色々鑑賞録
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弁護士迫まり子の遺言作成ファイル5 告発
斉藤慶子主演の2時間サスペンス。

弁護士の主人公が元市長から遺言書を託される。
それは、自分が死んだら現市長の息子を警察に告発して欲しいというものだった。
調査を進めた主人公は、その息子が殺人犯であることを確信する。
果たして息子は逮捕されるのか、
それとも事件は闇に葬られるのかというお話。

出色の出来だった4作目に比べると、かなり落ちている感が否めず。
早い話が血の繋がらない父と息子の葛藤の物語なのだが、
この主題が描き切れておらず、見ていて余り心を打つものがない。
ディレクターが代わったせいか、全体に表現が大げさなのも気になる。
肺を病んで余命幾許もないという設定の津川雅彦がやたら熱演するので、
ちっとも病気に見えない等チグハグな描写が多い。
動機もクライマックスも強引。
2時間サスペンスだと割り切って見れば腹も立たないが、
完成度の高かったこのシリーズとしては残念な出来。

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BS-TBS
TBS-CH
テレビドラマデータベース

<作品データ>
脚本:井上由美子
初回放送:2003年6月9日
放送枠:TBS「月曜ミステリー劇場」

<出演>
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迫まり子:斉藤慶子

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迫和美:岸田今日子

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迫みな子:磯野貴理子

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山野太一郎:津川雅彦

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山野孝平:大石継太

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山野暁子:真由子

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柳川和夫:山谷初男

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柳川節子:八木昌子

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生田医師:小宮孝泰

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ナース:小森琴世

<ストーリー>
弁護士・迫まり子(斉藤慶子)は、手紙による呼び出しを受けて長野県花岡市に飛んだ。
遺言書作成を専門とするまり子の今回の依頼者は、
元市長の山野太一郎(津川雅彦)という男だった。
山野は肺を病んで入院中で、余命半年を宣告されている。
そんな山野が、最期にどうしてもやり残したことがあるというのだ。
まり子が病室に面会に行くと、
山野は自分が死んだら警察に届けて欲しいと手紙を差し出した。
「これは、ある種の告発状だ」
事情の飲み込めないまり子に、山野は事の詳細を打ち明けた。

山野には息子が居る。
現在市長を務めている山野孝平(大石継太)という男だ。
2年前、孝平はある人物を殺害した。
誰を殺したのかは言えない。
この秘密は、山野と孝平だけが知っている。
自分が死んだら、親として息子に責任を取らせたい。
だから、告発状を警察に提出して欲しい。
それが山野の遺言だった。

弁護士のまり子は、依頼人に守秘義務を負っている。
当然、これを外部に漏らすことは出来ない。
しかし、そうは言っても事は殺人という重大案件だ。
まり子は、とんだ重荷を背負ったと内心頭を抱えるのだった。

- - -

まり子は、更に詳しい事情を知るために地元調査を開始した。
花岡市は、現在市長のリコール問題で揺れている。
争点は、古い小学校を取り壊してショッピングモールを建設することに賛成か反対かだ。
現市長の孝平は、取り壊し反対派だ。
花岡市民の意見は、真っ二つに割れている。
賛成派と反対派は、互いに選挙カーを走らせて連日支持を訴えていた。
孝平は、当初から反対派だった訳ではない。
就任から僅か3ヶ月で突如反対派に転じた。
父の地盤を継承した当初は、賛成派だった。
そもそも、ショッピングモール建設は父が市長時代に始まった計画なので、
息子の孝平がそれを受け継ぐのは自然な流れだったのだ。
まり子は思った。
山野と孝平の父子の間で、一体何があったのだろう?

- - -

まり子は、山野と孝平の生い立ちを調べてみた。
2人は血の繋がった親子ではない。
孝平は養子で、実の両親は市庁舎の事故で亡くなっている。
山野は、それを不憫に思って孝平を引き取った。
この一件は美談として報じられ、
それまで汚職問題で人気低下の著しかった山野は一躍時の人となった。
果たして、山野は純粋な善意で孝平を引き取ったのか、
それとも計算ずくでやったことなのか。
まり子には分からなかった。
ただ、地元住民に聞き込みして得られる証言はどれも共通していた。
山野と孝平の父子仲は決して悪くなかった。
孝平が反対派に転じるまでは。

- - -

悩むまり子の元に、妹でやはり弁護士の迫みな子(磯野貴理子)が応援に駆け付けた。
まり子はみな子と共に、父子対立の鍵となる小学校へ足を伸ばした。
そこで出会った元校長夫人・柳川節子(八木昌子)に話を聞くと、
意外な事実が判明した。
節子夫人の夫で元校長・柳川和夫(山谷初男)は、2年前から行方不明になっている。
孝平が反対派に転じたのは、これが契機だった。
柳川校長は、当然ながら取り壊し反対派だ。
その恩師が謎の失踪をしたことで、孝平の中で何かが変わったらしいのだ。

まり子は、推理してみた。
ひょっとして、孝平が殺したというのはこの柳川校長なのだろうか?
だとしたら、一体どうして殺害したのだろう?
孝平にとって、柳川校長は恩師の筈だ。

- - -

まり子は、事の真相を確かめるため件の小学校で孝平と会った。
そして、単刀直入にズバリ問い質した。
「私は、あなたが柳川先生を殺害したのではないかと思ってます」
孝平は、何故か動揺する素振りは見せなかった。
それどころか、事件の真相をペラペラ喋り始めた。
異様なテンションで告白を始めた孝平を、まり子は唖然として見守った。

市長選に当選した夜、孝平は柳川校長に呼び出された。
場所は、この小学校校舎だ。
柳川校長は、取り壊しを公約に掲げて当選した孝平を激しく非難した。
市長の権限で取り壊しを撤回して欲しい。
そう訴える柳川校長に、孝平は答えた。
父の意志を受け継いで当選した以上、それは出来ない。
すると、柳川校長は孝平に怒鳴りつけた。
「操り人形!あの権力の亡者の山野が、純粋にお前の将来を考えてお前を引き取ったと思うのか?」
柳川校長は、孝平にぶち撒けた。
養子縁組は善意などではない。
自分が山野に持ち掛け、山野は政治利用のためにこの計画に乗った。
「お前も山野も裏切り者だ。親子揃って裏切り者だ。この恩知らず!」
激昂した柳川校長は、孝平に掴みかかって揉み合いになった。
後はお決まりの結果だ。
振り解こうとした孝平は柳川校長をつい突き飛ばしてしまい、運悪く頭を打って死んでしまったのだ。
孝平は、柳川校長の死体を校庭に埋めた。
これを、孝平の父・山野が目撃していたのだ。
孝平が学校取り壊しに反対する理由は、校舎保存のためでも何でもない。
掘り起こされて死体が見つかることを恐れたからに過ぎないのだ。

そこ迄聞いたまり子は、興奮状態の孝平に尋ねた。
「どうして、私に話したんですか?」
孝平は、震える声で答えた。
「それは、あなたには死んで頂くしかないからです」
殺される。
直感したまり子は、その場から逃げ出した。
孝平は、追い掛けて来た。
まり子は死に物狂いで走ったが、体力のある男から逃げ切れる筈もなかった。
直ぐ様追い着かれて揉み合いになり、あわやという瞬間誰かの怒鳴り声が辺りに響いた。
「何をしている!」
声のした方向を確かめてみると、そこに居たのは山野であった。

山野は病院を抜け出し、遥々学校まで駆け付けた。
息子の過ちを止めるために。
山野は、車椅子の車輪を進めて孝平の元に詰め寄った。
「孝平、儂と一緒に警察へ行こう。自首をするんだ」
孝平は、聞く耳を持とうとしなかった。
「冗談じゃない。自首なんか出来る筈ないじゃないか。
僕は市長ですよ。明日の投票で再選されるんです」
孝平が逃げ出そうとすると、山野は車椅子で回り込んで行く手に立ち塞がった。
「どうしても逃げるなら、儂がお前を殺す」
山野は、車椅子から立ち上がって孝平の首を締めた。
しかし、病身の山野に大の男を絞め殺せる筈もない。
孝平は、山野の腕を解きながら涙声で叫んだ。
「お父さん、そんなんじゃ死ねないじゃないか。
出会った時は、もっと強く抱きしめてくれたじゃないか」
孝平は、山野に引き取られた日のことを忘れたことが無かった。
山野は、幼い孝平を力一杯抱き締めてくれた。
その腕に抱かれながら孝平は思った。
こんな立派な人が自分の親になってくれた。
自分も将来父のように立派な市長になろう。
そう誓った孝平は、ずっと山野を追い求めて来た。
市長の面子を潰してはならない。
それに誰より拘ったのは、山野以上に孝平だった。
だからこそ、殺人をここ迄隠し通して来たのだ。
孝平は、力尽きた山野を車椅子に座らせて漸く冷静さを取り戻した。
そして、ある重大な覚悟を決めようとしていた。

- - -

その日、孝平は妻・山野暁子(真由子)に付き添われて自ら警察に出頭した。
暁子は、「待ってます」と言って夫を送り出した。

- - -

息子の自首を知った山野は、これまで拒否していた延命治療を受け入れると医師に申し出た。
1日でも長く生きて、息子と共に罪を償うためだ。
現職市長が殺人で逮捕された花岡市には、これから大混乱が起きるに違いない。
そんな中で共に生き、最期まで息子を守るのが山野の務めなのだ。

- - -

こうして、まり子の仕事は終った。
遺言書は、本来依頼人が亡くなった後に開封されるものだ。
しかし、事件が解決した以上守り通す意味はない。
まり子は、帰りの電車内で山野の遺言書を開封してみた。

『前略、花岡警察署長殿。
私、山野太一郎は、これより息子・山野孝平の罪を御報告致します。
息子・孝平は、殺人の罪を犯しました。
動機は、父親である私を庇おうとしてのことです。
そして、今日迄息子が罪を告白することに至らなかったのは、偏に私が原因です。
私が、自らの名誉と地位を守らんがために息子の自首を阻みました。
息子をここ迄追い込んだのは私です。
息子・孝平は理想に燃えた青年であり、心優しき青年です。
全ては、この愚かな父親に起因することであります。
どうか、その点御配慮の上、息子・孝平が罪を償うことが出来ますようにお導き下さい。
柳川先生の御冥福をお祈りします』

斉藤慶子、津川雅彦:弁護士迫まり子の遺言作成ファイル5 告発 [テレビ大阪] 2014年05月13日 13時00分00秒(火曜日)

<斉藤慶子:関連作品>

テーマ:ドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

弁護士迫まり子の遺言作成ファイル4 再会
斉藤慶子主演の2時間サスペンス。

遺言作成を専門にする弁護士が、刑務所から出所したばかりの男から依頼を受ける。
それは、刑務所の中でコツコツ貯めた僅かばかりのお金を娘に残したいというものだった。
しかし、婚約を間近に控えていた娘は前科者の父と関わるのを断固拒否する。
弁護士が娘の説得を重ねているうちに、やがて事態は思わぬ方向に走ってゆくというお話。

井上由美子の脚本が素晴らしい。
冒頭から単刀直入の表現でズバズバ切り込むのでまだるっこさがない。
人物造形が骨太で力強く、最後まで気を抜かずに一気に見せてくれる。
演じるキャストも全員熱演で、脚本の良さに応えている。
ギャラクシー賞受賞も当然の出来。
非の打ち所なし。
再放送されたら是非見て欲しい作品。

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TBSチャンネル
BS-TBS
Wikipedia
テレビドラマデータベース

<番組データ>
脚本:井上由美子
初回放送:2002年3月18日
番組名:TBS「月曜ミステリー劇場」

<出演>
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迫まり子:斉藤慶子

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迫みな子:磯野貴理子

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沢田泰雄:大地康雄

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川野みゆき:奥貫薫

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中谷賢一:林泰文

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川野文子:山口果林

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迫和美:岸田今日子

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奥貫薫(中学生)

<ストーリー>
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服役囚・沢田泰雄(大地康雄)に仮釈放の日がやって来た。
この日、沢田は14年振りに刑務所の外へ出た。
2人を殺害しての無期懲役。
それが、沢田の服役理由であった。
刑務所の中で、沢田は殺人を後悔しない日はなかった。
毎夜のように殺した人たちの夢に魘され、ずっと罪の意識に苛まれ続けた。
刑期は真面目に務め上げたつもりだ。
だからこそ、仮釈放の許可も降りた。
しかし、外へ出ても沢田が身を寄せる場所はなかった。
妻と娘が居たが、とっくに離婚が成立している。
沢田は、犯罪者の社会復帰を支援する「更生保護施設」で寝泊まりしながら、
これからも大罪を背負って生きていかねばならないことを自覚していた。

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刑務所を出た沢田には、まず会わねばならない人が居た。
刑事裁判の弁護を担当してくれた迫和美(岸田今日子)という弁護士だ。
2人を殺害して無期懲役で済んだのは、この人の尽力の賜物だ。
沢田は、和美が所長を務める「迫法律事務所」を訪ねて深々と頭を下げた。
この「迫法律事務所」は、所長である和美(岸田今日子)を筆頭に、
長女・迫まり子(斉藤慶子)、次女・迫みな子(磯野貴理子)の母娘3人の弁護士が運営している。
迫法律事務所を訪ねた目的は、御礼とは別にもう1つ理由があった。
それは、娘・川野みゆき(奥貫薫)への遺言書作成依頼であった。
沢田は、刑務所内の労役で得た報酬をコツコツ貯めていた。
100万円とほんの少し。
それが全財産だ。
それだけでも娘に残してやりたい。
その為の遺言書作成依頼であった。
娘・みゆきからは刑務所に手紙が届いていた。
近く結婚するから、出所しても会いに来ないで欲しい。
そういう内容だった。
沢田も、そう言いたくなる娘の気持ちは良く判った。
殺人犯を父に持った娘が、どれだけ世間に白い目で見られ続けたか察して余りある。
だから、生きているうちでなくてもいい。
自分が死んだ後にでも受け取って欲しい。
それが、沢田の願いであった。
その意を汲んだ和美所長は、遺言書作成を専門にする長女・まり子を中心にして、
この依頼をやり遂げると沢田に約束した。

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その晩、和美はまり子に沢田の詳しい経歴を話して聞かせた。
沢田は、かつて町工場を経営していた。
しかし、不況の煽りと過剰投資が裏目に出て忽ち経営に行き詰まるようになり、
町工場は借金地獄に陥った。
沢田には妻と娘が居た。
その家庭にも、借金取りは容赦なく押し掛けて来た。
沢田は、次第に精神的に追詰められるようになっていった。
そんな中での事件だった。
沢田は、借金取りをゴルフクラブでめった打ちにして殺害した。
発端は、借金取りが娘・みゆきを事務所に連れ込んで暴行しようとしたことだった。
沢田は、娘を守ろうとすっかり我を忘れていた。
路地を逃げ惑う借金取りを追い掛け、これでもかと殴り続けていた。
気が付くと、沢田はその借金取りだけでなく止めに入った通行人まで殺してしまっていた。
余りの興奮状態で、止めに入ったのが丸で無関係の第三者だと認識出来なかったのだ。
この事件は、沢田の胸に深い傷を刻んだ。
謝って謝り切れるものではない。
人を殺した重み。
それも第三者まで巻き込んでしまった重み。
それが、沢田の胸をギリギリと締め上げていた。
弁護人となった和美は、沢田の贖罪意識の強さを訴えて何とか無期懲役に持ち込んだ。
それから14年が経過した。
沢田が妻や娘との絆を取り戻せるかどうかは、今まり子の双肩に委ねられようとしていた。

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まり子は、手順通り遺言書を作成した。
それ自体は簡単だ。
しかし、これを娘・みゆきに受け取って貰うのは中々骨が折れそうだ。
まり子は、みゆきのアパートを訪ねた。
みゆきは、このアパートで母・川野文子(山口果林)と2人暮しだ。
まり子がアパートの前へ来たところで、丁度仕事終りのみゆきが帰って来た。
隣には男性を連れている。
どうやら、例の婚約者らしい。
その男性・中谷賢一(林泰文)は、みゆきに話があるとまり子が伝えると、
気を利かせて帰って行った。

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まり子はアパートに入れて貰い、みゆきと母・文子に要件を伝えた。
出所したお父さんから遺言書を預かって来ました。
そう言って書面を差し出すと、みゆきはそんなものは要りませんと受け取りを拒否した。
まり子は説明した。
刑務所の中でお父さんが苦労して貯めたお金を譲りたいという遺言書です。
受け取ってあげて下さい。
そう説得しても、みゆきは聞く耳を持とうとしなかった。
人殺しの娘。
その汚名を背負ったみゆきにとって、
父のことは消したい存在以外の何者でもないのだ。
まり子は、日を改めて出直すことにした。
一体、どう説明すれば沢田の意図を分かって貰えるだろう。

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翌日、まり子はみゆきの職場へ押し掛けて行った。
みゆきは、遊園地で係員をしている。
まり子が客を装って話し掛けると、みゆきは遊園地の片隅へまり子を連れ出した。
まり子は再度頼み込んでみた。
遺言書を受け取って欲しい。
どうしても拒否するなら、せめてお父さんに直接その旨を伝えて欲しい。
懸命に説得したが、みゆきは中々頷こうとしなかった。
そこで、まり子は思い切って痛いところを突くことにした。
「それでいいの?このまま結婚してしまっていいの?
婚約者の方、中谷さんって仰ったわよね。
彼はお父さんのこと知ってるの?」
「知る訳ないでしょ。
そんな事知ったらあたしと結婚する人なんて居ないわ」
「じゃ、一生黙ってるつもり?」
「ええ、一生隠し通します」
「そんな苦しいこと出来るの、みゆきさん?
私も人を好きになったことがあるから分かるの。
好きな人に嘘を付くのは凄く辛い」
「仕方ないでしょ。それ以外、幸せを手に入れる方法が無いんだもの。
どんなことをしても隠し抜くわ」
「それは本当の幸せ?」
「本当じゃなくてもいいの。本物じゃなくてもいい。嘘の上に立ってるものでも何でもいい。
あたし、賢一さんと暮したいの。
一緒に御飯食べて、買物して、テレビ見て笑って、そう願うのがそんなにいけないこと?
あなたが彼に父の事件のこと話したら、あたし死にますから」
みゆきは、そこで話を打ち切って持ち場に戻って行った。
決して本心から父を憎んでいる訳じゃない。
しかし、この結婚だけは邪魔されたくない。
それが本音のようだ。
まり子も引き止める言葉が出て来なかった。
どうしたものか。
思案しながら遊園地から出たところで、まり子は思わぬ人物に呼び止められた。
みゆきの婚約者・中谷であった。

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まり子は、中谷を「迫法律事務所」の応接間に通した。
中谷は心配しているようだ。
弁護士のまり子がみゆきの元に何度も押し掛けて来るのは、
何か面倒な事件にでも巻き込まれたからではないか。
もしそうなら、力になりたいので訳を話して欲しい。
中谷はまり子にそう訴えた。
まり子が答えに窮していると、
事務所に居合わせていたまり子の母・和美所長が執り成しに入った。
「みゆきさんが事件に巻き込まれているなんてことは無いわ。
あたしとみゆきさんのお父さんは古い知り合いでしてね。
娘に使いを頼んだものですから」
咄嗟の作り話だったが、これが中谷を更に刺激していた。
「みゆきさんのお父さんって、離婚したお父さんのことですか?
彼女のお父さん、どんな方なんでしょう?
全く話もしてくれないので、少し気になっていたんです」
「とっても誠実な、真面目な方よ。
いつも、みゆきさんのことを気に掛けてらっしゃるわ」
「結婚の御挨拶に行かなくていいでしょうか?
例え離れていてもお父さんはお父さんですよね?
僕、早くに両親を亡くしました。
だから、みゆきの両親は大事にしたいと思ってるんです」
「そのお気持ちは、みゆきさんに話してあげて下さい。
そして、みゆきさんがそれを望んだらそうしてあげて頂きたいわ」
「分かりました。僕は彼女を信じていてもいいんですね?」
「勿論よ。信じてあげて下さい」
和美所長の言葉を聞くと、漸く納得したのか中谷は礼を言って腰を上げた。
中谷は、事務所から出ていこうとしたところで丁度やって来た沢田とすれ違った。
中谷は、ドアを開けて沢田を中へ招き入れから事務所を出て行った。

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中谷が出て行った後、まり子は沢田に説明した。
今の青年がみゆきさんの婚約者です。
それを聞くと、沢田は恐縮してまり子に頭を下げた。
「私は、嬉しいです。
娘があんないい青年と出会って、新しい生活を築こうとしている。
他に何も望みません。
遺言状は処分して下さい」
沢田は、遺言書作成依頼を取り下げたいとまり子に伝えた。
もう、一生娘には会わない。
それが、自分に出来る精一杯の手向けだ。
沢田にそこ迄言われると、まり子も流石に返す言葉はなかった。

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沢田が帰った後、和美所長は妙なことが気になっていた。
みゆきの婚約者・中谷に、前に何処かで会った覚えがある。
一体何処で会った誰だったのか?
高い記憶力を誇る弁護士の和美所長であったが、
それが中々思い出せずにいた。

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迫法律事務所から出て来た沢田は、
先ほどの青年・中谷の車がエンストを起こして立往生しているのを見掛けた。
「どうかしたんですか?」
沢田は、中谷に声を掛けて車に歩み寄った。
沢田の町工場は、精密機械メーカーだった。
多少の機械なら心得が有る。
沢田がボンネットを開けて少し中をいじると、すぐにエンジンが掛かり始めた。
中谷は、笑顔で沢田に礼を言った。
沢田は改めて思った。
礼儀正しい好青年だ。
この青年なら、娘をきっと幸せにしてくれる。
中谷に名前を尋ねられた沢田は、名乗る程のことでもないからとその場を誤魔化すのだった。

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翌日、まり子は路地で中谷を発見した。
その場所は、かつて沢田が借金取りを殺害した事件現場であった。
中谷は、そこで頭を垂れて何かに祈っている様子だ。
それを見たまり子は、慌てて迫法律事務所に引き返した。
何故、中谷があそこに居たのか。
ひょっとして、沢田のことがバレてしまったのではないか。
もしそうなら、みゆきの結婚が破談になってしまう。
まり子が狼狽えて和美所長に相談すると、和美所長はまり子に意外なことを命じた。
「みゆきさんの婚約者が沢田さんのことを知ったのは、恐らくまり子先生のせいじゃないと思う。
出来る限り早く中谷さんの身元を調べて下さい。
もし、あたしの記憶が正しければ……急がなくちゃ」

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まり子は、早速中谷の身元を洗った。
その結果、意外な経歴が浮上した。
中谷賢一は、中学時代に両親を亡くして母方の叔父の養子となった。
元の名前は、関根賢一という。
その後中谷は苦学して夜間大学を卒業し、現在は病院事務職に就いている。
そこで患者の娘だったみゆきと交際が始まり、今では結婚を目前に控えている。
中谷が父を失った理由。
それは、路上で事件に巻き込まれたからであった。
男がゴルフクラブで人を滅多打ちにしているのを目撃し、
止めに入って巻き添えを食ったのだ。
その男の名が沢田泰雄。
そう、遺言書作成の依頼者である沢田だ。
つまり、中谷は沢田が殺した被害者の息子であった。
そんな中谷が、もうすぐ沢田の娘・みゆきと結婚しようとしている。
殺人事件被害者の息子・中谷と、加害者の娘・みゆき。
2人の出会いは偶然なのだろうか?
そして、2人は互いの素性を知っているのだろうか?

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まり子の報告を受けた和美所長は、悪い予感が的中したと唇を噛んだ。
和美所長と中谷とは確かに会ったことがあった。
14年前、未だ中学生で苗字も違う被害者遺族だった中谷少年と。
和美所長は、沢田に無期懲役の判決が出た後に中谷少年に怒鳴り付けられたのを覚えていた。
「どうしてだ?どうしてだよ?何であいつが死刑にならないんだ?
僕の親父はあいつに殺されたんだぞ。
僕のお父さんは何も悪いことをしてないのに殺されたんだぞ。
弁護士なんて嘘付きだ。
法律が裁かないなら、俺が裁いてやる。俺が代りに殺してやる。殺してやる!」
あの少年の怒声が今も脳裏にこだまする。
あれだけの怒りが、今になって収まっているとは考えられない。
きっと、今も恨んでいるに違いない。
中谷は、みゆきの素性を知りつつ意図的に近付いたのか?
それとも、出会いは奇跡的な偶然で中谷はみゆきの素性を知らないのか?
ここ迄事件に関わった以上、まり子たちは真相を確かめる必要に迫られていた。

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その晩、まり子は沢田を自宅の応接間に招いた。
まり子が言いにくそうにしているのを見て取ると、沢田の方から口火を切った。
「娘に何かあったんですか?もしかして、相手の方に私のことが知れてしまったんでしょうか?」
「いいえ、みゆきさんの婚約者は……中谷賢一さんは、初めから沢田さんの事件のことは御存知です」
「初めから?」
「中谷さんは、あなたが殺害した関根マサルさんの息子さん、賢一さんです」
「あの人が……関根さんの息子……関根さん……
娘は……みゆきは知っているんでしょうか?結婚する相手が、私が殺した人の子供だと」
「分かりません。私達にも未だ分からないんです。
ただ判っているのは、14年前あなたが起こした事件の被害者の息子さんとみゆきさんが結婚しようとしていることだけです。
沢田さん、私が明日中谷さんに会って真実を確かめます。
それがどんな形の真実であれ、みゆきさんには本当のことを伝えなければならないと思います。私がお伝えします」
「先生、私が……私が話します」

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翌日、沢田はみゆきに会いに行った。
14年振りの娘との再会だった。
沢田は、まず頭を下げて娘に謝った。
みゆきは、複雑そうな表情で父に背中を向けた。
「どうして来たんですか?会いたくないって手紙を送ったじゃないですか」
「それは……話さなければならないことがある」
「言い訳なんか聞きたくありません」
「言い訳なんかするつもりはない。お前に話さなければなさないんだ。
お父さんが自分で、話さなければならないんだ」
沢田は、みゆきに打ち明けた。
中谷が、自分が殺害した関根マサル氏の息子であることを。
それを聞くと、みゆきはショックで凍り付いた。
「嘘……嘘でしょ?どうしてそんな酷い嘘つくの?
賢一さんが被害者の……そんな……彼は知っててあたしに……
犯人の娘だと知ってて近付いたの?復讐のために?
嘘だったの?優しくしてくれたのも、一生大事にするって言ってくれたのも、
みんなあたしを騙して傷付けるために?」

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その頃、まり子は中谷を迫法律事務所に招いて詳しい話を聞いていた。
まずは、中谷が父を亡くした事件のことを尋ねてみた。
14年前、中谷の父は路上で大暴れする男を止めに入って犠牲になった。
その男は裁判の結果無期懲役の判決を受け、死刑を望んでいた中谷は弁護人を怒鳴り付けた。
辛い事件のため、まり子は慎重な言い回しで中谷に質問した。
「その裁判で被告人の国選弁護をしたのは私の母です。御存知ですね?
母は、あなたが最後に死刑にならなければ自分で犯人を裁くと言ったのを覚えていました。
あなたがあの事件の遺族であることを、みゆきさんは知りませんね?」
「ええ、話していません。法律に違反しますか?」
「あなたのお父さんを殺害した犯人の名前を覚えていますか?」
「忘れる筈がありません。沢田泰雄です」
「では、もう一つ聞かせて下さい。
あなたはみゆきさんに離婚したお父さんが居ることを御存知ですね?」
「勿論知っています」
「その名前を知ってますか?」
「沢田です。沢田泰雄です」
中谷は、何時に無く挑戦的な表情でまり子を睨み付けた。
何もかも知っているようだ。
では、みゆきとの出会いは意図的だったのか?
偶然知り合った後からみゆきの身元に気付いたのか?
まり子がそう問い質すと、中谷は平然と答えた。
「勿論、最初から知ってましたよ。
僕は父を殺した沢田泰雄の娘だと知ってたから彼女に近付いたんです。
憎んでも憎み足りない相手ですからね。
僕は決心しました。
沢田が刑務所に入っている間に娘と結婚してやろう。
そして、沢田が仮釈放で出所したらお父さんお帰りなさいと迎えてやろう。
娘の愛する夫の正体を知った時、沢田がどんな顔をするか。
そして、あいつの最も大切な娘がどれ程傷付くか。
これ以上の復讐はありませんからね」
「それが、あなたの裁きですか?」
「そうです。だから沢田にも近付いた。娘を愛する優しい婚約者として。
あの男は僕の顔を見ても全く気付きもしなかった。
自分が殺した人間の遺族の顔を覚えてもいなかった」
「嘘です」
「嘘?」
「あなたが、復讐のためにみゆきさんと結婚しようとしたなんて嘘です。
あなたはみゆきさんを愛しているから一緒に居たいと思ったんでしょ?」
まり子は覚えていた。
初めてみゆきのアパートに行った時、
中谷は見知らぬまり子を警戒して咄嗟に自分の体を盾にしてみゆきの前に出た。
一瞬のことだったが、まり子は見逃さなかった。
あれは、みゆきを守ろうという本能的な動きだった。
この人は、言葉とは裏腹にみゆきを愛している。
まり子の指摘に、中谷は淡々と答え続けた。
「まさか。彼女は僕の父を殺した犯人の娘なんですよ」
「最初はそうだったかもしれない。
でも、あなたはみゆきさんを愛するようになった」
「冗談じゃない。僕はどうしても許せなかった。
人を殺した人間がどうして死刑にならないのか。
何で情状酌量なんてものがあるのか。
僕の父は、何の理由もなくある日突然命を奪われたんだ」

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まり子と中谷が話し込んでいる中、突然ドアをノックする音が鳴り響いた。
やって来たのは沢田であった。
沢田は、中谷の前へ歩み寄ると額を地面に擦り付けて土下座した。
中谷は冷たい視線でそれを見下ろした。
「何ですか、それ?何をしてるんですか?」
「申し訳ありませんでした。大切な、大切なお父様の命を奪って本当に申し訳ありませんでした。
人様の命を奪った私がこの世に命永らえて、本当に、本当に申し訳ありません」
「許せると思ってるんですか?」
「私のことを許して下さいとは申しません。
ですが、どうかみゆきのことは恨まんでやって下さい。
みゆきは、あなたのことを愛しております。
どうか、憎まんでやって下さい」
「やっぱり刑務所に入っても、結局治らないんですね。
借金を取り立てられた位で、止めに入った人間まで殺してしまう身勝手な考え方は。
そうでしょ?だって、僕は父に心配して貰えることは一生ないんです」
「私も一生みゆきには会いません。妻にも会いません。
一生電話も手紙も書きません。私にはこれしか償いの方法がありません。
どうか、これ以上娘を傷付けんでやって下さい。
あなたがみゆきと一緒に過ごした日々が、全て復讐のためではなかったと言ってやって下さい。
ほんの一握りでもいい。愛情あったと言ってやって下さい。お願いします」

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沢田が迫法律事務所を出て行った後、まり子は中谷に再度訴えた。
「1つだけ言わせて下さい。
罪を犯したのは沢田さんです。みゆきさんじゃありません」
「それを言うなら僕の母はどうなるんです?
父の死がショックで病気になり、寂しく死んでいった。
そして、僕は家族を失くした。たった1人になったんです」
中谷は氷のような表情でまり子に言い返した。
そんな時、迫法律事務所に慌ただしく誰かが駆け込んで来た。
みゆきであった。
みゆきは中谷と目が合うと、表情を強張らせた。
みゆきは、父の行方を捜しているらしい。
つい先程、みゆきに遺言書を渡して思い詰めた表情で立ち去ったという。
それを聞いたまり子は、沢田の言葉を思い返した。
「私も一生みゆきには会いません。
私にはこれしか償いの方法がありません」
もしかして、沢田は自殺して償おうとしているのではないか。
まり子とみゆきは、沢田の行方を探しに事務所を飛び出した。

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まり子は、みゆきと共に沢田を捜した。
沢田が自分の死に場所に選ぶ場所は、
恐らくかつて工場を経営していた蒲田に違いない。
まり子とみゆきは、夜の街を走って沢田を探し回った。
間もなく、沢田は見つかった。
橋の欄干から身を投げようとしているところだった。
まり子たちが駆け付けると、沢田は2人に向き直った。
「他に方法はないんです。中谷さんもきっと納得してくれます」
その瞬間、あらぬ方向から沢田に声が飛んだ。
「納得なんてしない」
中谷であった。
中谷は、沢田の元に静かに歩み寄って来た。
まり子は沢田を懸命に説得した。
「沢田さんが死んでしまったら、誰があの事件の償いをするの?
沢田さんが生きて、辛くても生き続けて、中谷さんの幸せを願って、
奥さんやみゆきさんを愛し続けることが、それが本当の償いなんじゃないの?」
沢田は、震える声で反論した。
「本当の償いは死ぬ以外にないんです。
刑務所に居た時には、償っているような気になっていました。
務め上げれば、私が殺めた人たちへの償いになると。
でも、出てみたら何も償えていなかった。
やはり、人を殺した者は命をもって償うしかないんです」
それを聞いた中谷は、沢田に飛び掛って殴り飛ばした。
「あなたはこうやって人に殴られることが出来る。罵られることも出来る。
刑務所から出て仕事を探すことも出来る。
なのに僕の親父は、僕の大好きだった親父はもう何も出来ない。
理由も何もない。それが死ぬということなんだ!
あなたは、結局人が死ぬということがどんなに重いことか判っていない。
だから、人を殺し自分をも殺そうとするんだ!」
中谷は、沢田に馬乗りになって殴り続けた。
まり子たちがオロオロしながら見守っていると、沢田の元妻・文子が駆け付けてその場に土下座した。
「止めて下さい。止めて。御免なさい。御免なさい。
主人のしたことは私も償いますから、だからどうか」
みゆきも、泣きながらその場に土下座していた。
母娘が並んで土下座する姿を前にして、中谷もまた泣いていた。
「何で苦しんだ。苦しめるつもりだったのに。
あんた達を苦しめてやるつもりだったのに、何で俺が苦しんだ?」
中谷は、沢田を離して怒鳴り付けた。
「死ぬことなんか許さない。ずっと生きて、生き抜いて貰う。それが償いだ!」

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『沢田さんの本当の償いが始まりました。
生きていくことは苦しい。
でも、その苦しさを乗り越える力を人は持っている。
人の命を奪った沢田さんにそのことを教えてくれたのは、被害者の遺族であった中谷さんでした。
人は一人では生きられません。
例え、それがどんな絆であろうと誰かと共に生きることが私達の幸せなのかもしれません』

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まり子は、その後みゆきと中谷が婚約を解消したことを風の便りに知った。
2人はこのまま別れてしまうのか。
それとも、また一からやり直すのか。
まり子には分からなかった。
沢田の方は縫製工場の職に就いたと聞く。
恐らく、今も被害者の冥福を祈りながら作業に追われていることだろう。
いつか、分かり合える時が来て欲しい。
まり子は、心の中でそれを祈らずにはいられなかった。

斉藤慶子、大地康雄:弁護士迫まり子の遺言作成ファイル④ 再会 [テレビ大阪] 2012年01月26日 13時00時00秒(木曜日)

<井上由美子:関連作品>

テーマ:ドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

父からの手紙
檀れい主演の2時間サスペンス。

小さな料理店を経営する母娘に、11年前に女と蒸発した父から手紙が届く。
身勝手な父からの一通の手紙が、やがて母娘の運命を大きく変えてゆくというお話。

普通のサスペンスを期待するとかなり裏切られる。
一応謎解きもあるが、サスペンスというよりヒューマンドラマの側面が強い作品。
終盤は、出演者の演技が見応えあり。

※2014年3月3日(月)午後1時からテレビ大阪「午後のサスペンス」枠で再放送されます。
以下に一応粗筋は紹介しますが、これから視聴する予定の人は予備知識無しで見て下さい。

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テレビ東京
ぎふチャン
テレビドラマデータベース

<番組データ>
脚本:金子成人
初回放送:2007年12月23日
地上波放送:テレビ東京「水曜ミステリー9」
挿入歌:松任谷由実

<出演>
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阿久津麻美子:壇れい

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阿久津歌子:竹下景子

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阿久津伸吉:大杉漣

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秋山圭一:杉本哲太

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秋山和夫:村田雄浩

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秋山みどり:渡辺梓

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犬塚義明:本田博太郎

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ラーメン屋の親父:梅津栄

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堀越弘子:松本麻希

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ミチヨ:川上藍子

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檀れい(高校生)

<ストーリー>
阿久津麻美子(壇れい)に、29歳の誕生日がやって来た。
今年も、麻美子には父からの手紙が届いた。
中身は、麻美子の幸せを願う父の想いを綴ったありふれたものだ。
こんな手紙が毎年届く。
父・阿久津伸吉(大杉漣)が、女を作って蒸発してからもう11年になる。
毎年欠かさず手紙だけは届くが、以来顔も見たことがない。
今頃一体どうしていることやら。
麻美子は、母・阿久津歌子(竹下景子)にそんな話を振ってみた。
今年の手紙には切手も消印もない。
ポストに直接投函して行ったらしい。
父は、相手の女性と上手くいってないのではないか。
麻美子がそう心配すると、母・歌子は知るもんですかと吐き捨てた。
母の怒りは、今も収まっていない。
身勝手な父が家を出てから、平穏だった麻美子の家庭はすっかり変わってしまった。
一家の大黒柱を失った母娘は、現在小さな料理店を経営して生計を立てている。
元々父が残した店舗に加え、
離婚後送られて来た3000万円の慰謝料が元手になった。
常連客が根付き、こうして何とかやり繰り出来るところまで漕ぎ着ける道程は決して平坦ではなかった。
今日も母娘で厨房に立ち、接客とレジに追われる忙しい生活だ。

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麻美子には、好意を寄せてくれる人が居た。
秋山圭一(杉本哲太)という店の常連客だ。
麻美子も、圭一のことは好きだった。
それとなく、結婚の打診をされたこともある。
しかし、麻美子は中々圭一との結婚には踏み切れずにいた。
仲良しだった夫婦が、一夜にして断絶する。
両親の悲劇を見て以来、男というものにどうしても不信感が拭えなかった。

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後日、麻美子の元に再び父からの手紙が届いた。
誕生日以外に父の手紙が届くのは異例だ。
内容もまた異例であった。
「秋山圭一を信用してはならない。父」
ただ、その一文だけだった。
父は、麻美子と圭一の交際を知っている。
すぐ近くで娘の無事を見守っている。
そして、圭一に警戒心を抱いている。
一体、父は何処に居るのだろう?
何故、圭一が信用出来ないのだろう?
麻美子の疑念は膨らんでいった。

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その朝、麻美子はテレビのニュースに見覚えのある顔が写っているのに気付いた。
元刑事の私立探偵・犬塚義明(本田博太郎)が、変死体で発見されたという報道だった。
この犬塚という男は、麻美子に父の行方を尋ねに来たことがあった。
父とは連絡を取っていないと説明しても、しつこく押し掛けて来た妙な男だ。

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続いて、麻美子の元に今度は現職の刑事が訪ねて来た。
やはり、父の行方を捜しているという。
犬塚の手帳に父の名前が出ていたので、どんな関係だったのか話を訊きたいらしい。
麻美子は、正直に答えた。
父とは連絡を取っていない。
しかし、犬塚には父の行方を尋ねられたことがある。
それを聞くと、刑事は詳しい話が知りたいから後で警察署に来て欲しいと言って帰って行った。

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警察署へ出向いた麻美子は、思わぬ人物と出会した。
交際相手・圭一であった。
圭一も、捜査への協力のために呼び出されたのだという。
要件は、圭一の兄に関することらしい。
麻美子は、圭一の話を聞いて初めて知った。
圭一の兄は、数年前に焼身自殺しているのだ。
麻美子は、改めて自覚した。
恋人のことを何も知らなかったことを。

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それにしても、焼身自殺とは一大事だ。
麻美子は、図書館に手配して当時の新聞記事を取り寄せてみた。
調べてみると、それらしい記事が見つかった。
電器店経営・秋山和夫(村田雄浩)が、
自宅に放火して焼身自殺したという何ともやり切れない事件だ。
麻美子からその話を聞いた母・歌子は、はっと驚いた。
思い当たることがあるという。
未だ離婚する前、父はたまたま出ていた先で阪神淡路大震災に遭遇した。
その時、命を救ってくれた恩人が秋山和夫さんだと父がしきりに感謝していたのを思い出したのだ。
まさか、恋人の兄と父の恩人が同じ人とは。
では、圭一はそのことを知っていたのだろうか?
麻美子との出会いは偶然なのだろうか?

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麻美子は、その事件について知ろうと付近で聞き込みをしてみた。
すると、増々嫌なことが分かって来た。
圭一の兄・和夫が焼身自殺に追い込まれた原因は、
妻・秋山みどり(渡辺梓)と弟・圭一の不貞だというのだ。
圭一さんが、お兄さんの奥さんと?
俄には信じられない話だった。

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麻美子は、圭一に直接問い質してみた。
圭一は、麻美子の父と圭一の兄が10年来の知り合いであることを知っていた。
では、兄の妻・みどりとの不貞は本当なのか?
それに関しては、圭一は強く否定した。
妻・みどりの不倫相手は別にいるという。
兄に頼まれて妻・みどりの素行調査を手伝ったことがあるので、
それだけは間違いない。
相手は、手首に火傷のある男だった。
圭一は、麻美子にそう説明した。
ただ、麻美子の店に足を運ぶようになったのは偶然ではなかった。
理由は、兄・和夫の死の真相を知るためだった。
圭一は、私立探偵・犬塚を通して知った。
兄・和夫を殺したのは、妻・みどりと麻美子の父・伸吉であると。
事件後降りた保険金で、2人は今ものうのうと暮している。
そんな話を、犬塚に吹き込まれたのだ。
そこ迄聞いた麻美子は、圭一の元から複雑な胸中で立ち去った。

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麻美子は、自宅で考えを整理してみた。
手首に火傷のある男。
料理人だった父の特徴と一致する。
まさか、父が圭一の兄・和夫を焼身自殺に見せ掛けて殺したというのか?
和夫の妻・みどりと共謀して。
そして、今度は秘密を嗅ぎ付けた私立探偵・犬塚まで殺したのか?
あり得ない。
麻美子は、頭の中でその考えを打ち消した。
麻美子の知っている父は、誠実で真面目な人だった。
でも…でも…、そんな父が私と母を捨てて女に走った。
どうして?
麻美子は、毎年律儀に届く父の手紙を全部保管していた。
手紙の中の父は、娘への愛情溢れるあの父のままだ。
どうしても、2つの父が重ならない。
一体どういうことなの?

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麻美子は、腹を決めた。
父を捜す。
会って確かめる。
手掛りは、毎年届いた手紙だけだ。
消印は、富山に集中している。
駆け落ち相手が圭一の義姉・みどりだとすれば、
その線から居場所を突き止められるかもしれない。
麻美子は富山に飛んだ。
1つだけ目星がある。
父の手紙の消印には奇妙な点があった。
消印のある街は富山のバラバラの場所だ。
しかし、何故か梅津市だけがない。
ひょっとして、居場所を知られまいと梅津市からの投函を敢えて避けていたのではないか。
だとしたら、父は梅津市に居ることになる。
麻美子は電話帳を辿り、写真を見せて回って聞き込みを繰り返した。
そして、それらしい名前に辿り着いた。
堀田伸吉。
圭一の義姉・みどりの旧姓が堀田だ。
みどりが和夫との籍を抜いて、父と結婚すれば辻褄が合う。

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麻美子は、堀田伸吉の住所に行ってみた。
家の前まで来たところで、麻美子は耳を澄ませて中の様子を伺ってみた。
小さな娘さんがいるらしく、中からは家族団欒の楽しげな声が聞こえて来た。
いきなり押し掛けていったら、この平和な家庭が壊れてしまう。
麻美子は、日を改めることにした。
妻・みどりは、昼間は美容院で働いている。
そのタイミングを見計らって会いに行くか。

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翌日、麻美子は母・歌子に電話を掛けて富山に呼び寄せた。
交際相手・圭一も加わり、3人は堀田家の応接間に通された。
応対するのは、圭一の義姉・みどりとその夫・堀田伸吉であった。
堀田伸吉は、麻美子の知る父ではなかった。
その人物は、圭一の兄・和夫であった。
そう、焼身自殺で亡くなった筈のあの和夫だ。
堀田伸吉こと秋山和夫とその妻・みどりは、麻美子と歌子を前に深々と頭を下げた。
この日が来るのを予期していたようだ。
そして、12年前の真相を打ち明けた。

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阪神淡路大震災の日、和夫は瓦礫に埋もれた一人の男を救出した。
それが阿久津伸吉、つまり麻美子の父であった。
以来、2人の間には命を通した絆が生まれていた。
半年後、和夫の元に再び伸吉が現れた。
伸吉の要件は、ただの御礼ではなかった。
それは、危険な挑戦への協力を求めるためのものだった。
伸吉は、膵臓癌で余命半年を宣告されていた。
そこで、和夫に成り済まして自殺させて欲しい。
ただし、それで降りる保険金は自分の家族にも分けてやって欲しい。
つまり、保険金を目当てにした偽装自殺だ。
当然、和夫は反対した。
それは良くない。
最期まで家族と共にあるべきだ。
和夫は難色を示したが、伸吉はそれに猛然と反論した。
「治る見込みがあるなら別の考えもあります。
でも、私が死ねば家族は住む所も店も失います。
妻の父親に見込まれて婿に入った私には、恩があるんです。
それに、私は恩人であるあなたの家族も救いたいんです」
あなたの家族とは、当時身籠っていた和夫の妻・みどりのことであった。
和夫夫婦は震災の負担で借金漬けとなり、とても子供を産み育てる余裕はなかった。
それを知った伸吉は、保険金を使って両方の家族を救う手を思い付いたのだ。
余命半年の自分の命を犠牲にして。
新しい生命のためにも、この計画を受けて欲しい。
伸吉は、和夫に熱く頼み込んだ。
和夫とみどりの夫婦は、悩みに悩んだ挙句にこの申し出を受けることにした。
2人もまた、追詰められていたのだ。

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決行の夜、、和夫は灯油を被って倉庫に飛び込んだ。
そして、倉庫の中で伸吉と入れ替わった。
和夫が無事逃げおおせたのを確認した伸吉は、
そのまま焼身自殺を敢行して偽装自殺を完成させたのだった。
その後、保険金を受け取った和夫・みどりの夫婦は、富山で身を潜めて伸吉の名前で暮し始めた。
受け取った保険金の半額は、伸吉からの慰謝料の名目で麻美子と歌子に送っていた。
これが真相であった。

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話を聞いた麻美子と歌子は、言葉を失った。
毎年届く父からの手紙は、父が生前書き溜めたものを和夫が投函したものだった。
麻美子が20歳になったらこの手紙、30歳になったらこの手紙、
麻美子が結婚したらこの手紙、子供が出来たらこの手紙、それが延々と続き、
最後は麻美子が50歳になる分まで用意されていた。
では、「圭一を信用するな」という警告の手紙は誰からなのか?
それは、和夫が筆跡を真似て偽造したものだった。
和夫は、お金を送った後も麻美子と歌子の無事を定期的に確認していた。
そんな中、弟・圭一が麻美子に近付いたことで秘密の発覚を恐れたのだ。
私立探偵・犬塚を殺害したのも和夫であった。
犬塚は、私立探偵とは言っても実態は人の弱みを探して金を強請るタカり屋だ。
伸吉の偽装自殺を嗅ぎ付けて脅迫に来たところで、和夫と揉み合いになって殺してしまったのだ。
どうして人殺しまで?
麻美子がそう尋ねると、和夫は答えた。
「私には、法律よりもどんなことよりも阿久津さんとの約束が一番大事だったんです。
秘密を知られてはならない。
残された奥さんとお嬢さんを護り抜くこと。
それが、死んでいった阿久津さんへの私なりの約束だと思っていましたから」

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伸吉の遺骨は、和夫の名義で墓地に埋葬されていた。
麻美子と歌子は、その墓に参って手を合わせた。
11年振りの、思ってもいない再会であった。

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それから暫くが過ぎた。
麻美子と歌子は、和夫が犬塚殺しの容疑で自ら警察に出頭したことを知った。
2人の元には、伸吉が残した手紙が残らず郵送されて来た。
2人は、その封を切って中を確かめてみた。

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麻美子の結婚祝。
『結婚おめでとう。
君ならきっといい奥さんになり、いい家庭を築いていける筈だ』

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麻美子の出産祝。
 『とうとう君も母親か。父さんも感慨無量だ。
お前が産まれた日、父さんは胸の底から喜びが泉のように湧いてきたのを覚えている。
君と人生を一緒に過ごすのかと思うと嬉しくてならなかった。
それなのに、父さんの勝手な理由で家を出てしまい、本当に済まないと思っている。
でも、父さんはいつでも君達と一緒に居る』

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麻美子50歳の誕生日。
『麻美子、50歳の誕生日おめでとう。
父さんは、もう手紙を書くことも出来なくなりました。
これが、最後の手紙になるでしょう。
父さんはあなたと一緒に暮らさなかったけど、とても幸せでした。
こうやって、あなたに手紙を書くことで心が結ばれているからです。
ただ謝らなければならないのは、あなた方を捨てて私が家を出て行ってしまったことです。
きっと、父さんを恨んだことでしょう。
出来ることなら、父さんはあなたや母さんと一緒に過ごしたかった。
何時かの手紙に、父さんには夢がある、一番大事な夢、命を賭けた夢があると書きました。
覚えているでしょうか?
今、そのことを伝えることが出来ます。
父さんの夢は、あなたや母さんの幸せでした。
その夢が実現し、父さんはとても嬉しい。
今、父さんは重い病気です。
父さんはもうすぐこの世からサヨナラするでしょう。
もう来年から、父さんの手紙は届きません。
でも、父さんはきっとあの世から2人の幸せを願い、そして2人を守っていくつもりです。
でも、どうしても2人に会いたくなったら……
麻美子は覚えていますか?
あなたの10歳の誕生日の何日か後、母さんと花見に行きました。
中学に入学した日も、高校に入学した日にも、桜を見に行きました。
舞い落ちる花弁を手にした時のあなたの笑顔を忘れません。
そうだ、父さんは2人に会いたくなったら春を待てばいいのだ。
麻美子の誕生した春を待てば、花弁となって2人に会いにいける。
これが最後の手紙です。さようなら。
父より』

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読み終えた麻美子と歌子は、泣くしかなかった。
「お父さんは、あの時これしか道は無かったの?」
「馬鹿ねえ」
「そうだけど」
「やっぱり生きてて欲しかった」
「この11年、お母さんもあたしも本当は居ないお父さんの蜃気楼見てたのね」
「蜃気楼?」
「お母さん、お父さんはやっぱりあたし達のことを見守っていてくれたのね」
何処迄も不器用で馬鹿な父。
そんな父が、究極の馬鹿で2人を守ろうとしていた。
偽装自殺。
それは間違っていたのかもしれない。
しかし、2人は最早父を責める気にはなれなかった。

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麻美子と歌子は、またいつもの生活に戻った。
小さな料理店は、朝からずっと忙しい。
麻美子は、父が残したレシピを手にして今日も厨房に立つのだった。

檀れい、竹下景子:父からの手紙 [テレビ大阪] 2011年11月18日 13時00時00秒(金曜日)

<原作:小杉健治>


テーマ:テレビドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ

共犯
高島礼子主演の2時間サスペンス。

母の愛人を殺害した女が、記憶喪失の男と同居生活を始める。
男は殺人現場の目撃者だった。
女が口封じをするのが先か、男が記憶を取り戻すのが先か。
同居生活を送るうちに、女と男は奇妙な絆で結ばれ葛藤するというお話。

火サス常連脚本家・宇山圭子による、これぞ火サスというダークなサスペンス。
定番メニューをじっくりコトコト煮込んだかのような出来栄え。
軽快さやコメディ色を排した、重たい火サスが好きな人にお勧めの作品。

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日本テレビ:火曜サスペンス劇場
DMMレンタル
テレビドラマデータベース

<番組データ>
脚本:宇山圭子
初回放送:2002年2月12日
番組名:日本テレビ「火曜サスペンス劇場

<出演>
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三橋杏子:高島礼子

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高木良介:石黒賢

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高木理恵:床嶋佳子

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城野:阿知波悟美

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橋本刑事:四方堂亘

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三橋志律子:内田春菊

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谷刑事:鼓太郎

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助手:伊藤葉子

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インタビュアー:胡桃沢ひろこ

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辻警部:益岡徹

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藤原みのり:水野久美

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蓮見慎太郎:平泉成

<ストーリー>
新進気鋭の料理研究家・三橋杏子(高島礼子)は、
ゴミ捨て場に巣食うカラスを見るのが大嫌いだった。
浅ましく残飯を漁る真っ黒なカラス。
その姿を見ていると、丸で自分の悍ましさを見せ付けられている気がした。

杏子は、最近師匠から独立したばかりだ。
師匠・藤原みのり(水野久美)は、杏子の独立に猛反対だった。
今では、口も聞いてくれない。
それでも、杏子は独立した。
新しい夢を追って、自分の可能性に賭けた。
そんな矢先のことだった。
杏子の運命は今、暗転に差し掛ろうとしていた。

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料理研究家である杏子にとって、
テレビのレギュラーを持つことは大事な収入源であった。
当然スポンサーの意向には逆らえない。
その日、杏子はスポンサー専務の呼び出しを受けて別荘を訪問した。
挨拶、それが表向きの口実だった。
この日会う専務・蓮見慎太郎(平泉成)は、杏子にとって因縁の相手だった。
杏子は、母子家庭で育った。
母・三橋志律子(内田春菊)は、数年前に亡くなっている。
生前、母は金持ちの愛人をしていた。
その金持ちというのが、今回呼び出された蓮見専務であった。
別荘は、閑静な海辺にあった。
周囲には人っ子一人居ない。
そんな場所に女が1人で乗り込めば、何を要求されるかは察しが付いていた。
それでも、杏子は別荘に行った。
杏子にも、蓮見専務とは会わねばならない理由があったのだ。

別荘に行くと、杏子は料理を振る舞うと称してキッチンに立った。
案の定、蓮見専務はもう待ち切れないと杏子の体に抱き着いて来た。
その瞬間、杏子は持っていた包丁で蓮見専務を刺し殺した。
この男だけは、どうしても生かしておけない。
ボロ雑巾のように捨てられたボロボロの母の姿が、杏子の脳裏に蘇っていた。
殺害後、杏子は室内の指紋を全て拭き取った。
あたしがここに来たことは、誰も知らない。
誰にも見られてない。
その筈だった。

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翌日、杏子の元に見知らぬ男から電話が掛かって来た。
思わず耳を疑う内容だ。
「三橋杏子、新進気鋭の料理研究家。
スポンサーのお偉いさんを咥えこんで、出世したらサヨナラか?
伊豆の別荘。本宮商事の蓮見のことだよ。
取り敢えず500万。後は出世払いでも相談に乗るよ。
こっちには殺しの証拠があってね。
断ればもっと高く付くことになる」
男は、待ち合わせ場所と時刻を指定すると一方的に電話を切った。
どうして?
何故知ってるの?
この男は一体何者なの?

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杏子は慌ててお金を作った。
そして、指定の喫茶店で男を待った。
あの口調だと、これからもずっとタカられるだろう。
しかし、今の杏子にはどうしようもなかった。
取り敢えず、500万を都合して何とかするしかない。
今の料理研究家の地位を手に入れるまでに、どれだけ苦労したことか。
むざむざ手放す訳にはいかなかった。
1時間経ち、2時間経ち、男は中々現れなかった。
杏子は、相手の顔が分からない。
この男か、それともこの男か。
杏子は、周囲に目を光らせた。
しかし、いつ迄経ってもそれらしき男が現れない。
結局、杏子は閉店時間まで待ち続けたが男は現れず終いだった。

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翌日、杏子の携帯が鳴った。
例の男からだった。
「三橋杏子さんだろ?助けてくれないか?
あんただけが頼りなんだ」
昨日とは打って変わって、妙に弱々しい口調だ。

杏子は、男が待っているという近くの公園に走った。
その男(石黒賢)は、何故か顔に傷を負っていた。
まだ新しい。
訊くと、昨夜チンピラに暴行されて頭を打ったので自分が誰なのか分からないのだという。
ポケットを探ると杏子の名前と電話番号を記したメモが見つかったので、
取り敢えずこうして掛けて来たらしい。
男は、杏子に問掛けた。
「あんた、俺のこと知ってるんだろ?俺の名前、何ていう?」
杏子は、男の所持品を確かめてみた。
持っているのは、鍵と小銭だけだ。
身元に繋がるものは何もない。
鍵は2種類あった。
片方は恐らく自宅、もう片方はコインロッカーらしい。

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取り敢えず、杏子は男を自宅マンションへ連れ帰って説き伏せた。
暫くここで匿ってあげる。
大人しくしているのよ。
そう言って男を安心させると、杏子はロッカーの鍵を手に駅へ走った。
昨夜、あいつが言っていた殺人の証拠。
それがロッカーに隠してあるに違いない。
一刻も早く処分しなければ。
しかし、ロッカーに入っていたのは証拠らしきものではなかった。
男の日用品だけだ。
その中から、男の手帳が見つかった。
高木良介。
それが、この男の名前だ。

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杏子は、早速高木の身元を洗った。
高木はカメラマンだった。
妻・高木理恵(床嶋佳子)とは別居している。
現在はアパートを借りて1人暮しだ。
杏子は、そのアパートに行ってみた。
もう1つの鍵は、やはりこのアパートの鍵だった。
部屋の中には、フィルムと現像器具が散乱していた。
高木の言っていた証拠とは、盗撮写真に違いない。
探せば必ずある筈だ。
プリントに、ネガ。
部屋中を引っ繰り返すと、京子の睨んだ通り盗撮写真が出て来た。
バッチリ撮られている。
外から望遠で、あの別荘を盗撮していたらしい。
杏子は、自分の写っている写真を全て焼き捨てた。
これで大丈夫。
物証は消えた。
後は、高木をどうするかだけだ。
高木が記憶を取り戻す前に、何らかの手を打たねばならない。
別居しているとは言っても、高木には奥さんが居る。
足が付く前に始末しないと。

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高木の身元を洗っているうちに、更に詳しい人物像が浮かび上がってきた。
高木は、かつて期待された雑誌カメラマンだった。
数年前、高木はある男の収賄現場を写真に収めた。
一世一代の大スクープであった。
しかし、写真は公表されることなく闇に葬られた。
誰かが、裏から手を回したのだ。
同時に高木は突如として雑誌社を解雇され、不安定なフリーカメラマンに転向した。
その世紀のスクープ写真とは、当時通産官僚だった蓮見慎太郎を抑えた写真だったらしい。。
そう、杏子が殺害したあの蓮見専務だ。
以来高木は蓮見専務を酷く恨んで、今では転落するままの人生だったという。
カメラマンとは名ばかりの、借金取りから逃げ回るその日暮しだ。
アパートの名義も偽名だった。
記憶喪失の原因は、どうやらその借金取りに暴行されたことのようだ。
杏子は、何だか複雑な気分にさせられていた。
高木も、蓮見専務を恨んでいた。
あたしと同じように。

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杏子は、脅迫相手であるにも関わらず何故か高木のことが憎めなかった。
しかし、杏子自身は日に日に追詰められていた。
その日、杏子のマンションに刑事が訪ねて来た。
その刑事・辻警部(益岡徹)は、杏子に警察手帳を見せて質問した。
金曜日の午後何処に居たか?
杏子は、家に居たと惚けた。
金曜日の午後と言えば、蓮見専務の殺害時間だ。
何とか平静を装って答えたが、生きた心地がしない。
すると、辻警部は妙なことを杏子に尋ねた。
「クルミは、どういう料理に使うんですか?」
クルミと言えば、あの日蓮見専務に出そうとした料理だ。
全部持ち帰って処分した筈だ。
どうして、刑事がそんな事を訊くんだろう。
ひょっとして、あの時何処かに落としたのを見落としたのか。
杏子は、震える声でその場を誤魔化した。
「私のレシピに、クルミは使いません」
それを聞くと、辻警部は御協力ありがとうと言って帰って行った。
もう駄目、バレる。
プロの刑事に嗅ぎ付けられるのは時間の問題だ。

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杏子は、高木をドライブに誘い出した。
ハンドルを握りながら、杏子は思案した。
どうやって殺す?
崖にでも連れて行って、そこから突き落とそうか。
中々決断出来ない杏子は、
いつの間にかかつての生家に車を走らせていた。
みすぼらしい長屋だ。
いい思い出なんて1つもない。
母は、蓮見専務に捨てられた後完全に家事を放棄した。
杏子はいつもお腹を空かせて冷蔵庫の野菜を噛っていた。
丸で残飯を漁るカラスのように。
杏子が料理研究家を志したのはそれが理由だ。
ずっと、美味しい家庭料理に憧れていた。

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結局、杏子は決断出来なかった。
仕方なく、その日はホテルで一泊してお茶を濁すことにした。
杏子と高木は、部屋のテレビを付けて驚愕した。
蓮見専務殺害事件の容疑者・高木良介が、指名手配されたというニュースが流れているのだ。
自分の顔がテレビに出ているのを見て、高木は思わず漏らした。
「俺は、人殺しなのか?」
高木は、杏子のバッグを引っ手繰って中身を調べた。
中から蓮見専務の写真が出て来た。
高木は杏子の肩を揺さぶって問い詰めた。
「この写真、何処で見つけた?俺の部屋か?
さっき部屋に来た男、刑事なんだろ?
どうして庇う?何で警察に突き出さなかったんだ?
俺の部屋に連れて行ってくれ」

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杏子は、高木に請われるまま再び車を走らせた。
高木は誤解している。
蓮見専務を殺したのは自分だと勘違いしている。
殺したのは、あたしなのに。

2人の車は高木のアパート前に辿り着いた。
高木は、杏子を残して1人でアパートに入って行った。
もし、刑事が張り込んでいたらすぐ逮捕される。
だから、俺1人で行くと言い残して。

アパートに入った高木は、放置されていたカメラを手に取った。
その瞬間、高木の頭の中で欠落していたピースが次々組み上がっていた。
カメラ、スクープ、蓮見専務……
かつて敏腕カメラマンだった俺が、こんなに迄落ちぶれた理由。
蓮見専務の収賄写真を抑えた直後、
自宅に押し入った男たちが妻を暴行して、写真もネガも根こそぎ持ち去ってしまった。
あれが切っ掛けだ。
以来夫婦仲も暮しも崩壊し、俺は蓮見専務を恨むだけの人生に落ちていた。
そして、俺はあの日蓮見専務の別荘へ行って……

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杏子は、車中で高木を待った。
中々帰って来ない。
痺れを切らした杏子は、アパートに入ってみた。
高木は、放心状態でその場に立ち尽くしていた。
「思い出した?」
杏子が尋ねると、高木は力無く首を振った。
高木は杏子に振り返って、何故か妙なことを言い出した。
「海が見たいな。あんたと海が見たい」

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杏子の車は、高木の注文通り見晴らしのいい海辺に辿り着いた。
もう、夜が明けていた。
切り立った崖のある、お誂えの場所だ。
高木は、車を降りて自分から崖に歩いて行った。
背中はガラ空きだ。
警戒している様子はない。
杏子は高木の後ろを歩きながら、今か今かとタイミングを見計らっていた。
高木を殺したら、あたしは助かる。
警察は、高木の死を自殺として処理する。
杏子の震える手が、そろそろと高木の背中に伸びていった。
もう少しというところで、杏子の手が止まった。
出来ない。
杏子は、涙声で高木に告白した。
「 あなたじゃない、蓮見を殺したのは。
あなたは、あたしを脅迫しただけ」
すると、高木は静かに杏子に振り返った。
「俺は、蓮見が死ぬのを黙って見てた。
助けを呼ぼうともしないで、奴を見殺しにした」
高木の目を見た杏子は、全てを悟った。
「記憶が戻ってたのね?」

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杏子と高木は、再び車を走らせた。
ハンドルを握るのは、記憶の戻った高木であった。
高木は、車中で杏子に尋ねた。
「どうして背中を押さなかった?
俺は蓮見を恨んでいた。
いつか、蓮見に復讐したかった。だが、何も出来ない。
女としけ込むところを盗み撮りして、恨みを晴らすことしか思い付かない。
そんな男だ。
挙句に、蓮見の財布を盗んであんたからも金を強請ろうとした。
記憶が戻ったらこのザマだ。生きる価値もない。
あんたになら殺されてもいい。そう思ってた」
杏子は、重い口を開いた。
「蓮見は、母の愛人だった。
蓮見は、あたしの体を触りながら……あたしは、母と同じだって。
あんな母と一緒にされた」
杏子は、母のことが嫌いだった。
ずっと憎んできた。
男にだらし無く、挙句の果ては娘に食事を作ることですら放棄したあの母が。
「あたしは、母を憎むことで強くなった。
母が死んだ時だって、涙も出なかったわよ!
あの日、あたしが殺したのは蓮見だけじゃない。母のことだって……」
涙ながらの杏子の告白を、高木は静かに否定した。
「違う。あんた、母親が好きだった。好きでいたかった。
愛されたかったんだ。
ご飯よって呼んで欲しかったんだろ。
笑って欲しかった。
温かい飯、2人で食いたかった。そうだろ?」
高木は、杏子の手を取った。
「この手、マニキュアも付けないで頑張って来たんだろ?
それは嘘じゃない。
料理は……あんたの作る料理は、あんたそのものなんだ」
高木は、杏子にこのままテレビの収録に出るよう勧めた。
高木自身は、警察に出頭するという。
「俺達は、共犯なんだ」

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杏子は、高木を車から降ろした。
そして、1人になると車中から携帯を掛けた。
そのまま、杏子の車は警察署に走り去って行った。

高島礼子、石黒賢:共犯 [テレビ大阪] 2014年01月08日 13時00分00秒(水曜日)

<高島礼子:関連作品>


テーマ:日本テレビ - ジャンル:テレビ・ラジオ

臨床心理士4
坂口良子主演の2時間サスペンス。
臨床心理士の主人公が、殺人事件の容疑者となった女性のカウンセリングを担当する。
記憶喪失に陥ったこの女性は、犯人なのか、それとも別に真犯人がいるのかというお話。
ゲストヒロイン・丘みつ子の重厚な演技力が見所。

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日本テレビ:火曜サスペンス劇場
臨床心理士4
テレビドラマデータベース

<番組データ>
脚本:いずみ玲
初回放送:2001年10月16日
番組名:日本テレビ「火曜サスペンス劇場」

<出演>
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松波百合:坂口良子

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滝田元:梨本謙次郎

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山崎弓枝:丘みつ子

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林田真紀子:洞口依子

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山崎良彦:佐戸井けん太

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山崎光男:沢木哲

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柳本徹:小野武彦

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小宮山敏子:新藤恵美

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小宮山聡:水橋研二

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織物工場社長:鶴田忍

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中村八重子:野際陽子

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松波大介:三田怜

<ストーリー>
臨床心理士・松波百合(坂口良子)の元に、
知合いの刑事・滝田元(梨本謙次郎)が訪ねて来た。
滝田刑事は、現在殺人事件の捜査を進めている。
その事件の重要参考人の一人が記憶喪失に陥っているので、
百合にそのカウンセリングをして欲しいという。
百合は、滝田刑事に事件の概要を訊いてみた。

数日前、アパートの一室で山崎良彦(佐戸井けん太)という男の変死体が発見された。
発見時、死体の傍らには女が茫然自失の状態でへたり込んでいた。
この女は、山崎の妻・山崎弓枝(丘みつ子)であった。
殺された山崎は、ギャンブラーで多額の借金を抱えていた。
弓枝は耐え兼ねて別居していたが、山崎は何かと口実を付けて金の無心を繰り返していたという。
そんな弓枝が、とうとう夫を手に掛けてしまったのだろうか。
事情を聞こうにも、弓枝は事件のことは覚えていないの一点張りだった。
事件以後、山崎夫妻の息子・山崎光男(沢木哲)が行方不明になっていた。
殺された山崎は、生前息子の光男と険悪な仲だったという。
警察は、現在弓枝と光男を重要参考人として捜査線上に乗せていた。

百合は、まず警察署に出頭中の弓枝に会って話を聞いてみることにした。
この面接は、慎重にすすめる必要がある。
弓枝がもし犯人なら、自白を誘導する危険があるからだ。
百合は、優しく話掛けてみた。
弓枝は、本当に事件のことは何も覚えていないと答えた。
その時、突然ドアが開いて知らない女が乗り込んできた。
何事かと百合が尋ねてみると、女は名刺を差し出した。
女は弁護士・林田真紀子(洞口依子)であった。
弓枝の弁護を担当するという。
「面接は、私を通してからにして下さい」
真紀子は、警察側からの依頼で面接に来た百合を警戒している様子だ。
百合は一旦面接を打ち切らざるを得なかった。

その夜、行方不明中だった光男が警察に逮捕された。
捜査官の取調に対して、光男は黙秘権を使って対抗した。
光男からも、事件の真相は聞き出せそうになかった。

翌日、弓枝が警察にやって来た。
「思い出しました。あたしはこの目で犯人を見ました」
弓枝によると、犯人が何者かは分からないが顔だけははっきり覚えているという。
滝田刑事は、早速弓枝の証言を元にモンタージュを作成して捜査官に配布した。
拘留中だった光男も一応容疑が晴れたので開放されることになった。
滝田刑事は、最初から光男も弓枝も犯人ではないと睨んでいた。
現場付近の路上で、二人とは異なる血液型の血痕が採取されていたのだ。

捜査官たちは、モンタージュを頼りに現場付近の聞込みを始めた。
手掛りになりそうな情報は中々得られなかった。
そんな中、事件の夜現場付近から立ち去る不審な男を見たという目撃証言が浮上した。
しかし、その男はモンタージュとは似ても似つかぬ若い男だったという。
滝田刑事は、ここに来て弓枝の証言は嘘ではないかと疑い出した。
いや、それどころか記憶を取り戻したという話自体が作り話なのではないか。
滝田刑事は、再度百合の元を訪れて相談してみた。
百合も、弓枝が記憶を取り戻したことには疑問が残るという。

百合は、弓枝の治療が不十分だったことをずっと気に掛けていた。。
その後、何度か連絡を取ってみたが、弓枝はアパートを引き払って転居してしまっていた。
弓枝は一体何処へ行ってしまったのか。
百合は、弓枝の生い立ちについて調べてみた。
20年前、群馬県桐生の旅館で住込みの仲居をしていたという記録が見つかった。
百合は、この旅館に足を運んで女将・小宮山敏子(新藤恵美)に話を聞いてみた。
と言っても20年前のことだ。
これと言った手掛りは得られそうになかった。
百合は諦めて帰り掛けて、裏口から見覚えのある青年が出入りするのを目に止めた。
従業員に訊いてみると、女将・敏子の息子・小宮山聡(水橋研二)だという。
一体何処で見掛けたのか、百合は思い返してみた。
そうだ。
弓枝と一緒に歩いていた時に、傍らから弓枝をじっと見つめている青年がいた。
あの青年だ。
やっぱり何かある。

百合は、近所の織物工場で聞込みをしてみた。
織物工場社長(鶴田忍)は、20年前に弓枝が仲居をしていた時分のことを覚えていた。
弓枝は当時の旅館主人と不倫関係にあり、周囲に噂が流れていた。
暫くして弓枝は旅館を辞め、故郷足尾へ帰っていったという。

百合は、足尾へ向った。
足尾は元銅山で有名な寂れた町だ。
少し訪ね歩いてすぐに弓枝の生家が見つかった。
弓枝はやはりそこにいた。
百合が問掛けると、弓枝は重い口を開いた。

20年前、弓枝は勤めていた旅館の主人と愛人関係になった。
主人との間に子供を身籠った弓枝は、一人で育てる決心を固めて故郷足尾へ帰った。
赤ん坊が産まれ、子育てに追われていたある日、子供が何者かに連れ去られた。
犯人は旅館の主人だった。
跡取りのいない主人一家が、子供を強引に引き取ってしまったのだ。
最愛の我が子を、そう簡単に引き渡せる訳がない。
しかし、女手一つの弓枝が子供を育て上げるには限界があるのも確かだった。
足尾は寂れた町で、弓枝に満足な勤め先がある訳でもない。
弓枝は、子供を諦めざるを得なかった。
その後、弓枝は上京して水商売を始めた。
そこの常連客が、殺された夫・山崎だった。
弓枝は間もなく山崎と恋仲になり、やがて結婚した。
山崎には連れ子がいた。
それが、光男だった。
つまり、弓枝には二人の息子がいることになる。
一人は育ての息子である光男で、
もう一人が産みの息子である聡だ。

百合と弓枝がそんな話をしていると、弁護士・真紀子に伴われて聡がやって来た。
自首する決心を固めたので、産みの母に別れを言いたいという。
山崎を殺害したのは聡だった。
事件の晩、聡は産みの母・弓枝に一目会いたいとアパートを訪ねた。
そこで、山崎が弓枝に殴りかかっているのを目撃してしまった。
聡は母を庇おうと山崎に飛び掛り、揉み合いになった末に包丁で刺し殺してしまったのだった。
このショックで、弓枝は記憶を失った。
これら全ての事情を飲み込んだ育ての息子・光男は、
自分の血痕を現場に残して産みの息子・聡を庇っていたのだった。

聡は、百合と弓枝、弁護士・真紀子に付き添われて警察に自首した。
これから厳しい取り調べが待っていることだろう。
産みの母・弓枝は、複雑な心境で聡を見送った。
聡は、産みの母とは言え見ず知らずの弓枝を庇って殺人を犯した。
そんな聡を、血の繋がらない息子である光男が庇ってくれた。
二人の息子が、共に母を守ろうとしてくれていたのだ。

強い母子の絆を感じながら、百合は自宅に帰った。
自宅には、息子・松波大介(三田怜)と祖母・中村八重子(野際陽子)が待っている。
百合の息子は、生意気盛りだ。
元気一杯だが、百合はついつい小言を言いたくなるのだった。

坂口良子、丘みつ子:臨床心理士④ [テレビ大阪] 2013年10月15日 13時00時00秒(火曜日)

<坂口良子:関連作品>


テーマ:懐かしドラマ - ジャンル:テレビ・ラジオ



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