「大沼ユミ」という人物がいることがとても不安であること。
それを受け、堤も「大沼ユミ」を見たことがあることを裕美に打ち明けた。
裕美は堤に「大沼ユミ」がどんな人物が尋ねてみた。
堤は、気不味そうにその質問をはぐらかした。
「君と違う世界に、君と似た女性が居てもいいじゃないか」

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学校が終ると、裕美は祖母の言い付けで塾に通った。
塾には、同級生の進東哲也(宮川一朗太)も来ていた。
進東は、予てから裕美に好意を寄せていた。
思いを告白するラブレターをしたため、裕美に渡すこともあった。
しかし、祖母に男女交際を禁じられている裕美は、そんな進東の誘いを断り続けていた。
ところが、その日に限って裕美は自分から進東に声を掛けた。
「進東君、あたしを六本木に案内して頂けませんか。今」

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進東は戸惑いながら、裕美を連れて六本木に向った。
二人が歩いていると、見知らぬ青年が裕美を呼び止めた。
青年は裕美の顔を確かめると、人違いだったと言って立ち去ろうとした。
そんな青年を、裕美は慌てて呼び止めた。
「待って下さい、私を大沼ユミさんと間違えたんじゃありませんか?」
その青年は、河本達郎(風見慎吾)というユミの知合いだった。
裕美が六本木にやって来た目的は、自分にソックリな少女・ユミを捜し出すことにあったのだ。
裕美は達郎に頼み込んだ。
「あなた、ユミさんを知っているのなら、私に会わせて頂けませんか?」

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事情を飲み込んだ達郎は、裕美と進東を連れてユミが立ち寄りそうな場所へ案内した。
ユミはボーリング場ではストライクを連発し、
スケートリンクではオリンピック選手並の技を披露するという。
一体どんな人物なのだろう。
裕美と進東は、達郎に連れられてバーへやって来た。
ユミはこの店でよくピアノを弾いているらしい。
達郎曰く、これまたプロ級の腕前だという。
接客に来たバーの店主・杏子ママ(中村晃子)は、裕美を見ると驚いて呟いた。
「由紀子さん?!」
別人だと判ると、杏子ママは慌てて取り繕った。
「あたしの思い違いだわ、気にしないで頂戴」
裕美は増々混乱した。
どういうことだろう。
私には、ユミとは別にもう一人そっくりな人物がいるのだろうか。

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結局、ユミはバーにも現れなかった。
裕美と進東は、諦めて店を出て行った。
二人を見送った後、杏子ママは電話を掛けた。
相手は宝石店主・河本達之(高橋悦史)であった。
「今、由紀子さんに瓜二つの女の子が店に来たわ。名前は小沢裕美」

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その頃、裕美と進東は帰り道にブティックに立ち寄っていた。
このブティックは、同級生・純子の姉が経営している。
裕美は、店を手伝う純子や店主の姉とついつい立ち話になっていた。
お喋りに夢中になっていると、あっという間に時間が過ぎてしまう。
気が付くと門限を過ぎてしまっていた。
裕美が慌てて店を飛び出すと、丁度そこに祖母・初江が車で待ち構えていた。
初江は、有無をいわさず裕美を車に押し込んだ。
親友の純子は「あたしが誘ったんです」と裕美を庇ったが、
初江は聞こうともせずに車を出してしまうのだった。

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翌日、初江は進東の父・進東修一(蟹江敬三)の元へ抗議に行った。
「あなたの御子息は私の孫娘をどうなさるおつもりか。
交際はまかりならんと電話できつく申し上げた筈です」
進東の父は警部をしている。
それでも、警察署まで抗議に来る初江の前にはタジタジだ。
初江と進東警部がそんなやり取りをしているのを尻目に、
傍らに居た河本がそそくさとその場から立ち去って行った。
河本は、家出した息子・達郎のことで警察に相談に訪れたところだった。
初江は、擦れ違った河本の顔を見て表情を強張らせた。
「あの男だ、間違いない。由紀子を弄んで殺した男だ」

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その夜、裕美は前日に引き続いて純子の姉のブティックに足を運んだ。
裕美は予てからファッション関係の仕事に興味を持っており、
仕事を手伝いたいと思っていたのだ。
純子の姉は、裕美の意を汲んでドレスの仕立てを教えた。
裕美が教わりながら漸く赤いドレスを仕立てあげた時、
突如として店に野獣会メンバーが押し入った。
「この子かい?珠代がユミと間違えたって子は?
可愛い子じゃないか。小沢裕美って言うんだね」
野獣会のリーダー・東涼子(大沢逸美)は、裕美が仕立てたドレスを奪い取るとナイフで引き裂いた。
「この子すっかり気に入ったよ。みんな、あたしのバイクに乗せてあげな」
裕美は野獣会メンバーにバイクに乗せられ、
無理矢理人気のない駐車場へ連れて行かれるのだった。

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丁度その頃、裕美の担任教師・堤は、
ユミの正体を確かめようと夜の六本木を捜し回っていたところだった。
野獣会メンバーが裕美を拐って行くのを目撃すると、堤は慌てて後を追った。
駐車場に駆け付けた堤は、裕美を庇って野獣会に袋叩きに遭った。
その間、堤は全く抵抗しようとしないままでいた。
間もなく、パトカーのサイレンが轟いたのを聞いて野獣会メンバーは退散していった。
裕美は、泣きながら堤を助け起こした。
「先生はどうして抵抗しないんですか?どうして闘おうとしないんですか?」
裕美がそう訊くと、堤は笑顔を作って答えた。
「先生は腰抜けで意気地なしだけど、体だけは頑丈に出来ているんだ。大丈夫だ」

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翌日、裕美は塾に通うためにバスに乗り込んだ。
道中、乗っていたバスとバイクが衝突事故を起こした。
幸い裕美に怪我はなかったが、この事故のショックが裕美のもう一つの人格を呼び起こしていた。

『見よ、身の毛のよだつこの変身を。
聖少女・小沢裕美は、魔性の女・大沼ユミと同一人物であった』

ドラマ ヤヌスの鏡(第02話) [サンテレビ] 2013年10月23日 15時00時00秒(水曜日)

<杉浦幸:関連作品>


テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

ヤヌスの鏡:1話
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杉浦幸主演の連続ドラマ。
厳格にしつけられた箱入り娘の女子高生が、
夜になるともう一つの人格に豹変して騒動を巻き起こすというお話。
「ジキルとハイド」を学園ドラマに置き換えた着想がユニーク。
キャラクターの描き分けが上手いので、
登場人物が多くても混乱しないで見ていられる。
演じるキャストもバッチリ嵌っている。
ドラマならではのセリフ廻し、人物の振舞い、世界観を追求しているので、
冷静に考えると「そんなバナナ」と思うような内容でも、
視聴者をグイグイ異世界に引き込む迫力がある。
古き良き大映ドラマならではの面白さが堪能出来る作品。

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1話「遅すぎた!私が消える」

allcinema
テレビドラマデータベース
Wikipedia

<番組データ>
脚本:江連卓
初回放送:1985年12月4日~1986年4月16日
放送枠:毎週水曜午後8時、フジテレビ系列

<出演>
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小沢裕美:杉浦幸

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小沢初江:初井言榮

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小沢一樹:前田吟、小沢みどり:小林哲子

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阿部純子:河合その子

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進東哲也:宮川一朗太

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長田直美:長山洋子、秋野理江:百瀬まなみ

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後藤亮子:橋本薫子

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戸塚京子:荒井玉青

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堤邦彦:山下真司

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栗田圭子:賀来千香子

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須長義男:長谷川恒之、森村誠路:中条静夫、中山充郎:大石吾朗

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磯村治美:小出綾女、遠藤浩一:石橋正次

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幼少期の裕美:近藤花恵

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チンピラ:

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大沼ユミ:杉浦幸

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河本達郎:風見慎吾

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杏子ママ:中村晃子

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石川ゆかり:川崎葉子、山口珠代:松尾久美子

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東涼子:大沢逸美

<ストーリー>
女子高生・小沢裕美(杉浦幸)は、毎朝祖母への挨拶を欠かさない。
小沢家の家長である祖母・小沢初江(初井言榮)は、裕美を厳しく育て上げていた。
持ち物を検査し、生活を管理し、間違いがあると警策で容赦なく叩きのめした。
その朝も、裕美は同級生から付文(ラブレター)を受け取ったと厳しく叱責を受けていた。
男女交際など言語道断だ。
裕美は、御免なさいと祖母に詫びて登校して行った。
裕美の育ての親・小沢一樹(前田吟)と小沢みどり(小林哲子)は、
そんな様子をオロオロしながら見守るだけだった。

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裕美の学校もまたスパルタ式だった。
教師たちは、校則違反の生徒を発見すると容赦なく鉄拳を振るった。
そんな中、一人だけ暴力を振るわない教師がいた。
堤邦彦(山下真司)という裕美の担任教師だ。
堤は、非行を発見しても注意するだけで絶対に手を挙げない。
不良たちは、そんな堤を見越して袋叩きにした。
堤はその間黙って耐えているだけだった。
学校中の生徒たちが、殴られっ放しの堤を馬鹿にしていた。
だが、裕美だけは堤が内に持つ強さを感じ取っていた。
堤は何か理由があって暴力を封印しているようなのだ。

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裕美には、それとは別に気掛りなことがあった。
幼少期から、自分の体に異変を感じることがあったのだ。
ガラスが割れる音、匂い、打たれること、
この3つが重なると記憶が飛んでしまう。
気が付くと夜になり、見知らぬ場所に立っている。
一体どうしてそんな場所にいるのか、そこ迄どうやって来たのか、
ちっとも思い出せないのだ。

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その日、化学の授業中に裕美はガラスが割れる光景を目にした。
同級生が誤ってフラスコを落としたのだ。
ガラスの割れる音、薬品の匂い、そして少し前に見た教師の鉄拳制裁、
3つが重なって裕美の記憶が飛んだ。
気が付くと、夜の9時になっており、見知らぬ埠頭に立っていた。
裕美は慌てて家に戻った。
門限を破った裕美には、またしても祖母の叱責が待っていた。
祖母がここ迄厳しく裕美に接するのは理由があった。
裕美は私生児だ。
実母・小沢由紀子(杉浦幸・二役)は、父の知れぬ子・裕美を産んで自殺した。
由紀子の乱れた生活がこの不幸を招いた。
そう考えた祖母は、同じ不幸を繰り返すまいと孫娘に人一倍厳しくしているのだった。

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こうして厳格な生活を守り通している人間もいれば、
一方で享楽をむさぼる人間もいる。
夜の繁華街では、今日も不良やチンピラたちが諍いを繰り返していた。
河本達郎(風見慎吾)も、そんな1人だった。
達郎は、厳格な両親に反発して家を飛び出し、夜の街を遊び歩く毎日を過ごしていた。
何をするでもなく街を彷徨っていた達郎は、一人の少女に目を留めた。
少女は、路上で出会したチンピラと何かトラブルになっているようだ。
怒ったチンピラが飛び掛ると、少女は古武術でも心得ているのか綺麗に投げ飛ばしてしまった。
颯爽としたその姿に感心した達郎は、少女に声を掛けた。
「見てたぜ。スカッとしたな。俺、達郎ってんだ。
六本木に案内したいんだけど、どうかな?」
少女の名前は、大沼ユミ(杉浦幸)という。
ユミは、人懐っこい達郎のことが何だか気に入った様子だ。
脈ありと見た達郎は、ユミの前で得意のブレイクダンスを踊ってみせた。
「ユミさん、俺はね、ずっとあんたみたいな人との出会いを夢見てたんだよ。
あんたみたいな人と出会うのが青春じゃないか。
一緒に居るとそれだけで心がビンビン痺れちまう。
金もステータスも何も関係ねえ。
一緒に歩く。それだけで十分だよ」
ユミは、微かに表情を崩して達郎に笑顔を見せた。
「面白い子ね」

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達郎とユミが歩道橋から夜景を見降ろしていると、轟音を上げたバイク集団が走り抜けていった。
達郎がユミに説明した。
「野獣会だ。夜の六本木を仕切ってる不良少女グループだよ。
ほら、奴が会長の東涼子だ」
ユミは、言われた方向に視線をやった。
バイク集団の中に、真っ赤なマフラーを纏った一際目を引く少女が居た。
彼女こそ、野獣会のリーダー・東涼子(大沢逸美)であった。
涼子を見たユミは、ワクワクした様子で達郎に答えた。
「六本木に行こうか。
心がビンビンに痺れたいんだろ?あたしだってそうさ」

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六本木にやって来た達郎とユミは、杏子ママ(中村晃子)が店長を務めるトランクというバーに入った。
ここは、達郎が以前から懇意にしている店だ。
杏子ママが接客に来ると、達郎はユミに紹介した。
「こちら、トランクの杏子ママ。頼りになる人だぜ」
ユミは杏子ママに挨拶すると、オン・ザ・ロックを一気に煽って店に備え付けられたピアノを華麗に弾きこなした。
すると、店の中で少々目立ってしまったせいか、客の女2人組(松尾久美子、川崎葉子)が野次を飛ばした。
「うるせぇ、うるせぇんだよ。止めろよ」
気分を害されたユミは、演奏を中断して2人組を睨み付けた。

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バーを出たユミと達郎が夜の街を楽しんでいると、先程の女2人組が再び因縁を吹っ掛けてきた。
仲間を呼んだらしく、今度は十人近くいる。
ユミと達郎は取り囲まれ、有無を言わさず人気のない駐車場に連れ込まれた。
「あたいたちに断りなしに、六本木の街をでかい面して歩かれるの、我慢出来ないんだよ」
女集団は、鉄パイプを手に次々襲い掛かって来た。
ユミは素早く身を交わすと、例の古武術であっという間に叩きのめしてしまうのだった。

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丁度その頃、裕美の担任教師・堤は、学生時代の友人たちと旧交を温めた帰り道であった。
そんな堤の目の前を、只ならぬ表情の不良少女たちが駆け抜けていった。
誰かをリンチしようとしている。
直感した堤は、仲裁しようと追い掛けて行った。
堤が駐車場に駆け付けた時、そこで見たのは意外な光景だった。
先程の不良少女たちが、リンチどころか逆に1人の少女に伸されてしまっていたのだ。
「君は?!」
驚く堤に、少女は不敵に言い返した。
「あたしは大沼ユミ。あんたこそ誰なんだい?」
堤の驚きは、少女の腕っ節とは別にもう1つあった。
ユミと名乗るその少女は、受け持ちの生徒・小沢裕美に瓜二つなのだ。

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その瞬間、駐車場に大挙してバイク集団が押し掛けて来た。
六本木を根城とする不良グループ・野獣会のメンバーだ。
ユミが叩きのめした不良少女たちは、この野獣会の配下だったのだ。
リーダー・東涼子が、ユミに詰め寄った。
「大沼ユミとか言ったね。いい度胸してるじゃないか。
ユミ、お前は何処から流れて来た逸れ者だい?」
出自を問われたユミは、惚けて答えた。
「忘れたね。昨夜は天の川で夕涼みをしていたのは覚えているけどね」
バカにされたと感じた涼子は、ユミを怒鳴り付けた。
「あたし相手にそれだけの与太を飛ばすなんて上等だね。袋にしな!」
野獣会メンバーがユミを取り囲んで一斉に襲い掛かろうとしたその時、
機転を利かせた達郎が発煙筒を投付けた。
「ユミさん、今日はこれ迄だ」
辺り一面に煙が立ち込め、ユミと達郎はその混乱に乗じて駐車場から逃げ出していた。

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駐車場から脱出した達郎は、いつの間にかユミを見失っていた。
「ユミさん、ユミさん何処なんだよ?」
大声で呼掛けると、何処からかユミの声が轟いた。
「タッチン、また会おう」
ユミの声を聞いた達郎は、すっかり興奮状態だった。
この人こそ、俺の運命の人だ。
達郎は一緒に居た堤を小突きながら絶叫した。
「先生よ、俺はあの女に惚れたよ、惚れたよ、惚れたよ、惚れたよ!
ユミさん、あんた一体何処の何者なんだよ!」

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『ユミは、ひた走っていた。
が、彼女自身その疾走が何を意味するのか知り得なかった。
ただ、自分が消えてゆくという透明な恐怖感がユミを突き動かしていたのである。
突然、夜の巷に現れたこの少女は一体何者であろうか。
それは、ヤヌスのみが知り得る世界であった』

ドラマ ヤヌスの鏡(第01話) [サンテレビ] 2013年10月22日 15時00時00秒(火曜日)

<土屋統吾郎:関連作品>


テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

若草物語
芦川いづみ、浅丘ルリ子、吉永小百合、和泉雅子の日活4大女優主演の恋愛映画。
父に反発して上京した4人の娘たちが、
それぞれ恋と生き方を見付けて成長していくというお話。
4人もいる主演スターの個性を描き分けて、しっかり物語を組み上げた構成が上手い。
掛け合いが活き活き描かれていて、やり取りを見ているだけで楽しくなる。
芦川いづみに黒、浅丘ルリ子に赤、吉永小百合に青、和泉雅子に黄のシンボルカラーの衣装を着せて
画作りも美しく仕上げてある。
恋愛を描いていても、現代のように露骨な性描写や愛憎劇に走ることなく、
すっきり爽やかな印象の作品。

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日活:若草物語
allcinema
MovieWalker

<作品データ>
脚本:三木克巳
監督:森永健次郎
公開:1964年(昭和39年)
配給:日活

<出演>
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瀬川早苗:芦川いづみ(長女)

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高村由紀:浅丘ルリ子(次女)

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高村しずか:吉永小百合(三女)

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高村チエコ:和泉雅子(四女)

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矢坂次郎:浜田光夫

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野沢圭一:和田浩治

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河野健吉:山内賢

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山本和雄:杉山俊夫

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高村勇造:伊藤雄之助

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野沢路子:高野由美、野沢章二郎:清水将夫

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野沢まゆみ:田代みどり

<ストーリー>
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羽田空港に3人娘が降り立った。
高村由紀(浅丘ルリ子)、高村しずか(吉永小百合)、高村チエコ(和泉雅子)の3人姉妹だ。
3人は、父が歳の離れた若い後妻を貰ったことに反発して家を飛び出して来たのだ。
東京には、結婚して所帯を持っている長女・瀬川早苗(芦川いづみ)が住んでいる。
3人は、何の連絡もなしに早苗夫妻の住む団地に押し掛けて、居候を始めるのだった。

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と言っても、新婚夫婦の家に何時迄も居座る訳にはいかない。
3人は早速勤め口と下宿を探し始めた。
間もなく、由紀としずかはデパートに就職が決まった。
初仕事を終えた帰り道、由紀としずかは幼馴染の青年・矢坂次郎(浜田光夫)とバッタリ再会した。
次郎は現在報道カメラマンをしていて、連日事件を追い掛けているという。
由紀としずかは、すっかり逞しくなった次郎に感心させられた。

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一方、チエコが勤めることになったのはアルサロだ。
アルサロとはアルバイトサロンの略で、早い話が水商売だ。
チエコは連日泥酔状態で、深夜になって下宿に帰って来るのだった。
由紀としずかは当然咎めたが、チエコは聞く耳を持ちそうにない。

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東京暮らしが落ち着いた頃、3人は雪山へスキーに出掛けた。
大阪育ちの3人は、雪遊びが楽しくて堪らない。
遊び疲れてロッジに戻ったところで、意外な人物に再会した。
羽田空港から早苗の家に向う途中、
足が見つからなくて困っていた3人を車で送ってくれた青年がいた。
この人物こそ、その時の青年・野沢圭一(和田浩治)であった。
野沢は資産家の息子で、別荘に休暇に来ているのだという。
ここで再会したのも何かの縁と、野沢は3人を別荘に招き入れた。
別荘には高価な調度品やレコードが並んでいた。
3人の住む世界とは別の国のようだった。
野沢は、3人の中でも特に由紀のことを気に掛けている様子だ。

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3人が雪山から戻り、又いつもの日常が戻った頃。
突如として早苗の団地に父・高村勇造(伊藤雄之助)が訪ねて来た。
聞くと、後妻とケンカして家を飛び出してきたという。
父は家族の反対を押し切って後妻を娶った。
なのに、ちょっとケンカになったからと言って娘たちに泣付きに来るとは。
呆れた早苗と由紀は父を責立てた。
そんな中、しずかは一人父を庇った。
チエコは我関せずという様子で、親子喧嘩の成り行きを見守った。
娘たちに会って話したことで胸の支えが降りたのだろうか、
父は間もなく大阪へ帰って行った。
一応事態は収束したが、姉たちの薄情な振舞いにしずかはすっかり憤慨した。
しずかは、姉妹と同居する下宿を飛び出して何処かへ姿を眩ましてしまった。

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翌日、由紀は次郎のアパートを訪ねて行って驚いた。
何と、しずかは次郎の下宿に泊まり込んでいたのだ。
上京して再会して以来、由紀と次郎は恋仲になっていた。
そのことは、当然しずかも知っている。
なのに、姉の恋人の下宿へ泊り込むなんて非常識も甚だしい。
由紀は、怒ってしずかと次郎を張り飛ばした。
次郎は、由紀が頭を冷やすのを待って詫びを入れた。
別にしずかと恋愛関係になった訳ではない。
宿なしのしずかを泊めてやっただけだ。
次郎に頭を下げられて、由紀は漸く機嫌を治した。
一方、仲直りした二人を見てしずかは急に機嫌が悪くなった。
実は、しずかは次郎のことがずっと好きだったのだ。

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そんなしずかに思いを寄せる男がいた。
次郎の同僚・山本和雄(杉山俊夫)だ。
少し挨拶と雑談を交わした程度の間柄だが、山本はしずかに一目惚れしていた。
デパートで売り子をしているしずかに話し掛けているうちに、
大量の下着を買い込んで処分に困ったこともあった。
しずかも山本の気持ちは嬉しかったが、
どうしても姉の恋人である次郎のことが頭から離れないでいた。
次郎は毎日取材に駆け回っている。
しずかは、少しでも次郎と一緒にいたかった。
街でカメラを担いで走り回っている次郎を見掛けると、
手伝うと言って強引に付いて行ったりするのだった。

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その頃、やはり何かと理由を付けてデパートに通い詰めている男がいた。
スキー場で会った資産家の息子・野沢だ。
野沢は由紀のことが好きだった。
由紀が売り子をしていると盛んに話し掛け、
仕事帰りには車で下宿へ送ってやった。
休日が来ると、野沢は由紀を別荘に招待して仲間とのパーティーに参加させた。
誰の目にも野沢が由紀にアプローチしているのは明らかだった。
ところが、当の由紀は何処か呑気で、野沢をただの遊び友達にしか思っていないのだった。
流石に見兼ねたしずかが由紀に忠告した。
「姉ちゃん、ええ加減にしとかんとあかんわ。もっと次郎さんのことを大事にしてあげて」

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数日後、由紀の元に野沢から連絡が入った。
今度は実家に来て欲しいという。
由紀は、これが最後と野沢の実家へ連れられて行った。
野沢は両親と妹を由紀に紹介すると、家族の前で由紀にプロポーズした。
由紀は戸惑った。
まさか年下で未だ学生の野沢が、ここ迄本気だとは思っていなかった。
家族はすっかりお祝いムードだ。
とてもじゃないが、別に好きな人がいると言い出せる雰囲気ではなかった。
由紀は、返事を濁したまま野沢の実家を後にした。

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翌日、仕事帰りの由紀が駅に降り立つと、雨が降っていた。
由紀は、次郎の勤める新聞社に電話を掛けた。
「雨が降っているから、下宿まで送って」
丁度次郎も仕事が終ったところだったので、いいよと引き受けてくれた。
由紀は、待ち切れずに新聞社に押し掛けて行った。
ところが、次郎はカメラを担いで慌ただしく飛び出してきた。
急な事件が起きたので、これから取材に行くという。
由紀は、行かないでくれと次郎にせがんだ。
「そんなのイヤよ、次郎ちゃんと離れたくない。
そんなに仕事が大事なの?あたしより大事なの?」
由紀は懸命に訴えたが、次郎の仕事上行かない訳にはいかない。
次郎は、止める由紀を振り切って取材に出て行くのだった。

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仕方なく、由紀は一人歩いて下宿へ向った。
そんな由紀に、野沢が声を掛けた。
野沢は、車で送ってやろうと由紀を待っていたのだ。
由紀は、下宿ではなく野沢のアトリエに連れて行かれた。
「結婚したらここを自宅にしよう」
野沢は、アトリエに飾られた美術品を由紀に見せて微笑んだ。
すっかり結婚が決まった気でいるのだ。
由紀は、困り果ててしまった。
仕方なく、由紀は別に恋人がいることを野沢に打ち明けた。
だが、思い詰めた野沢がそれで引き下がる筈はなかった。
「嫌だ、僕は由紀さんが好きなんだ。誰にもやるもんか」
野沢は由紀に抱き着いた。
こうなると、由紀はもう断り切ることが出来なくなってしまうのだった。

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数日後、次郎が取材先から帰って来た。
由紀は次郎に頭を下げて謝った。
ごめんなさい、あたしは野沢さんと結婚します。

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それから、あっという間に日にちが過ぎた。
由紀は野沢と結婚し、羽田から新婚旅行に旅立って行った。
しずかとチエコは、複雑な気持ちで姉を見送った。
恋敗れた次郎は、またしても取材が入り、今度は瀬戸内海へ長期出張に出るという。
しずかは、今なお次郎のことが好きだった。
どうしても次郎に自分の思いを伝えたい。
しずかもまた、次郎を追って羽田から旅立って行った。

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しずかを見送った早苗とチエコは、帰り道に自分たちの生き方を語らった。
早苗は、親の決めた相手と結婚して平凡な主婦になっている。
別に夫に不満がある訳ではないが、大恋愛の由紀やしずかがちょっぴり羨ましかった。
チエコの方は、何に縛られることもなく自由気ままに毎日を生きている。
そんな話をしていると、早苗は急に夫のことが心配になって来た。
早苗は、チエコと別れて自宅へ帰って行った。
チエコは、早苗と別れて一人街をブラつくのだった。

芦川いづみ、浅丘ルリ子、吉永小百合、和泉雅子:「若草物語」 [KBS京都] 2013年10月30日 20時00時00秒(水曜日)

<浅丘ルリ子:関連作品>


テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

臨床心理士4
坂口良子主演の2時間サスペンス。
臨床心理士の主人公が、殺人事件の容疑者となった女性のカウンセリングを担当する。
記憶喪失に陥ったこの女性は、犯人なのか、それとも別に真犯人がいるのかというお話。
ゲストヒロイン・丘みつ子の重厚な演技力が見所。

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日本テレビ:火曜サスペンス劇場
臨床心理士4
テレビドラマデータベース

<番組データ>
脚本:いずみ玲
初回放送:2001年10月16日
番組名:日本テレビ「火曜サスペンス劇場」

<出演>
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松波百合:坂口良子

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滝田元:梨本謙次郎

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山崎弓枝:丘みつ子

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林田真紀子:洞口依子

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山崎良彦:佐戸井けん太

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山崎光男:沢木哲

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柳本徹:小野武彦

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小宮山敏子:新藤恵美

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小宮山聡:水橋研二

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織物工場社長:鶴田忍

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中村八重子:野際陽子

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松波大介:三田怜

<ストーリー>
臨床心理士・松波百合(坂口良子)の元に、
知合いの刑事・滝田元(梨本謙次郎)が訪ねて来た。
滝田刑事は、現在殺人事件の捜査を進めている。
その事件の重要参考人の一人が記憶喪失に陥っているので、
百合にそのカウンセリングをして欲しいという。
百合は、滝田刑事に事件の概要を訊いてみた。

数日前、アパートの一室で山崎良彦(佐戸井けん太)という男の変死体が発見された。
発見時、死体の傍らには女が茫然自失の状態でへたり込んでいた。
この女は、山崎の妻・山崎弓枝(丘みつ子)であった。
殺された山崎は、ギャンブラーで多額の借金を抱えていた。
弓枝は耐え兼ねて別居していたが、山崎は何かと口実を付けて金の無心を繰り返していたという。
そんな弓枝が、とうとう夫を手に掛けてしまったのだろうか。
事情を聞こうにも、弓枝は事件のことは覚えていないの一点張りだった。
事件以後、山崎夫妻の息子・山崎光男(沢木哲)が行方不明になっていた。
殺された山崎は、生前息子の光男と険悪な仲だったという。
警察は、現在弓枝と光男を重要参考人として捜査線上に乗せていた。

百合は、まず警察署に出頭中の弓枝に会って話を聞いてみることにした。
この面接は、慎重にすすめる必要がある。
弓枝がもし犯人なら、自白を誘導する危険があるからだ。
百合は、優しく話掛けてみた。
弓枝は、本当に事件のことは何も覚えていないと答えた。
その時、突然ドアが開いて知らない女が乗り込んできた。
何事かと百合が尋ねてみると、女は名刺を差し出した。
女は弁護士・林田真紀子(洞口依子)であった。
弓枝の弁護を担当するという。
「面接は、私を通してからにして下さい」
真紀子は、警察側からの依頼で面接に来た百合を警戒している様子だ。
百合は一旦面接を打ち切らざるを得なかった。

その夜、行方不明中だった光男が警察に逮捕された。
捜査官の取調に対して、光男は黙秘権を使って対抗した。
光男からも、事件の真相は聞き出せそうになかった。

翌日、弓枝が警察にやって来た。
「思い出しました。あたしはこの目で犯人を見ました」
弓枝によると、犯人が何者かは分からないが顔だけははっきり覚えているという。
滝田刑事は、早速弓枝の証言を元にモンタージュを作成して捜査官に配布した。
拘留中だった光男も一応容疑が晴れたので開放されることになった。
滝田刑事は、最初から光男も弓枝も犯人ではないと睨んでいた。
現場付近の路上で、二人とは異なる血液型の血痕が採取されていたのだ。

捜査官たちは、モンタージュを頼りに現場付近の聞込みを始めた。
手掛りになりそうな情報は中々得られなかった。
そんな中、事件の夜現場付近から立ち去る不審な男を見たという目撃証言が浮上した。
しかし、その男はモンタージュとは似ても似つかぬ若い男だったという。
滝田刑事は、ここに来て弓枝の証言は嘘ではないかと疑い出した。
いや、それどころか記憶を取り戻したという話自体が作り話なのではないか。
滝田刑事は、再度百合の元を訪れて相談してみた。
百合も、弓枝が記憶を取り戻したことには疑問が残るという。

百合は、弓枝の治療が不十分だったことをずっと気に掛けていた。。
その後、何度か連絡を取ってみたが、弓枝はアパートを引き払って転居してしまっていた。
弓枝は一体何処へ行ってしまったのか。
百合は、弓枝の生い立ちについて調べてみた。
20年前、群馬県桐生の旅館で住込みの仲居をしていたという記録が見つかった。
百合は、この旅館に足を運んで女将・小宮山敏子(新藤恵美)に話を聞いてみた。
と言っても20年前のことだ。
これと言った手掛りは得られそうになかった。
百合は諦めて帰り掛けて、裏口から見覚えのある青年が出入りするのを目に止めた。
従業員に訊いてみると、女将・敏子の息子・小宮山聡(水橋研二)だという。
一体何処で見掛けたのか、百合は思い返してみた。
そうだ。
弓枝と一緒に歩いていた時に、傍らから弓枝をじっと見つめている青年がいた。
あの青年だ。
やっぱり何かある。

百合は、近所の織物工場で聞込みをしてみた。
織物工場社長(鶴田忍)は、20年前に弓枝が仲居をしていた時分のことを覚えていた。
弓枝は当時の旅館主人と不倫関係にあり、周囲に噂が流れていた。
暫くして弓枝は旅館を辞め、故郷足尾へ帰っていったという。

百合は、足尾へ向った。
足尾は元銅山で有名な寂れた町だ。
少し訪ね歩いてすぐに弓枝の生家が見つかった。
弓枝はやはりそこにいた。
百合が問掛けると、弓枝は重い口を開いた。

20年前、弓枝は勤めていた旅館の主人と愛人関係になった。
主人との間に子供を身籠った弓枝は、一人で育てる決心を固めて故郷足尾へ帰った。
赤ん坊が産まれ、子育てに追われていたある日、子供が何者かに連れ去られた。
犯人は旅館の主人だった。
跡取りのいない主人一家が、子供を強引に引き取ってしまったのだ。
最愛の我が子を、そう簡単に引き渡せる訳がない。
しかし、女手一つの弓枝が子供を育て上げるには限界があるのも確かだった。
足尾は寂れた町で、弓枝に満足な勤め先がある訳でもない。
弓枝は、子供を諦めざるを得なかった。
その後、弓枝は上京して水商売を始めた。
そこの常連客が、殺された夫・山崎だった。
弓枝は間もなく山崎と恋仲になり、やがて結婚した。
山崎には連れ子がいた。
それが、光男だった。
つまり、弓枝には二人の息子がいることになる。
一人は育ての息子である光男で、
もう一人が産みの息子である聡だ。

百合と弓枝がそんな話をしていると、弁護士・真紀子に伴われて聡がやって来た。
自首する決心を固めたので、産みの母に別れを言いたいという。
山崎を殺害したのは聡だった。
事件の晩、聡は産みの母・弓枝に一目会いたいとアパートを訪ねた。
そこで、山崎が弓枝に殴りかかっているのを目撃してしまった。
聡は母を庇おうと山崎に飛び掛り、揉み合いになった末に包丁で刺し殺してしまったのだった。
このショックで、弓枝は記憶を失った。
これら全ての事情を飲み込んだ育ての息子・光男は、
自分の血痕を現場に残して産みの息子・聡を庇っていたのだった。

聡は、百合と弓枝、弁護士・真紀子に付き添われて警察に自首した。
これから厳しい取り調べが待っていることだろう。
産みの母・弓枝は、複雑な心境で聡を見送った。
聡は、産みの母とは言え見ず知らずの弓枝を庇って殺人を犯した。
そんな聡を、血の繋がらない息子である光男が庇ってくれた。
二人の息子が、共に母を守ろうとしてくれていたのだ。

強い母子の絆を感じながら、百合は自宅に帰った。
自宅には、息子・松波大介(三田怜)と祖母・中村八重子(野際陽子)が待っている。
百合の息子は、生意気盛りだ。
元気一杯だが、百合はついつい小言を言いたくなるのだった。

坂口良子、丘みつ子:臨床心理士④ [テレビ大阪] 2013年10月15日 13時00時00秒(火曜日)

<坂口良子:関連作品>


テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ



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