色々鑑賞録
古い映画やドラマのあらすじを紹介してます
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雁の寺2
<その1>

<その2>
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ある日、寺に宇田竺道(木村功)という男がやって来た。
竺道は、慈念が通う中学の担任教師だ。
以前は慈海和尚と同じく僧侶であったが、
派閥争いに巻き込まれて僧門を追われたという異色の経歴を持つ。
その竺道が何故寺を訪問したのか。
理由は、慈念の出席日数が足りないことを慈海和尚に報告する為であった。
慈念が中学を度々サボっているなど、慈海和尚にとって寝耳に水だ。
慈海和尚は、慈念を呼んで問詰めた。
サボりの理由が教練だと知ると、慈海和尚は厳しく叱り飛ばした。

「アホ、兵隊ごっこくらい何や。高い月謝払ろて行ってるのやで!」

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竺道が帰った後、里子は大目玉を食らった慈念を気遣って声を掛けた。
慈念は、中々心を開いてくれない。
何を尋ねても、最小限の返事しかしない。
しかし、里子の方は同じ貧しい出自の慈念に強く感情移入していた。
どうして心を閉ざすのか?
里子はその原因が幼少期にあるのではないかと考え、慈念に身の上を尋ねてみた。
「あんた、若狭に居た時に何ぞあったん違うか?」
すると、慈念は火が付いたように怒りだした。

「奥さん、私は坊さんになった人間どす。
村も家も皆捨てて、坊主になった人間どす。
もう、そんなもんの事何も訊かんといて下さい!」

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後日、寺に木田黙堂(西村晃)という僧侶から手紙が届いた。
本山に登る前に、この寺に立ち寄るという便りだった。
この黙堂和尚こそ、慈念を寺に斡旋した人物だ。
里子は思った。
この黙堂和尚に尋ねれば、慈念の生立ちが分かるのではないか。

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数日後、約束通り黙堂和尚が寺にやって来た。
門を潜ろうとしたところで、黙堂和尚は慈念に呼び止められた。
慈念は、黙堂和尚に縋り付いて訴えた。

「和尚さん、お願いどす、ワシの頼み聞いておくれやす。
頼んます。お父つぁんのこともお母はんのことも言わんといておくれやす。
ワシは……ワシは知られとうないんや。
ここの和尚さんにも奥さんにも、誰にも知られとうないんや。
若狭に居た時のこと、何も言わんといて欲しい。
な、和尚さん。頼んます、頼んます。ワシの一生のお願いや。な、和尚さん」

慈念の深刻な形相を見て、黙堂和尚は戸惑いながら約束した。
「んん……そうか、よっしゃよっしゃ」

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その夜、黙堂和尚は座敷に通されて慈海和尚と里子の饗しを受けた。
里子は、頃合いを見て慈海和尚に尋ねた。
慈念の幼少期に何があったのか?
酒の回った黙堂和尚は、口止めされていたにも関わらずつい口を滑らせた。

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慈念は捨子だった。
お菊という瞽女に産み落とされ、阿弥陀堂に捨てられていた。
その後、貧しい寺大工に引き取られたが、
口減らしのためにこうして寺に奉公に出されることになった。
そんな悲しい身の上だ。
元の名前がステキチであることを、慈念は酷く恥じているという。
これを聞き出した里子は、増々慈念に共感を覚えていた。

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一方、このやり取りを立ち聞きした慈念は怒りに震えていた。
あれ程念を押したにも関わらず、黙堂和尚は約束を破った。
やりようのない怒りに駆られた慈念は、庭池の鯉目掛けて包丁を投付けた。

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そんな慈念の脳裏に、家を出された日の出来事が蘇った。
口減らしの為、寺大工の家から寺の奉公に出されたあの日。
出発直前、養母(菅井きん)は慈念に言い聞かせた。
誰に問われても、絶対に出自を明らかにするな。
お前はもう"乞食谷"の住民ではない。
修行を積んで立派な坊さんになりなさい。
そう言って、養母は慈念を寺に送り出した。
慈念は、今日までその教えを忠実に守って来たのだった。

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その日の深夜、慈海和尚が寝静まったのを確認して、
里子は慈念の部屋へ忍び込んだ。
そして、慈念を思い切り抱締めた。

「慈念はん。あんた、可哀想や。
ウチのもん、何でもあげる。みんなあげる」

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南嶽の四十九日が来た。
寺には、南嶽の妻子が法要にやって来た。
慈海和尚は、ここ数日風邪気味だ。
予めそれを聞いていた南嶽の妻子は、慈海和尚へスッポンを差し入れた。
この日は、慈海和尚に代わってその弟子・慈念が読経を執り行った。
慈念は、元々頭のいい子と見込まれて寺に入った。
慈海和尚に厳しく指導されたこともあって、
今ではすっかり僧侶の作法を身に付けている。
南嶽の妻子が帰った後、慈海和尚は慈念に回向を命じた。
檀家の久間家から、読経を頼まれていたのだ。

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慈念は命じられた通り久間家へ赴き、仏間に通されて読経した。
久間家では現在主人が病に臥せている。
読経を遂えた慈念が帰ろうとすると、
主人の弟・久間平吉(伊達三郎)が呼び止めた。
用件は、慈海和尚への伝言であった。
久間家の主人は間もなく亡くなる。
その時は、慈海和尚に葬儀を手配して欲しいという言付けだ。
慈念はそれを承りながら、妙な答えを返した。

「和尚さんは、何や修行に出たい言うてはりましたけど。
何でや知りませんけど、そない言うてはりました」

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慈念は、回向を遂えて寺へ帰った。
出迎えの里子が「ご苦労さん」と労うと、慈念は何故か庭木のトンビに目をやった。

「奥さん、トンビがあそこで何してるか知ってはりますか?
トンビはね、あそこで貯めてますねん。
あの木の天辺に、大きな穴が有りますねん。
暗い壺が有りますねん。
その真っ暗な壺の中に、蛇やら魚やらネズミやらがウジョウジョしてますねん。
それ皆、トンビが地面で足手にした奴を咥えて運んだ物で。
蛇は赤いのも居たし、白いのも。
それらが、黒い泥々した中でグジョグジョ、グジョグジョ……」

気味が悪くなった里子は、「止めて止めて」と言いながらその場から逃げ出した。
慈念は、一体何が言いたいのだろう?

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その夜、体調の回復した慈海和尚は知り合いに招かれて晩酌を交わした。
雨の夜道を千鳥足で寺に帰って来た慈海和尚は、
門を潜ったところで何者かに襲われて意識を失った。

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<その3に続く>

<川島雄三:関連作品>

テーマ:邦画 - ジャンル:映画

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