色々鑑賞録
古い映画やドラマのあらすじを紹介してます
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海を飛ぶ夢2
<その1>

<その2>
フリアは病院に担ぎ込まれ、意識を取り戻した。
フリアの持病は「脳血管性痴呆」という。
宣告は2年前だ。
日に日に体が衰え、知能を失ってゆく難病である。
完治する見込みは無い。
フリアは、病床に「尊厳死の会」代表・ジェネを呼んで伝えた。
自分も「尊厳死の会」に入りたいと。
ジェネはよく考えるよう諭して、ラモンからの手紙を手渡した。
フリアには夫が居る。
しかし、死を望む気持ちを判ってくれと言っても理解はしてくれないだろう。
一体、誰ならこの気持ちを判ってくれるだろう。
フリアは、複雑な心境でラモンの手紙に目を通した。

『親愛なるフリア、
"僕の裁判に興味を持つ弁護士"と聞き、僕はすぐに判った。
"この弁護士も病に苦しんでいる"と。
同じ状況にある者だけが、僕の"地獄"を理解してくれる』

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フリアとラモンは、文通で互いの近況を報告した。

ラモンの部屋には、様々な人がやって来る。
寝たきり前から付き合いのある友人も多い。
最近は、工場勤めのロサがよくやって来る。
苦しい胸の内を誰かに聞いて欲しいのだろう。
ラモンの世話をしたいとお節介を焼くので、時に兄嫁マヌエラと小競り合いになる。

一方のフリアは、夫に支えられてリハビリの毎日だ。
足が弱って中々歩けない。
弁護士活動は、もう無理だろう。
だが、ラモンとの交流はこれからも続けるつもりだ。
いつか、ラモンの本を出版したい。
フリアは、ラモンにそんな返事を出した。

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フリア不在の中、「尊厳死の会」の尽力で裁判の手続きが始まった。
ラモンの訴えは、多くの議論を生んだ。
中には、痛烈な批判者もいた。
その急先鋒が、同じ四肢麻痺のフランシスコ神父(ホセ・マリア・ポウ)だ。
フランシスコ神父は、テレビを通じてこう批判した。

「ラモンは死を願っている。
だが、これはラモンの叫びではないのか。
自分に注目してくれと、世の中に訴えているのだ。
彼の家族や周りの人間に、愛情が足りないのだろう。
ラモンが求めているのは、愛情だ。
是非彼に会い、人生は生きるに値するということを判らせたい」

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その夜、ロサが泣きながらラモンの家にやって来た。
勤めていた工場が閉鎖されて、この先どうやって食べていけばいいか分からないという。
ラモンは、途方に暮れるロサを慰めた。
「今の君は、勇敢で強い女だ。
おまけに、寛大で美人。
惚れない男は馬鹿だ」
励まされたロサは、ラモンのためなら何でもしたいと手を握った。
何でも。
そう来ると、ラモンの頼み事は一つだ。
「怖がるな。
計画したのは2年前。誰も罪に問われない。
協力してくれる友人はいるが、もう1人勇敢な人間が必要だ」
何の話か気付いたロサは、慌てて協力を拒否した。
「いいえ、違うわ。看病したいの。
死ぬ手伝いじゃない」

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後日、ラモンの家にフランシスコ神父がやって来た。
テレビで言っていた通り、ラモンを説得するためだ。
フランシスコ神父が教義に照らした命の大切さを説くと、
ラモンは徹底的に反論した。
寝たきりで26年、尊厳死について考えに考えた。
理屈では負けない。
さすがのフランシスコ神父も、ラモンの抗弁には打つ手無しだ。
処置無しと見たフランシスコ神父は、
せめて家族だけでもと説得を始めた。
「彼を生きる気にさせ、教えてやるのだ。
人生は手足を動かし、走り回ったりボールを蹴るだけではない。
人生はもっと深い。
遥かに意味がある。私を信じ給え」
すると、今度は兄嫁マヌエラが反論した。

「あなたがテレビで言ったことは、一生忘れません。
"ラモンの家族に愛情が足りない"だなんて。
義弟は愛情に包まれて暮らしています。
私は長いこと世話をして、息子のように愛してます。
誰が正しいのか判りません。
命は私達のものではなく、神に帰属するのかどうか。
でも、1つだけ判ります。
あなたは、やかましいわ」

結局、フランシスコ神父は誰も説得出来ずに帰っていくのだった。

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数カ月後、弁護士・フリアが退院した。
足に後遺症が残って車椅子状態だが、体調そのものは回復した。
フリアは再びラモンの家に泊り込み、詩の清書を手伝った。
2人は、互いに共感していた。
同じ尊厳死を望む者同士、絆以上の何かがあった。
詩の清書を遂えた夜、フリアはラモンにそっと口付けをした。

「一緒に旅立ちましょう」
「いつ?」
「本の準備は済んだわ。
私はバルセロナへ行き、出版社を見つける。
本を出すのよ。
見本を持って戻ってくるから、その日にしましょう」

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裁判の日が来た。
ラモンは、法廷に出廷した。
寝たきりになって以来家から出ていないラモンにとって、
これは28年振りの外出だった。
傍聴席には、ロサが駆け付けていた。
裁判は粛々と進められ、忽ちに結審した。
最後まで、ラモンに発言の機会は認められなかった。

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閉廷後、ラモンはロサと話し合った。
ロサは度々ラモンの家へやって来て、身の回りの世話を買って出る。
どうしてかと尋ねると、ラモンを愛しているからと言う。
ラモンは、そんなロサに困惑していた。

「どこが愛なんだ?僕の意に反しているのに。
いいか。
僕を本当に愛するのは、死なせてくれる人だ。
それが愛だよ、ロサ。それが愛だ」

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裁判の結果は、ラモンの予想通りだった。
ラモンの心情は察するが、
自殺を幇助した人間は罪に問われるという。
尊厳死は認められなかった。

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暫くして、ラモンの家に著書が届いた。
フリアが持って来る筈が、何故か郵便だ。
著書には、フリアからの手紙が添えられていた。
一緒に死のう。
そう約束をした筈が、フリアはギリギリになって翻意したのだ。

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その日の深夜、兄嫁マヌエラはラモンの嗚咽を聞いて飛び起きた。
ラモンが何かを訴えている。
マヌエラが部屋に駆け付けると、ラモンは泣きながら叫んだ。

「何故、何故だ。
何故皆のように自分の人生に満足出来ない?
何故僕は死にたい?
何故なんだ?
何故……何故僕は死を望む?」

マヌエラは、ラモンを宥めて安定剤を飲ませた。
混濁する意識の中で、ラモンは何度も見た例の夢を見た。
海を飛ぶ夢を。

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<その3に続く>




















テーマ:洋画 - ジャンル:映画

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