色々鑑賞録
古い映画やドラマのあらすじを紹介してます
09 | 2017/10 | 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

雁の寺3(最終)
<その1>
<その2>

※ネタバレ注意
<その3>
vlcsnap-2014-08-09-10h59m11s154.jpg

慈念が久間家の回向に出た翌日、
寺に平吉がやって来た。
「実は、今朝早う兄貴ポッコリ逝きよりましてん」
兄が亡くなったので、葬式を手配して欲しいということだった。
応対した慈念は、
「慈海和尚は今留守なので帰り次第伝えておく」と答えて平吉を帰した。

慈海和尚は、昨日知り合いの寺へ遊びに行ったきり未だ帰っていない。
無断外泊など前代未聞だ。
心配になった里子は、慈念に連れ戻すよう頼んだ。
何せ、里子の運命は慈海和尚に掛っているので、
居なくなると困るのだ。

vlcsnap-2014-08-07-20h48m07s174.jpg

慈念は、里子に急かされるまま知り合いの寺を訪ねた。
この寺の住職・藤本雪州(山茶花究)は、慈海和尚とは懇意の仲だ。
慈念の話を聞いた雪州和尚は、呆れ顔で答えた。
「君んちの和尚さんは、昨夜8時頃帰ったよ。
久し振りにハシゴして、何処ぞでヘタってるのと違うか」
慈念は、困り果てて雪州和尚に相談した。
「檀家のお方が死なはりまして、明日葬式出してくれっちゅうて来はりましたんで。
お通夜も寺でせんなりまへんし」
事情を飲み込んだ雪州和尚は、慈念に答えた。
読経は僕がしてあげるから、君は帰って葬式の準備をしなさいと。

vlcsnap-2014-08-07-20h52m22s168.jpg

その夜、寺で久間家の通夜が執り行われた。
慈海和尚は、結局帰らなかった。
その為、雪州和尚が読経を代役して進められた。

vlcsnap-2014-08-07-20h53m49s12.jpg

久間家親族が寝静まった深夜、
里子は妙な物音を聞いて布団から身を起こした。
何か、ギシギシ木が軋む音が聞こえる。
本堂では、夜中も慈念の読経が続いている。
それとは別の音だ。
気になった里子は、本堂へ確かめに行ってみた。
「慈念はん、今何や音がしてたけど。
和尚さんが帰って来はったんと違うか?」
里子が問掛けても、答えはなかった。
慈念は、真っ暗闇の中で一心不乱に読経を上げ続けていた。

vlcsnap-2014-08-06-20h18m59s111.jpg

翌日、雪州和尚による最後の読経が終った。
慈念は、平吉に指示を出した。
「間もなくご出棺で御座いますが、
お棺は昨日お担ぎやしたお方とは別のお方に担いで貰います」
何か作法でもあるのだろうか。
平吉は、慈念に一つ頼み事をした。
遅れてやって来た叔父に、故人の顔を見せてやって欲しいと。
慈念は段取りに追われているのか、その願いを退けた。
「お気の毒ですが、もう時間が御座いません」

vlcsnap-2014-08-06-20h30m21s23.jpg

お棺を担ぎ上げるよう言われた久間家親族は、
余りの重さに驚きの声を上げた。
「重たい仏さんやないか」
「わい、こんな重たい仏はん初めてやわ」
「何でこないに重たいんねんやろな」
「平三郎はん、図体小っちゃい筈やのにな」
やっとのことで担ぎ上げると、
久間家親族は葬列を作って墓地へ向った。

vlcsnap-2014-08-06-20h53m39s163.jpg

お棺を収める墓地は、寺から歩いて数分の場所にある。
雪州和尚の読経が響き渡る中、お棺は墓穴に収められた。
久間家親族は作法に則ってお棺に土を掛け、故人の冥福を祈るのだった。

vlcsnap-2014-08-06-21h01m55s14.jpg

数日後、寺に僧侶たちが集められた。
慈海和尚の失踪が問題になり、一同で対応策を協議するためだ。
弟子の慈念が言うには、前々から旅に出たいと漏らしていたらしい。
とは言え、何の連絡も無しに姿を消すのは不可解だ。
僧侶たちが警察に届けようかと心配すると、
一同を取り仕切る武田海翁(南部彰三)が厳しく突き放した。
「放っとけ、放っとけ」
元々、慈海和尚は本山出頭をサボりがちで覚えが目出度くなかったのだ。

vlcsnap-2014-08-07-21h03m04s186.jpg

更に数日が経過した。
寺の新任住職は、竺道に決まった。
慈念の中学で教師をしていたあの竺道だ。
元は僧侶のため、留守坊主が務まると本山に判断されたのだ。
着任の日、
竺道が座敷に上がって茶を啜っていると、慈念は思いの丈をぶち撒けた。

vlcsnap-2014-08-06-22h01m20s81.jpg

「先生、悟りを開くということはどういうことですか?」
「悟り?何と言うたらいいか、まあ自分を知るということかな」
「自分を?出来ません、そんなこと。
自分っちゅうもんは、一生掛かっても分からんもんやと思います。
先生は自分を産んでくれた人を知ってはりますか?」
「そら、お母さんや。お母さんは大切や」
「そしたら、お父つぁんは?」
「父親も大切だ」
「ほんなら、何で出家するんです?
大事なお父つぁんやお母はんも捨ててまでも」
「迷いの絆を捨て去る為だ」
「そしたら、お母はんを想うことは迷いどすか?
そら矛盾してるわな。
私は、お母はんもお父つぁんも知りまへん。
捨てるのは、お父つぁんもお母はんもあらしまへん。
けども、私はお母はんに会いたい。
お父つぁんが誰やも知りたい。
先生、これも皆迷いどすか?
これが迷いやったら、やっぱり私は坊さんになれやしまへん。
先生は幸せなんです。
先生らが座禅して目を瞑ると、お母はんに育てられたええ日のことばっかりが思い出されますやろ?
けども、私らが目を瞑ったかて雁の鳴く声位しか聞こえやしまへん。
こんな気持ち、先生には分かりまへんやろ?
幸せなんです。私は、そないににしか思えません」

vlcsnap-2014-08-06-22h02m36s79.jpg

慈念は、仏壇に目をやって竺道に尋ねた。
「先生、人を殺すいうことはやっぱり悪いことですか?」
「殺す?修行さえ積めば人を殺す必要はない。
殺そうとする心は即ち迷いだ。
悟りを開けば、殺すことも生きることもどちらも虚しい」

竺道は、噛んで含めるように慈念の質問に答えた。
はぐらかした答えは一つもない。
しかし、そこに慈念の求める答えはあったのだろうか?

vlcsnap-2014-08-06-22h03m54s87.jpg

竺道との問答を遂えた慈念は、
身支度を整えて寺を出た。
異変を察知した里子は、慈念に縋り付いて引き止めた。

「どうしたんえ?
何処へ行くつもりなんえ?
何もアンタがここを出ることないやないの。
アンタ、ウチとアンタのことを和尚さんに言うたんと違うか?
それでアンタもここを出て行くのやろ?」
慈海和尚が寺を出て、
今また慈念が寺を出ようとしている。
その原因は、あの夜の出来事が原因ではないか。
疑念に駆られた里子は、割れた櫛を突付けて慈念を問詰めた。
「お仏壇の下に落ちてたけど、どうしたんえ?これ。
アンタが告げ口したさけ、ウチの人はここを出ていかはったのやろ?
な、そやろ?」
慈念は、真っ向からそれを否定した。
「私は何も言うてやしまへん。
あんなこと、人に言えることと違います」
里子は、スッカリ困り果てていた。
慈海和尚だけが頼りだ。
この寺を追い出されたら、一体どうすればいいのか。
里子が慈念に行き先を尋ねると、慈念は思い詰めた形相で答えた。
「和尚さんの行かはった所へ旅します」

vlcsnap-2014-08-03-20h48m57s3.jpg

それを聞いた里子は、慈念を追い掛けた。
「アンタ、和尚さんの行かはった所知ってるのか?」
慈念は、答えようとしなかった。
無言のまま墓地へ行くと、
先日埋葬した久間家の墓前に向って一心不乱に読経を始めた。
異様な慈念を見て、
里子は先ほどの言葉の意味を漸く理解しようとしていた。
「慈念はん、もしかしてアンタ和尚さんを……」
慈念は読経を中断し、里子に割れた櫛を差し出した。
里子が拾った櫛の、もう片方だ。
それを慈念が持っているということは……

vlcsnap-2014-08-07-19h57m45s176.jpg

恐ろしくなった里子は、墓地から寺に逃げ帰った。
息を切らして帰り着いた里子の耳に、何か鳥の声が聞こえた。
「鳴いてるわ。雁が鳴いてる。鳴いてる」
里子は、座敷に上がって声の主を探した。
座敷には雁の描かれた襖絵が無数にある。
その中に確かに居る。
あの声の主が。
一枚一枚確かめて回った里子は、襖絵の中に一つだけ破り取られたものがあることに気付いた。
「居いひん。雁が居いひん。お母ちゃん雁が居いひん」
それは、母子雁を描いた襖絵であった。
その母雁の部分だけが、何者かによって破り取られているのだ。
あの声の主は、母雁だろうか?
それとも、残された子雁だろうか?

vlcsnap-2014-08-07-20h38m37s116.jpg

それから数十年が経過した。
京の街は、すっかり変わった。
かつて慈海和尚が住職を務めた寺も、例外ではない。
観光スポットとなったこの寺には、
連日のように修学旅行生や外国人観光客が押し寄せる。
現在の住職・鷹見邦逸(小沢昭一)の仕事は、
専らそんな客たちの案内役であった。
邦逸は寺を紹介しながら、
フラッシュを焚く外国人たちに注意を促した。
「無断で写真撮ったらあきまへん。
絵葉書買うて下さい。売店でうってますさかい」

vlcsnap-2014-08-07-21h28m04s84.jpg

売り子の老婆は、
そんな邦逸の言葉を知ってか知らずか、
居眠りの最中だった。

vlcsnap-2014-08-07-21h28m52s59.jpg

寺の目玉は、「母子雁」の襖絵だ。
長年破れたまま放置されていたが、
美術評論家の高い評価を得て最近になって修復された。
邦逸は、通訳を介して外国人客にその旨を説明した。

vlcsnap-2014-08-07-19h43m43s175.jpg

元の襖絵を破り取ったのは誰なのか?
その行為にどんな意味があったのか?
今となっては、誰にも知る術はなかった。

若尾文子、高見国一:雁の寺_2006年11月29日(水)_[KBS京都]_アナログ

<原作:水上勉>

テーマ:邦画 - ジャンル:映画

コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
http://rps1979y.blog.fc2.com/tb.php/91-ad0eed33
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

rps1979y

Author:rps1979y
※映画・ドラマの粗筋紹介は、
オチまで記してあるので御注意下さい。
管理人への連絡先はこちら

最新記事

カテゴリ

リンク

このブログをリンクに追加する

Amazon検索

楽天検索

楽天で探す
楽天市場

買物履歴

ブログランキング